名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ
2017.06.21
福島のゴミから出た1000万持ち帰り事件について
おはようございます。名古屋の遺品整理・特殊清掃専門第八行政書士事務所の谷です。朝から凄い雨が降ってる名古屋です。山間部の方は土砂崩れにはご注意くださいね。
さてさて、ここ数日テレビの製作会社や週刊誌のライターさんなどから取材(取材と言っても電話でのコメントや実際の現場の状況を聞かれている程度ですが)を受けています。
なんでも福島のゴミ処分場から出てきた1000万もの大金を作業員が持ち帰ったことが話題になっているとか。
取材を受けるまでそういった事件があったことを知らなかったのですが、改めてニュースなどを確認していると過去にも度々起きているゴミ処分場からお金が発見されるケースと同様ですね。ただ、今回は発見者がそのまま持ち帰ってしまったことが話しを大きくしてしまったようです。
テレビの製作会社や週刊誌のライターの方々は遺品整理の現場でもそういったことがあるのではないかと考えて当事務所へ連絡してきたようです。
だいたい聞かれる内容としては「遺品整理の現場からお金が発見されることはあるのか?」「今回ゴミ処分場でお金が発見された経緯や原因としてどんな物が考えられるか?」「実際の遺品整理の現場ではどんなところからお金が見つかるのか?」といった内容が主なものでした。
ゴミ処分場で発見されたお金を作業員が持ち帰ってしまうのは論外なのですが、でもこれって本当にこの福島の事件だけなんでしょうか?。遺品整理の現場に長くいると私には氷山の一角にしか思えてなりません。
ゴミ処分場で発見されるお金というのはそれまでの家族での整理や業者による整理を潜り抜けてきたお金です。もしかしたら故人が念入りに隠されていたのかもしれませんし、または単に貴重品の捜索を行わずにそのまま捨ててしまった結果かもしれません。
では、質問事項にもある「遺品整理の現場からお金が発見されることはあるのか?」というと、答えは「よく見つかる」もっと言えば全くもって珍しいことではないとも言えます。
もちろん発見される金額は数十円~数千万と私が経験した中でもかなりの幅があるので
どの現場でも大金が見つかるという訳ではありません。(反対に借金が見つかることもありますしね(苦笑))
それゆえ、遺品整理業者には貴重品の仕分け技術や大事な書類を判断する正確な知識、そしてなにより発見した貴重品類を依頼者へと正確にお返しする高い倫理感が求められる訳です。
依頼者としては業者に依頼しているのだから、何か見つかれば報告をしてもらえるだろうという期待を持っています。そして多くの遺品整理業者は真面目に仕事をしていると思われますが、中には不心得者も混じっている訳で、発見した現金や貴金属類をそのまっま懐に入れてしまっているケースがあります。
これは遺品整理という仕事を行う上では特に必須とされる資格がある訳ではなく、極端な話し誰でも遺品整理業を行うことができるということでもあります。
民間資格でありますが、遺品整理や特殊清掃に関する○○士のような資格を発行している団体もありますが、これらの資格はあってもなくても変わりはなくビジネスツールのひとつであり、最後はやはり仕事を行う「人」が信頼できるかどうかになってくる仕事でもあります。
特に故人とは別々の地域で暮らしていたり、長年疎遠になっていてお金を持っていたのかどうかすらわからないという状況では、例え現場からお金が見つかったとしても遺品整理業者が報告してくれない限りは「何もなかったんだな」と考えて終わってしまいますので遺品整理業者選びは注意してくださいね。
次に今回の福島の事件はなぜ起きたのか?ということについて。ここで少し遺品整理を行う際の内情的なことをお話しすると、遺品整理業には特に資格はいらないといいましたが、実際に遺品整理を行う上では様々な法律の規制があります。
例えば遺品整理を行う現場に新しい家具や家電または貴金属類があったとしたら、依頼者としては「買取してもらいたい」と思いますよね。この遺品の買取には「古物商」の許可がないと買取を行うことはできません。
次に遺品整理のメインとも言える家財の処分についてですが、遺品整理業者の中ではいわゆる「産廃許可」で遺品整理を行っているところがあります。しかし、一般家庭の遺品整理で出てくる家財を処分するのに必要な許可は「一般廃棄物」の許可であり、建築現場のゴミなどを回収する許可である産廃の許可では行ってはいけません。
では、一般廃棄物の許可を取ればいいんじゃないの?ということになりますが、これを取得するには市町村などの許可が必要なのですが、基本的に遺品整理を目的とした新規の許可は降りません。
なんで降りないのかというのはいろいろな理由があるのですが、簡単に言えば現状でゴミの回収は既存の業者で需要を賄えており、新規の一般廃棄物許可業者を市町村が必要としていないからです。
そうなると遺品整理業者(一般廃棄物の許可業者が自ら遺品整理を行う場合を除いて)が遺品整理で出てくる家財を適切に処分しようとすると一般廃棄物の許可業者を現地に手配する必要が出てきます。
ここで本題に戻るのですが、一般廃棄物の許可業者が家財などの不用品を回収する際の料金の設定として、家財の大きさ1㎥で○○円というものがあります。(一例ですので、回収料金の算定方法は他にもあります。)この場合に激安を売りにしている遺品整理業者さんは何を考えるかというと、とにかく家財の隙間をなくそうと考えます。
簡単にいうと、タンスを処分しようと思った際に引き出しの衣類を全て出した場合は引き出しの中身分空きスペースが出来て、そこから出した衣類はさらにスペースを占領してしまいます。
そうなると引き出しの中は空なのに処分費用が発生し、引き出しから出した衣類でさらに処分する嵩が増えてしまうのでさらに回収料金が上乗せされてしまいます。
つまり、遺品整理業者が一般廃棄物許可業者へ支払う処分費を安く抑えようと思うと衣類などはタンスにしまったまま、むしろ他の物も詰めて隙間を埋めて出した方が処分費が安くなるという事情があります。(タンスに詰め込めるだけ詰め込めばタンスひとつ分の処分費で済む)
もう、お分かりですよね。こういった事情があると遺品整理の際にタンスなどにお金が隠れていたとしても、処分費と作業の効率を考えて、貴重品の捜索をせずに衣類などはそのままの状態で回収業者へ渡されてしまうケースが増え、結果大金が隠れていても見つけることができずに処分場まで運ばれて、処分場での仕分けで発見されるという結果に繋がる訳ですね。
福島のケースはゴミの袋から見つかっていますので、恐らく貴重品の捜索が不足していた事が原因で、上のような事情とは異なりますがゴミ処分場で見つかる大金の原因のひとつであると考えています。
結局のところ遺品整理で大事になるのは、自分たちが求めている遺品整理に一番あっている遺品整理業者はどこか?ということをしっかり把握することなのだと思います。
決して激安をうたい文句にした業者さんが悪いわけではありません。遺品整理の現場は多種多様で、もともと物が少なく貴重品隠れていそうなところは全て家族で調べ尽くしたという状況や家族間の関係が最悪でとにかく一切の故人の持ち物をゴミとして安く処分してしまいたいといった要望はあります。
そういった現場に仕事はきっちりやるが費用が高めの業者は必要ないですよね。それこそ安く手早く処理してくれる業者の方が自分たちの求める遺品整理にマッチしていると言えます。
反対に、遠方に住んでいて立会いが出来ない、またそこそこの資産家で貴重品類も少なからずあるといったお宅なら、多少費用は高めでもしっかりとした業者に丁寧に貴重品の捜索をしてもらい、遠方では出来ない手続きなども代わってやってもらえる方が依頼者としては助かります。
繰り返しになりますが、遺品整理業者を探す際は今自分たちが必要としている遺品整理の内容を実現するにはどういった遺品整理業者が合っているのかをしっかり把握した上で依頼をすると失敗が少なくなりますよ。お困りの際はいつでもご相談ください。