名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ
2017.06.16
残置エアコンは借主が撤去しないといけない?
おはようございます。名古屋の遺品整理・特殊清掃専門第八行政書士事務所の谷です。
意外と過ごしやすい日が続いている名古屋です。皆さんそろそろ暑さになれてきましたか?少しづつでもいいので暑さに体を慣らして本格的な夏に備えておきましょうね!
さてさて、本日は原状回復の相談があったのでそれについて簡単に触れておきたいと思います。遺品整理の場面、特に自殺や孤独死といった一般的に事故物件(厳密に言うと孤独死は違いますが)と呼ばれるような現場では原状回復が良く問題となりますが、今回は通常の退去の際のお話しです。
引越しを何度もされているような方の中には契約時に「エアコンは前入居者の残置物の為、故障の際は入居者の負担にて修理するものとする。」のような文言を見られた方もいるかもしれません。
これって何?という話しが今回のメインです。最近の賃貸物件、特に1ルームなどではエアコンが設備として最初から付いているのが一般的になってきていますよね。
引越しを良くされる方などは自分の気に入ったエアコンを次の部屋にも設置したいからと前の部屋に付けたエアコンを移設する方もいるでしょう。しかし、次に入居する部屋にエアコンが付いていたら今使っているエアコンを付けることはできません。
しかし、まだ買ってから2年くらいしか使ってないのに捨てるのはもったいないし、となった場合に「そうだ、このまま置いておけば取り外し代金は浮くし、次の入居者も使える。大家さんも募集しやすくなって喜ぶじゃん!)と考える方もいるかもしれません。
確かにエアコンを新規に設置しようと思えば小さな物でも5万円前後はするでしょう。最近の賃貸物件としてもエアコン設備は普通ですから大家さんとしても余計な出費はせずに募集が有利になってWIN-WINだと思えますよね。
でも、必ずしもそうではありません。取り外しにも余計にお金が掛かるのでこのままエアコンを残していきたいと思っても、管理会社の方から「退去時には撤去でおねがいします」と言われてしまうことは結構あります。
個人の大家さんなら「いいですよ、置いていってください」と言われることもあるかもしれませんが、1棟の部屋全てを管理会社が管理しているような場合は全ての部屋を同じ条件にしておくことで管理業務に支障をださないようにしています。
簡単に言うと、あの部屋にはエアコンがあって、この部屋にはないという状況になると、仲介業者からの問い合わせの際にいちいち確認しないといけないですし、契約時にエアコンに関する特約などを結んでおかないと後々面倒なことになるからです。
また、残置されたエアコンをそのままに次の入居者を決めるとエアコンは設備扱いになりますので普通に使っていて故障したような場合の修理費は大家側にて負担しなければならず、エアコンが残置されたことによって管理業務が煩雑になり、余計な出費も増える結果になることもあります。
ですので、エアコンを置いていくことは必ずしも大家側にとってはメリットばかりではないという訳ですね。
ここで電話相談の話しになるのですが、「前の入居者が残していったエアコンは退去時に私が撤去して出ていかないといけないのでしょうか?」というご相談でした。
これだけでは、撤去するのかしないのかはわかりません。まずはエアコンに関してどういった記載が契約書に記載されているのかが問題となります。
契約書の設備欄に「エアコン」と記載があれば設備となりますので基本的には撤去せずにそのまま置いておくこととなりますし、特約などに「エアコンは前入居者の残置物であり、退去時には入居者の負担にて取り外すものとする。」のような一文があれば退去時に取り外さないといけない可能性があります。(契約時の保証金やその他の内容によって個別に判断されるかと思われます)
しかし、今回のご相談者の契約書には「エアコンは前入居者の残置物である。」としか記載がないようで、これでは退去時にどのように対処したらいいのかがわかりません。
前の入居者の残置物でも部屋の設備として扱うつもりならわざわざこのような文言は入れないでしょうから、なにがしら大家側にとって不利になる状況を回避する為に付けられた特約のはずです。
例えば修理の負担は入居者にしてもらう為の特約かもしれませんし、退去時には入居者の負担で撤去してもらうつもりで記載した特約なのかもしれません。
しかし、前の入居者の残置物ですと書かれているだけだと「だから何?」となってしまうわけで、前の入居者の残置物なら入居者側として何に注意しないといけないのかを記載しておいてもらわないと契約書としては不正確ですよね。
入居者側としては、撤去して部屋を明け渡さないといけないと思って取り外したのに退去立会いの時「前の入居者の残置物でも部屋の設備です」と言われて、交換費用を支払わされてしまっては文句も言いたくなります。
今回のご相談者のケースではもしかしたら契約時に口頭でそういった説明がされていたかもしれません、しかし入居期間が長期に渡れば当時の担当者もいなくなり、最後は言った言わないの争いになってしまいますので、契約書に疑問を感じたら必ずその場で内容を確認するようにしましょうね。