名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ
2024.01.13
相続放棄をしたら市役所等への届出はしなくてもよいのか?
おはようございます。名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八行政書士事務所の谷です。気づいたら1月も中盤に差し掛かっていますが、本年もよろしくお願いいたします。
年末年始は役場も動いておらず、年末に申請した相続手続きに関する戸籍が一向に届かずヤキモキとしている次第です。(笑)
さてさて、本日の話題は相続放棄をされた遺族の方はどこまで故人に関する行政機関への届出等をしないといけないのかについてです。
と、書いても状況がピンと来ないと思いますので、当事務所へのご相談でよくある事例を挙げてみます。
事例)
故人(被相続人):名古屋在住で多重債務者。(消費者金融からの借り入れ多数)
相続人 :東北地方に住んでおり、故人の甥ではあるが故人とは面識なし。
状況:故人は賃貸物件に住んでおり、真夏に孤独死の状況で発見。死亡から数ヶ月経過後に発見されたためDNA鑑定で本人確認を行う。
当事務所への相談までの経緯:名古屋の警察署より故人の死亡の連絡とDNA鑑定への協力依頼及び本人確定後の遺体の引き取りと賃貸物件の管理会社への連絡を伝えられたが、故人とは面識もなくどうしたらいいのかわからずHPを見ての連絡。
相続人の希望:故人とは面識もないことから遺体の火葬等は行うが、それ以外については相続放棄等をして関わりを最小限にとどめたい。
上記のようなケースが孤独死や自殺をされた遺族の方からよくある相談事例となります。もちろん、故人と相続人が親子関係や兄弟関係というのでしたら、状況は変わってきますが、関係が薄くなる、「おじ・おば」や「甥・姪」の関係ともなると、こうした相続放棄に関す相談が多くなってきます。
当事務所では、遠方にお住まいの親族が土地勘の無い名古屋やその近郊での葬儀や行政手続きについてお手伝いしており、専用の葬儀プラン等も用意しています(お墓不要のゼロ葬プラン)。
相続放棄をした場合の行政機関への届出について
上記の事例のように、消費者金融等から複数の借り入れをしているケースでは故人にはプラスの財産は無く、借金等のマイナスの財産ばかりとなっているケースがほとんどで、相続人も相続放棄を選択することとなります。
また、多重債務者ではなかったとしても、賃貸物件で長期間遺体が放置されたような状況で発見された場合は、その後の賃貸物件の補償の問題等で相続人の持ち出し金額は多額に及んでしまうケースもありますので、故人に目立ったプラスの財産が無い場合は同じく相続放棄を選択されるケースが多くなります
では、相続放棄をした場合、遺族は最低限何をしなければいけないのか?
相続放棄は自分が相続人である事を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所へと手続きをして初めて、相続開始時より相続人ではなかったものとみなされる制度ですので、家庭裁判所への手続きは必須となります。
基本的にはこの家庭裁判所への手続きさえしてしまえば、相続人であった遺族は、はじめから相続人ではなかったものとされるため、故人の死亡後に必要となる手続きについては一切関与する必要はありません。
個別に賃貸物件の連帯保証人になっている訳でなければ、遺品整理をする必要もありませんし、孤独死等で発生した賃貸物件の損害についても弁償する必要もなければ、未納の家賃等を支払う必要もありません。
もちろん、消費者金融等への借金を故人に代わって支払う必要などもなく、基本的には故人の手続きには一切関知する必要はなくなります。なぜなら、相続放棄によって相続人ではなくなっているので、故人に関する権利義務を一切承継していないからです。
そうなると、市役所等への届出も一切しなくてよいのか?という相談を受けることがあります。
基本は一緒で、相続人ではない以上市役所等への手続きも一切する必要はないことになるのですが、死後事務を専門に扱う立場からは、相続放棄をしたとしても必要最低限の役場への届出だけはしておく事をお勧めしています。
相続放棄をした以上は、市役所等の行政機関への届出に関しても相続人の立場としてする必要はないのですが、何も連絡しないとなると、行政機関側も相続人が相続放棄をしたことを知る術がありません。(家庭裁判所から各行政機関へ相続放棄の情報が共有されるといった事はありません)
ですので、遺族が相続放棄をしたことを知らない行政機関としては、通常の相続人への手続きと同様に、相続人代表者の指定の届出の通知や、市県民税の未納のお知らせ、介護保険料の未納(又は還付)の通知等を戸籍上の相続人へと発送してくることになります。
また、故人が年金受給者のようなケースで、故人の死亡から発見までに数ヶ月経過しているようなケースでは、年金の過払いが発生しているケースもあり、年金事務所より過払い金の返金の通知が遺族へと送られてくることもあるでしょう。
上記のような通知や郵便物は一度にまとめて送られてくる訳ではありませんから、各行政機関のタイミングで随時送られてくることとなり、相続人としては、せっかく相続放棄をしたのに、いつまでも故人に関する通知が届いて非常に落ち着かない状況になります。
こうした事態を避ける為にも、相続放棄をしたうえで行政機関へは国民健康保険や介護保険の資格喪失手続き、年金受給者の死亡連絡等、必要最低限の手続きだけは行っておき、併せて自分達は相続放棄をする旨を伝えておくと良いでしょう。
行政機関によっては、相続放棄申述受理通知書等を送ってくださいと言われることもありますが、相続放棄受理通知書は相続放棄の手続きが終われば送られてくる書類ですから、届き次第役場へコピーを送れば、以降は役場内で情報を共有してくれて、未納金の通知等は発送されなくなることもあります。(各役所の対応によって変わりますので絶対ではありません)
故人の死亡後に送られてくる書類の中には、未納金の納入通知の他、介護保険の支払い過ぎた分を返還する還付金の通知等もあります。
相続放棄をしたのだから、未納金の通知が来ても支払いは断ると思われますが、還付金の受け取りとなるとお金が貰えるケースですので、貰えるものは貰っておくかと、相続放棄をしているのに還付金の受け取り手続きをしてしまう方がいます。
介護保険の還付金は、葬祭費や未支給年金とは異なり、故人の財産と考えられていますので、受け取ってしまうと相続放棄に影響が出てしまう可能性があるものとなります。
ですので、こうした余計な通知やトラブルを避けるうえでも相続放棄をした場合であっても、行政機関への必要最低限の手続きと相続放棄をした(する)旨は伝えておいた方が良いと私は考えております。
故人の相続放棄とその後の手続きでお悩みでしたら第八行政書士事務所にて相談に応じておりますので、お気軽のご相談くださいね。
お墓不要のゼロ葬プラン
ゼロ葬プラン | 火葬後の遺骨を収骨しないシンプルな葬儀プラン |
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内 容 | ・遺体引取り、葬儀社手配 ・警察への同行 ・直葬(火葬式) ・収骨なし(収骨することも可能) ・行政機関への届出(年金事務所は除く) ・葬祭費の申請代行 ・相続人の確定手続き(法定相続情報一覧図作成) ・各種相談対応 |
費 用 | 253,000円(税込) 故人が国民健康保険の加入者の場合は葬祭費5万円の支給あり(名古屋市等) |
対応エリア | 名古屋市及び名古屋市近郊(愛知県は全域対応) ※名古屋市以外の場合は交通費等の費用の加算あり。 |
備 考 | 直送は提携葬儀社の直送プランとなります。 孤独死・自殺の場合は検死を行った病院に「死体検案書」費用の支払いが上記料金とは別に発生いたします。 |