名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ

2023.11.03

遺品整理で依頼者に返す物が何もないなんてことある?!

おはようございます。名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八行政書士事務所の谷です。11月なのに夏日とは信じられないくらい陽気な日が続いていますね。それでも早朝・夜間との寒暖差はありますので、健康には注意していきましょう。

さてさて、本日は当事務所以外のところが行った遺品整理のお話しです。

当事務所では、基本的に遺品整理から始まり、故人の死亡後に必要な行政手続きや相続財産の手続きまで、まとめて行うことが多いのですが、依頼の中には既に遺品整理が終わった状態で相続手続きや死後事務の部分だけのご依頼を頂くこともあります。

もちろん、そうしたご依頼も大歓迎なのですが、自分たちで遺品整理を行った場合とは異なり、相続や死後事務に必要な書類や資料が遺品整理で失われてしまっているといったケースがあります。

先日、行った相続手続きでは、相続人の方より故人の預貯金の解約手続きのご依頼を頂きました。遠方に住んでいる相続人であったため、故人がどのような生活をされていたかがはっきりとせず、遺品整理が終わった後でも相続するのか相続放棄をするのか決めかねているご様子でした。

相続放棄をされるのでしたら、預貯金の解約はもちろん遺品整理等も行う際は注意が必要なののですが、相談を頂いた際には既に遺品整理を終えられているということでしたので、これは仕方ありません。

そういうご事情なら、まずは故人の財産状況の確認をしてみましょうということで、故人が利用されていただろう金融機関等へ口座の利用状況や残高の確認を行う手続きをしていきます。

当事務所で遺品整理を行っていたなら、この時点で遺品整理現場から取引のある金融機関等の資料を見つけて取引銀行のあたりをつける事ができるのですが、依頼者の手許にあるのは警察から返却された財布や通帳類だけとのことです。

通帳も最新の通帳ではなく、繰越済みの通帳だけで現在使用中の通帳の返還はなかったらしく、恐らく室内のどこかに隠れてしまっているのでしょう。

繰越済みの通帳でも過去にそこの銀行を使用していたのは間違いありませんし、今現在も引き続き使用されている可能性も高いですので、それらの金融機関+高齢者の利用の多いゆうちょ銀行やJAバンク等にも口座の照会をかけていきます。

照会をかけた金融機関では、「現在ご利用中のお口座はございません」といった結果に終わることも珍しくはありませんが、口座が無いという確証が得られることが大事となります。

そして、現在も生きている口座が判明したら故人の残高証明や入出金履歴を数年分取り寄せて、お金の動きを確認します。残高証明には故人が死亡した日付に口座にいくら残金があったかが示されており、入出金明細は故人の通帳に記帳されるている情報を改めて紙面に起こしてもらったものとなります。

故人の通帳等が見つからなかった場合でも、入出金履歴を取り寄せて確認をすれば、故人の預貯金口座でどのようなお金の動きがあったかがわかる訳ですね。

取り寄せた入出金履歴には、「家賃」「水道」「光熱費」「NTT」「NHK」など生活に必須な引き落としや、保険料や携帯代金、その他のサブスクの利用料の引き落としなど様々な情報が載っています。

この引き落としの中に消費者金融を示す名前があった場合は借金があるかも?と考えますし、よくわからない会社に定期的に支払いをしているようなら、健康食品やその他のサブスクの契約があるのかもしれません。

もちろん、年金や株式の配当金などの入金履歴なども出てきますので、年金をもらっているのに年金の入金記録が無いとなれば他にも利用している金融機関があるのでは?といった参考になります。(年金の振込先は年金機構から送られるハガキや年金事務所でも確認できます)

今回もそうした入出金の明細を取り寄せて確認していたところ、クレジットカードの引き落としと思われる支払い履歴が見つかりました。クレジットカード会社の引き落としの場合は、クレジットカード会社は代金の支払いをしているだけですので、その代金の発生元となったなんらかの契約があるはずです。

ETCの利用のように使った分だけがクレジットカードで支払われるという物でしたら、故人の死亡以後は当然利用されていないはずですので、利用していない月の請求は出てこないはずです。

しかし、その方の明細は数年前からほぼ同じ金額が毎月決まった日にちに引き落としが掛けられており、それは故人の死亡後数ヶ月経った後も続いていました。

そうなってくると、あれ、これはおかしいぞとなるわけです。

こうした場合は、そのクレジットカードの会社へと連絡を入れて引き落とされているお金が何の利用料なのかを確認する必要があるのですが、当然士業だからといって個人情報を簡単に教えてくれる訳ではありません。

クレジットカードの会社へ問い合わせるために必要な資料として、当然故人が利用していたクレジットカードが一番の情報となりますので、相続人の方へ「財布の中などにクレジットカードはなかったでしょうか?」と聞いたところ、カード類は一切入っていないとのことでした。

そうなると、他の通帳などのように遺品整理現場に残っていた可能性が高いのですが、遺品整理業者からは何も返却されていないとのことです。

正直、え?何もない?本当に?という気持ちです。依頼者の方が立ち会ったうえで確認しながら遺品整理を行っているのでしたら、作業中に全て確認しているということで、持ち帰った物が何もないというのならまだわかります。

しかし、今回の依頼のように遠方のお住まいの方からの依頼で遺品整理を行う場合は、当然遺品整理業者だけで作業を行っている訳で、遺品整理で出てくる書類関係の中にはスタッフでは判断ができない書類等が絶対にあるはずです。

私のような相続専門で行っている士業が直接現場で遺品整理を行っていても、依頼者の方に確認が必要と思われる書類関係は沢山でてくるのに、一般の遺品整理業者のスタッフが全てを自分たちで判断できるなんてことはあり得ません。

当然、そうした遺品整理スッタフでは判断のつかない書類等が出てこれば、電話で確認したり、後日郵送で送付して確認してもらったりという対応が必要となるのですが、今回はそうした対応が一切なく、全て処分されて終わりだったようです。

こうした遺品整理をされてしまうと、相続手続きをしている士業の立場としては非常に困るわけで、本来簡単に見つけられたはずの相続財産や借金をあれやこれやと手を尽くしてやっと見つけるといった事になってしまい非常に非効率となります。

本職の士業と同程度の知識を持つのは当然できないでしょうが、せめて自分達で判断ができない物は依頼者に確認するといった最低限の事はしてもらいたいと思う次第です。

今回のケースの顛末としては、クレジットカードの会社へ故人の利用していたカード番号不明のまま、まずは利用登録があるかどうかを確認してもらうところから始めて、利用登録の確認後に引き落としのされていた利用料が何の利用料なのかの確認を取ることとなりました。

当初は定額の引き落としが続いていたことから、「もしかして大きな買い物をした後にリボ払いでもしているのでは?」と大きな額の借金について心配していましたが、実際は故人が利用していたサービスの毎月の利用料の引き落としという結果でした。

その利用サービスも事前に解約の手続きをしていましたので、今後は引き落としは掛からないということになり、ほっと一安心といったところです。

相続放棄が絡む案件では、相続人が自分が相続人と知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所へと申述しないといけないという期間制限があります。

遺品整理業者が室内から大事そうな資料やクレジットカード等を見つけて依頼者に返却していたのでしたら、金融機関から入出金明細を取り寄せる前の、もっと早い段階でそうしたクレジットカードの利用に気づけたこととなり、依頼者としてももっと余裕をもって相続するのか放棄するのかの判断材料を手に入れることができたことになります。

今回は幸いに借金ではありませんでしたが、もし、故人が大きな借金を抱えていた場合にそうした借金の存在を示す資料を遺品整理業者が依頼者に確認もせずに処分してしまっていたとしたら、依頼者は借金の存在に気付かずに通常通り相続をしていたかもしれません。

その借金の額が相続人にはとても支払い切れる額ではなく、相続人の生活ができなくなるような状況になってしまったら遺品整理業者は責任を取ってくれるのでしょうか?

遺品整理業者への依頼の多くは残置物の撤去の依頼となりますので、遺品整理業者としては自分達は依頼内容に従って業務を行ったとして遺品整理業者に責任を追及するのは難しくなるでしょう。

故人と疎遠で故人がどういった生活でどのような財産をもっていたのかが分からないといったケースでの遺品整理では上記のような相続人にとって非常に危険なケースもありますので、遺品整理業者選びには十分ご注意くださいね。

遺品整理・死後事務のご相談は名古屋の第八行政書士事務所までどうぞ~。

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