名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ
2017.07.23
真夏の自殺・孤独死の賠償金などについて
おはようございます。名古屋の遺品整理・特殊清掃専門第八行政書士事務所の谷です。最近は熱中症対策でいろんな商品が出ていて面白いですね。現場で気軽に塩分補給できる塩飴はこの時期かかせませんね。
さてさて、暑い時期になって孤独死や自殺の相談が増えてきています。この時期はどうしても遺体の腐敗が進みやすいので、冬の時期に比べて死亡から短時間で被害が大きくなってしまうのが問題です。
冬なら一週間程度発見されなかったとしても死臭や体液の問題は出てきませんが、真夏で一週間となると現場の遺品整理や特殊清掃は大変な事になります。
特に賃貸物件での孤独死などは家主や管理会社側との問題も出てきますので、この時期の高齢者の熱中症による屋内での死亡は十分に注意を払っておくひつようがあります。
普段決まった時間に見かける方が姿を見せない、夜中なのにテレビやラジオの音が流れ続けている、新聞や牛乳などの配達物が取り込まれていない、窓に大量のハエがとまっているなどの異常を見かけたらすぐに警察や管理会社などへ連絡しましょう。
では、実際にこの時期の相談で多い内容を簡単にまとめて書いておきますので参考にしてください。詳細についてはリンク先により細かい内容を記載しているページがありますので、必要な方はそちらもご確認ください。
相談事例1 「家主や管理会社と合う前なのですが、何に注意したらいいのでしょうか?」
依然は家主や管理会社と揉めてしまってから相談の電話をくださる方が多かったのですが、最近はネットで情報を調べる事が簡単になった為か、家主や管理会社と協議する前に事前に相談される方も増えてきています。
そんな方々の相談で多いのは家主や管理会社と協議する際の注意点はなんですか?というものです。主に次ぎのような事に注意してください。
◆連帯保証人は誰で、家族や身内で連帯保証人になっている人はいるか?
これは最近の賃貸契約の傾向として連帯保証人不要で家賃の保証会社と契約するケースが増えてきていることからくる注意点です。
家賃の保証会社を利用している場合は家族などの相続人は連帯保証人にはなっておらず、賃貸物件での自殺や孤独死を原因とする原状回復や損害賠償の責任は「相続放棄」をすることによって免れることが法律上認められています。
ですが、連帯保証人でなくても相続人であることは変わりませんので、相続放棄をしない限りは故人の責任を相続した相続人の立場で原状回復や損害賠償の責任を負わなければいけなくなります。
ですので、家主や管理会社と協議をする際に原状回復に掛かる費用や損害賠償の額を確認する前に「掛かった費用はお支払いいたします」といった内容の承諾はしないことが大事です。
後から正式な金額が出てきた場合に「そんなに高額な費用が掛かるなんて知らなかった!」と言ったとしても一度した約束を覆すのは難しいものです。
ですので、家主や管理会社と協議をするのは問題ありませんが、その場で責任を負う内容などには返事をせずに「一度持ち返って相談してみます」という形にしましょう。
そうすることによって家主や管理会社が考えている請求内容を基に専門家に相談することができ、より具体的な対処法を提示してもらうことが可能となります。
◆連帯保証人だった場合
連帯保証人は相続放棄で責任を免れることはできませんので、賃貸物件の明け渡しや原状回復、損害賠償の支払いなどの責任が出てくる場合があります。
ただし、ここでの注意点は必ずしも家主や管理会社の言われた通りの額を支払わなければいけない訳ではないということです。
これは相手側に弁護士が付いており、弁護士から内容証明などで「いついつまでに支払ってください」といった内容が届いたとしても同じです。
弁護士の先生はあくまで雇い主の意向に沿って請求をしてきているだけですので、孤独死や自殺の場合に必ずいくら支払わないといけないという法律はありません。
ですので、家主側や家主側の弁護士の先生が伝えてきている金額はあくまで家主側が連帯保証人に支払ってもらいたい希望金額であって、必ずしもその金額が適正な金額であるとは限らないということです。
ですので、請求された金額があまりにも大きく、自分達の生活にも影響が出てしまうような場合は必ず弁護士等の専門家へ相談するようにしましょう。
詳しくは賃貸物件で孤独死や自殺の賠償問題でお困りの方へなどを参考にしてください。
相談事例2 「なるべく迷惑をかけずに相続放棄をするにはどうしたらいいのでしょうか?」
意外と多いのがこのご相談。相続放棄をするけれども家主側にも迷惑を極力かけたくない。どうすればいいのでしょう?というご相談です。
相続放棄は故人の財産(プラスもマイナスも)を一切合切承継しないという選択です。当然故人が負っていた借金などや支払うべき責任なども相続人は負わないこととなりますので、必ず迷惑を掛けてしまうことになります。
ですので、厳しい言い方をするならば、誰にも迷惑を掛けずに、自分達も責任も負わないという虫の良い方法はありません。相続放棄はある意味、自分達の生活と他人の生活を天秤に掛けた上で自分達の生活を選ぶというものですので、どうしても相手方に迷惑をかけてしまうこととなります。
しかし、これを極端に「無責任」だとか「冷淡」だとか「不義理」などと考える必要はありません。なぜなら、「相続放棄」は法律で定められている制度であり、それを利用するのはごくあたりまえのことなのですから。
ご相談の電話をくださる方の中には「相手側に申し訳ない」と考えて相続放棄を選択肢の中から外されている方も見えますが、相続放棄の利用をそこまで躊躇う必要はありません。
たしかに、家族の起こした問題であり、家族としての責任を感じるのは分かります。しかし、家主側も賃貸経営を行う不動産に関するプロなわけであり、そういった事案が起ることは当然に予想してしかるべきものであり、そういった事案が起きた際の保険などを掛けておくのが賃貸経営を行う上での経営判断です。
ですので、家族が起こした事で迷惑を掛けているのは事実ですが、でもそれは賃貸経営を行う上で考慮すべきリスクでもあるわけで、家族だからという理由で相続放棄を躊躇う必要はなく、法律が家族を守る為に制定している制度を利用するのになんら引け目を感じる必要はないと私は考えています。
相続放棄についてはこちらをご確認ください。
>相続放棄代行について
>相続放棄をされる場合の遺品整理について
それでもなるべく迷惑を掛けずにする方法は?
上で述べているように相続放棄はなにがしら相手側に迷惑を掛けてしまう方法ではあります。しかし、相続放棄をしたからといって、故人が負っていた未払い家賃や光熱費などを支払ってはいけないという訳ではありません。
問題は相続放棄に影響するような故人の財産を処分してしまってはいけないということであり、故人の財産ではなく自分達のポケットマネーを使用して支払いをする分には相続放棄には影響がないと考えられています。
ですので、故人が賃貸物件での負債に限らず、消費者金融などからもお金を借りているといったような場合は相続放棄をしておく意味はあり、相続放棄によって全ての責任をいったん回避した上で個別に支払いを行っていくという選択は可能な訳です。
この場合は相続人としての立場なのか、相続放棄した上であえて支払いをする立場なのかを明確にしておく必要があり、またどこまでの範囲で支払いをするのかなどを事前に決めてから支払いを進めていかないと、後からあれもこれもと請求される可能性がありますので、適宜「合意書」などを作成して支払い範囲などは明確にするようにいたしましょう。
合意書の作成は当事務所でもご相談に応じております。
相談事例3 「家族が自殺(孤独死)してしまいました。家主側からはいくら位請求されるのでしょうか?」
原状回復や損害賠償の金額に関するご相談もかなりの数あります。
この金額については上でも少し触れましたが、自殺や孤独死が起きた場合にいくら支払う必要があるといった法律の定めや計算方法などがある訳ではありません。(逸失利益を認定した上での計算方法はありますが)
したがって、多くの場合が家主側と遺族側で協議をして支払い金額を決めたり、家主側から請求された金額を承諾してそのまま支払いをされているケースがほとんどかと思われます。
もちろん、家主側からの請求金額が高額でとても納得できないといった場合は双方弁護士などをたてて訴訟へと移行するケースもありますが、正直なところ弁護士費用も安くはありませんので、弁護士を雇った上で得られる利益と弁護士へ支払う報酬やそれに掛かる時間的な損失を考えると訴訟にならない段階で決着をつけたいというのが当事者双方の考えではあると思います。
では、自殺や孤独死が起きた場合の適正な原状回復費用や損害賠償の金額はいくらなのか?という問題では最終的には裁判所にて様々な事情を考慮した上で決定されます。
例えば、自殺や孤独死が起きた物件の立地や周囲の状況(繁華街か閑静な住宅地なのか)、事故がどの程度周囲の住民に知られているのか(テレビなどで報道されたのかなど)、間取りは単身者向けなのかそれともファミリー向けなのか等々。
適正な金額を出すにはそれぞれの物件でそれぞれの事件の状況を考慮した上で判断されますので、適正な金額がいくらか?と聞かれてもケースバイケースとなってしまう訳です。
ただ、そうは言っても過去にも似たような事案は複数起きており、その際のどのように裁判所が判断してどれくらいの金額を認定したかなどは判例などから確認することができますので、ある程度の予測をつけることはできるので、弁護士の先生などはこれらを参考に事案毎に金額の算定をしていきます。
ただ、家主側の弁護士は最大値を求めるでしょうし、遺族側の弁護士は最小値を求めることになりますので、その部分に関してはどうしても同じ弁護士という立場にいる方々であっても金額の差はでてきます。
原状回復費用や損害賠償の額などの考え方については下記をご参考ください。
>賃貸で自殺が起きた際の損害賠償等の質問
この他にも様々な問い合わせがあります。もし、賃貸物件での孤独死や自殺の問題でお悩みでしたらいつでもご相談に乗りますのでお電話又はメールでご相談ください。
必要に応じて、弁護士や相続放棄を担当する司法書士などもご紹介いたします。
名古屋の遺品整理・特殊清掃専門 第八行政書士事務所 代表 谷 茂
第八行政書士事務所は名古屋を中心に遺品整理・特殊清掃のご相談を受け付けております。
その他の地域にお住まいの方でも遺品整理や生前整理、相続相談、賃貸トラブルなどのご相談は随時お受け致しておりますのでお気軽にご相談くださいね。
その他、ご案内
第八行政書士事務所では自殺や孤独死が起きた際にご遺族や連帯保証人の方向けの各種手続きの補助や合意書の書類作成を行っておりますのでご利用ください。
詳しくは下記参考ページをご覧ください。
◆「賃貸物件で孤独死・自殺をされた方のご遺族や連帯保証人が取るべき方法」
◆「相続放棄手続きの代行業務について」
◆「自死・孤立死賃貸物件判例集」
◆「相続放棄をする前に」
◆「原状回復をめぐるトラブルとガイドラインを超解説」