孤独死・自殺が起きた場合に家主や管理会社が取るべき手順

管理物件で事故が発生したらどうすればいいの?

このページは賃貸物件で孤独死や自殺が起きた場合に家主や管理会社が注意すべき点を中心に掲載しています。遺族や連帯保証人の方はこちらをご覧ください。

賃貸物件で孤独死や自殺が発生したらどうする?

賃貸物件で孤独死や自殺が発生した場合は主に下記のような流れになります。

1 隣室や近所の方から異臭やハエの大量発生などの異常が報告される。
2 家族が駆けつけれる場合は家族が、そうでない場合は警察によって室内の確認。
3 遺体の発見。
4 警察の鑑識が来て事件性の有無を確認。その後警察の霊安室等へ搬送。
5 遺体の身元確認が終わり次第室内の片付け。
6 遺族と原状回復や損害賠償についての協議
7 退去清算の終了をもって完了

近隣からの苦情や異常の連絡を放置してはいけない!

賃貸物件で孤独死や自殺が起きた場合は死後の日数によっては死臭の発生やハエなどの害虫が大量に湧いてくることとなります。

こういった場合に入居者の異常について最初に気づくのは隣室や階下の住人であり、その時点で臭いや虫の被害が出ていることとなります。

もし、この状況を家主や管理会社が知っているのに放置していたような場合、貸主側の管理責任を問われて隣室や階下の住人に対して引越し費用やクリーニング費用を支払わなければならなくなる場合があります。異常に気づいた場合はすばやく対処することが被害の拡大を防ぐこととなります。
孤独死や自殺などが疑われる状況ならすぐに家族や連帯保証人へ連絡。
家族等と連絡がとれない場合は警察に連絡して状況を確認してもらう。

家族等の許可がない状況では絶対に管理キーなどを使用して管理会社や家主だけで確認しないこと。室内に入る場合は必ず警察官に同行してもらう。

なるべく周りには知られないようにする

賃貸物件で孤独死や自殺が発生した場合に心配なのが次の入居者への告知義務。

この告知義務の期間については法律で定められている訳ではなく、建物の立地や間取り、耳目を集めた事件だったかなどを考慮して
裁判所で判断することになります。

また、孤独死の場合は基本的には自然死の扱いとなりますので、原則次の入居者への告知義務はありませんが、遺体の状況や室内の状況などが周りに知れ渡ってしまうと告知せざるおえない状況になってしまうこともあります。この場合でも孤独死の場合は遺族や連帯保証人にその損害を請求することは基本的には出来ません。

したがって、賃貸物件で孤独死や自殺が発生した場合は遺族や連帯保証人に損害を請求出きるかどうかに関わらず、なるべく近隣の方へは情報が漏れないようにすることが大事な対処のひとつとなります。

現場付近で遺族や連帯保証人と大声でやりとりしない。
遺品整理を行う際も盛り塩をしたり、玄関前の誰もが見えるような場所に花を供えたりはしないようにする。花を供える場合は室内に置く。
供養を依頼する場合も住職に依頼してなるべく静かに行ってもらう。
遺品整理を頼む際は守秘義務を遵守する専門の業者に依頼する。

遺族への連絡は冷静に行う 

賃貸物件で事故が発生した場合に家主側として一番困るのは発生した損害を請求する相手がいなくなることです。
過去の経験上多くの家主や管理会社の方が次のような失敗をしています。
遺族に対して高圧的な態度に出たり、遺族を責めるような姿勢を取る。
最初の連絡の際に原状回復について言及してしまう。
何度もしつこく電話を掛ける。

事故案件では初期対応がなによりも大事となり、ここでの対応を間違えると家主側が被る負担が跳ね上がることとなります。

何も考えずに上記のような行動を取ってしまうと多くの遺族が「相続放棄」を選択してしまい、連帯保証人がいない、またはいても支払い能力がないような場合ですと家主が損害を被ることとなってしまいます。

順番や手順を間違わなければ遺族も協力してくれたのに、初期対応を間違えたばかりに負担しなくても良かった負担を被ることになっては損失だけが膨らむことになってしまいます。

特に管理会社の社員の方がやってしまいがちな失敗が後日高額な請求をすることを予め遺族へ伝えてしまうことです。担当者としては請求があることを事前に伝えておきその後の交渉をやりやすくしようと考えてのことでしょうが、悪手でしかありません。

請求金額については実際に請求する金額が決まってからでも遅くありませんし、遺族側で出来ることを行ってもらった後であれば、請求した結果相続放棄をされたとしても大家や管理会社側で負担する費用は少なくなります。

怒ったり、法律的手段について言及するのはいつでも出来ます。それよりも出来る限り遺族側の協力を引き出すのが家主や管理会社がまず行う最初の交渉です。

遺体の身元が判明するのには時間が掛かる場合がある

賃貸物件で事故が発生した場合は季節によっては遺体の損傷が激しく家族による身元確認が出来ない場合が多くあります。

その場合は警察によってDNA鑑定や歯型などによって遺体の身元確認が行われることになりますが、地域によっては鑑定に時間が掛かる場合があり、長い場合だと3ヶ月近く身元が判明しないことがあります。

遺体の身元判明に時間が掛かった場合は次のような問題が出てきます。
遺体の身元が判明しないことには室内の整理に取り掛かれない。
遺体の身元が判明するまでは遺族にとっても相続や相続放棄に関する手続きが進められない。
上記の理由から室内の整理が出来ず、死臭や虫の被害が広がってしまう。

特殊清掃や消臭作業を先行して行う

賃貸物件で事故が発生した場合は上記のように身元確認に時間が掛かることや遺族が相続放棄を検討しているなどの理由からいつまで経っても室内の清掃が行われず、死臭やハエなどの被害が広がってしまう場合があります。

こういった場合はまずは隣室や階下からの苦情を防ぎ、また当該部屋以外の部屋の退去を防ぐ意味からも孤独死や自殺によって汚れてしまっている部分の清掃(特殊清掃)や消臭作業を早期に行う必要があります。

この際に遺族に連絡をしたとしても「相続放棄を検討しているので遺品整理を行うことができません」と言われてしまう場合があります。

遺族が相続人であったとしても連帯保証人ではない場合は室内の整理については「相続放棄」をすることによって責任がなくなりますので清掃などを無理強いできません。この場合は遺族の相続放棄の意思を確認した上で、まずは家主や管理会社で特殊清掃や消臭作業を先行して行うことを検討すべきです。

また、遺族の中には相続放棄は検討しているけれども出来るかぎりの事はするつもり、という相続人の方も多くいらっしゃいます。そういった相続人の場合は次のように説得して特殊清掃や消臭作業を行ってもらうようにしてください。
市場価値の無い物を処分しても相続放棄には影響しない。
死臭や虫の原因となっている部分だけの清掃なら相続放棄には影響がない。
早期に清掃をしてもらえればそれだけ損害の額が少なくて済む。


相続放棄を検討されている遺族が一番心配しているのは遺品整理をしたことによって相続放棄ができなくなるのではないか?ということです。ですのでこの点をしっかり説明してあげることで遺族によっては特殊清掃や消臭作業を行ってくれる場合があります。

どうしても遺族が特殊清掃や消臭作業を行ってくれない場合は家主側が作業を行う必要がありますが、この場合でも遺族側へ室内への立ち入りと汚損部分の清掃や消臭作業を実施することは通知しておく必要があります。

連帯保証人がいる場合
連帯保証人がいる場合は連帯保証人へ連絡して上記作業を行ってもらう必要があります。しかし、連帯保証人がすぐには手配が出来ないような場合は家主側で手配をしてそれに掛かった費用を連帯保証人へと請求することとなりますので、事前に見積もりを提示して支払い意思を確認してください。(連帯保証人に支払い義務があるかどうかは以下で解説)

孤独死・自殺の場合であっても請求できる金額は以外と少ない

賃貸物件で孤独死や自殺が起きた場合に家主として発生した損害の補填を考えるのは当然です。しかし、必ずしも遺族や連帯保証人へと請求した金額が全て支払われる訳ではありません。

そもそも孤独死の場合は一般的に自然死と考えられていますので、その死亡に故意も過失もありません。したがって自殺の場合のように「損害賠償(逸失利益)」という請求権が発生しないと考えられています。ですので、事故物件の場合に良く耳にする「1年分の家賃+半額の家賃2年分」といったような請求を遺族にすることは出来ないと考えられています。

さらに、孤独死の場合はたとえ遺体の腐敗が進行して、それによって床材やクロス等に損傷が発生したとしても、その部分に関するものであっても原状回復費用の請求をすることができない可能性があります。

なぜなら、遺体の腐敗によって発生した損害は入居者が亡くなった後に発生している為、その発生には入居者の故意も過失もないことになるからです。

このような場合に高い請求金額を基に弁護士を雇って訴訟まで行ってしまうと、裁判では被害の認定がされず、また争った金額が高ければそれに応じて弁護士の費用も高くなってしまうため、家主側の被害ばかりが大きくなってしまう可能性があるのです。

また、自殺の場合であっても、孤独死の場合よりは被害が認定されやすいですが、家主側が想定しているよりかなり金額的には少なくなるケースがほとんどです。

過去の判例でも損害賠償(逸失利益)の金額は家主が請求した金額より遥かに少ない金額しか認められないケースや自殺とは関係ない部分の原状回復は認められないなど家主側にとっては厳しい判決が出ているのが実情です。

ですので、孤独死だから、自殺だからといって遺族側へなんでもかんでも請求してしまうと遺族側としても最低限の知識はインターネット等で調べていますので、反発することとなります。

それよりも遺族側へと配慮する姿勢を見せつつ、この部分だけはどうしても支払ってもらいたい部分。また、その支払い部分についてはこういった根拠があるから支払いを請求しているという姿勢で、なるべく家主側の負担が少なく、かつ遺族側としても納得できる理由を提示していくのが大事となります。
※遺族側に支払いを拒否される理由のほとんどがなぜその金額が請求されているのかが判らない。理由が判らない物まで支払いたくない!といったものがほとんどです。

孤独死や自殺が起きた場合は家主側が被害者で借主側が加害者かのように思われるかもしれません。それによって遺族に対する言葉や態度が高圧的になってしまうこともありますが、それでは問題の解決が遠のいてしまう結果になりますので、遺族の状況にも配慮して可能な限りの協力を引き出すのが最善の方法と考えます。

協議の結果は必ず書面に残しましょう

遺族側と損害賠償や原状回復に関する話し合いが纏まった場合は必ずその結果を「合意書」などの書面に残すようにいたしましょう。

賃貸物件で孤独死や自殺が起きたような場合は遺族側も混乱しているケースが多く、ちゃんと話しあっているつもりでも実際には会話に齟齬が生じている場合があります。

言葉にしたことを書面にして再度確認することによってお互いの理解が深まりますし、また以後の紛争を防ぐ最も簡単で安価な方法でもありますので協議の結果は必ず書面で残すようにいたしましょう。

ご相談料について

初 回 相 談 無    料         10分程度
2回目以降のご相談   8,000円 1時間程度
合 意 書 作 成 32,400円 協議結果の書面化
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