原状回復にかかる判例【事例19】

[事例19]
「50%償却」と「賃借人の負担義務を定めた特約」の規定のあった事例
  名古屋簡易裁判所判決 平成14年12月17日
〔保証金(敷金)47万円 返還19万4050円(敷引23万5000円)〕


1 事案の概要

(原告:賃借人X 被告:賃貸人Y)
賃借人Xは、平成6年8月、賃貸人Yと期間2年、月額賃料11万240円(共益費、駐車場料含 む)で賃貸借契約を締結し、保証金(敷金)として47万円を差し入れた。

本件契約の契約書には、保証金47万円の記載の下に「50%償却」と「修理費実費償却」の記載があるほか、「①「保証金は、本契約の終了により、賃借人Xが本物件を明け渡し、かつ、賃貸人Yの確認を得た後、本契約に基づく未払債務、その他賃借人Xが負担すべきものがあれば、それらを差引いた上、その残額を賃貸人Yの確認の日から30日以内に、賃貸人Yより賃借人Xに返還する。」②「契約終了の場合、賃借人Xは自己の負担において、別表・第1表に掲げる修繕及び、その他賃借人Xの故意、過失による損失、破損、若しくは滅 失の箇所の補修、清掃、又本物件に付加した造作、その他の設備等を撤去し、すべてを原状に復して賃貸人Yに明け渡すものとする。」との条項があり、別表・第1表には、項目別の 修理種別・修理内容・修理基準の定めがあった。

賃借人Xは、平成14年5月、本契約を賃貸人Yと合意解除し賃借物件を賃貸人Yに明け渡したが、賃貸人Yが賃借人Xに対し、本契約には①及び②の特約があり、②の特約に基づき賃借人Xの負担となるリフォーム費用が52万7572円となるので返還すべき敷金の残額はないと主張したため、賃借人Xは、敷金47万円のうち償却分を控除した23万5000円の返還を求めて提訴した。


2 判決の要旨

これに対して裁判所は、
(1)賃貸借契約においては、賃借人の使用、収益に伴う賃貸目的物の自然の損耗や破損の負           担は、本来賃貸人の負担に属するものである。しかし、賃貸人の義務を免れ、あるい
   は、これを賃借人側の負担とすることは、私的自治の原則からもとより可能である。
   特約のない場合の原状回復の限度としては、賃借人が付加した造作の収去、賃借人が通
   常の使用の限度を超える方法により賃借物の価値を減耗させたときの復旧費用について
   は、賃借人が負担する必要があるが、賃借期間中の年月の経過による減価分、賃貸借契
   約で予定している通常の利用による価値の低下分は、賃貸借の本来の対価というべきも
   のであって、その減価を賃借人に負担させることはできないものと考えられる。

(2)特約②が賃借人の負担義務を定めた特約にあたるか。
   特約②の引用する別表・第1表の内容としては、入居者の入居中の日常使用にあたっ 
   て、修理を必要とする場合の費用の負担者を賃借人と規定し、この基準を退去時にも引
   用してその義務の内容としているものであると解される。したがって、入居中に賃借人
   が修理をする必要のないような項目について、退去するにあたって突然賃借人に修理の
   義務が発生するという内容であるとまではいえない。特約②は、「その他の故意、過失
   による汚損、破損、若しくは滅失の箇所の補修」等を賃借人の原状回復義務のある範囲
   として定め、その前半の「別表・第1表に掲げる修繕」は例示的に掲げられているに過
   ぎないものと解され、敷金の償却費として50%の差引きがあることも併せ考えると、
   契約終了時の賃借人の一般的な原状回復義務を規定したものであり、賃借人の負担義務
   を定めた特約と考えることはできない。

(3)賃貸人としては、賃借人の退去に際し、通常の使用による減耗、汚損等も賃借人の負担
   で改修したいのであれば、契約条項で明確に特約を定めて、賃借人の同意を得た上で契
   約すべきものであるが、通常の使用による減耗、汚損等の原状回復費用も別途負担する
    ことについての明確な合意の存在も認められない。

(4)賃借人Xが負担すべき本件貸室の原状回復費用は、①キッチン上棚取手取付け費用  
   1000円、②排水エルボー費3000円、③室内清掃費3万5000円と消費税の合計4万950
   円であることが認められる。

(5)以上から、賃貸人Yの請求は、賃貸人Yが賃借人Xに対し支払うべき敷金23万5000円
   から賃借人Xが賃貸人Yに支払うべき原状回復費用4万950円を差引いた19万4050円
   の支払を求める限度で理由があるとした。

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