名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ
2024.04.15
死亡記載のある戸籍ができるまでに3週間?!
おはようございます。名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八行政書士事務所の谷です。
一気に暖かくなり、一部地域では既に夏日を記録しているとかで近くの桜は一瞬にして葉桜となってしまいました。今年ゆっくり見れた桜は死後事務の関係で付き添いをした火葬場の桜だったかもしれません。
さてさて、第八行政書士事務所では、遠方の家族の支援に特に力を入れております。
例えば、東北や北海道、四国や九州といった名古屋から遠い都道府県にお住まいのご家族から、名古屋やその近郊にお住まいだったご家族が亡くなったという際に、葬儀の手配や役場の届出などの相続・死後事務の支援をしております。
当事務所へのご依頼で多いのが、名古屋でお住まいだった遠戚にあたる親族が「孤独死」や「自殺」といった形で亡くなり、警察でのDNA鑑定を行うような状況下でのご依頼です。
警察でのDNA鑑定には数週間から時期によって数ヶ月かかることもあります。
DNA鑑定は遺体の状況からすぐに本人確認ができない場合に取られる方法ですが、基本的に住居で亡くなっている場合は生活していた本人であることがほとんどですので、「鑑定の結果、別人でした!」ということはまずありません。(過去には他人だったケースもあるようですが、あくまで例外でしょう)
ですので、警察からDNA鑑定の連絡を受けたご親族からの相談の際には亡くなったご本人であることを前提に準備をしておいてもらい、名古屋へお越しの際は葬儀はもとより、その後の相続手続きや行政手続きも火葬後にすぐに着手できるよう準備をしておきます。
ただ、行政への届出は問題ありませんが、銀行等への相続手続きにおいては「故人の出生~死亡までの連続した戸籍」が必要となり、故人の死亡記載のある戸籍は死亡届が出された後でしか戸籍には反映されません。
当然、DNA鑑定で本人確認が取れなけれ死亡届を出すことはできませんので、当事務所にご依頼を頂くケースでは死亡届を出すのは葬儀の数日前となることがほとんどです。
そうなると、ご家族から各種委任状を貰い、葬儀後すぐに故人の死亡記載のある戸籍を請求したとしても、故人の死亡記載のある戸籍が作成されるまでのタイムラグの関係上請求した段階では本籍地の故人の戸籍には死亡が記載されていないことがほとんどです。
また、故人の本籍地と故人の住所地が違うことも珍しくはなく、特に単身世帯の方のように婚姻歴がない方の場合は分籍でもしない限り親の戸籍に残ったままですので、遠方で離れて暮らしているといった場合は、まず本籍地と住所地は異なることとなります。
こうした本籍地と住所地が異なるケースで死亡届を出す場合は、「故人の死亡地」で死亡届を出す事が多くなります。
※死亡届が出せる場所「死亡者の死亡地・本籍地又は届出人の所在地の市役所、区役所又は町村役場」
ただ、名古屋で生活されていた方の本籍地が遠方にある場合は、名古屋で死亡届を出しても、死亡の記載を反映させるのは遠方の本籍地の役場となるため、非常に時間が掛かることがあります。
ご家族から相続手続きの依頼を受任した際は、出来る限り早く手続きに着手するために、故人の本籍地の役場へと故人の死亡が反映され次第戸籍を送ってもらうように予め申請しておくのですが、一向に送られてこないことがあります。
例えば先日受任した案件でも、「故人の死亡が記載され次第送ります」という連絡が本籍地の役場からあった以降、まったく連絡がなく死亡届を出してから3週間が過ぎたタイミングで役場へと連絡を入れてみると「昨日、死亡届を出された役場より連絡がありました」という状況でした。
そこから本籍地の役場でデータ入力やら承認手続きやらを行って、やっと発送となると言いますから、死亡届を出してから故人の死亡の記載のある戸籍が手許に届くまでに約1ヶ月かかることになります。
正直このデジタル社会においてどうしてそこまで時間が掛かるのか不思議でなりませんが、相続手続きには相続放棄のように期間制限のある物もあり、手続きの基本となる戸籍の取得にここまで時間が掛かってしまうとその後の手続きにも大きく影響してしまいます。
相続放棄をするかしないかを決めるには、故人の財産状況を把握しなければなりません。故人の部屋をみたら借金の督促状だらけといったように明らかに負債が多いと思われる状況なら、すぐに家庭裁判所へ相続放棄の申述をすればよいのですが、プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いのかはっきりしないという状況では、故人が所有していた銀行口座や証券会社等へも確認が必要となります。
当然、銀行等は故人の資産状況を誰にでも開示する訳ではありませんので、故人の相続人であることを証明したうえで残高証明や取引明細を取り寄せることになります。
しかし、故人の相続人である事を証明するには、まず故人が死んでいる事を証明しなければならず、その証明書となるのが故人の死亡記載のある戸籍となるわけで、故人の死亡記載のある戸籍がなければ銀行での確認作業は全く進まないことになります。(紙の通帳があるのならATMで記帳してある程度の財産状況の把握は可能です)
銀行に残高証明を請求する場合でも、地銀の場合でしたら即日発行してくれる場合もありますが、都銀の場合は基本的に相続専門部署へ必要書類を送ってからの回答となりますので、申請してから1週間~2週間程かかるのが普通です。
相続を専門に扱っている士業が行う場合でしたら、相続放棄の熟慮期間(3ヶ月以内)に故人のある程度の財産状況の把握もできるでしょうが、一般の方がこれをしようと思うと慣れない手続きであっという間に時間切れとなってしまいます。
故人の住所地と本籍地が離れている場合は、上記のような理由からかなりタイムスケジュールがシビアになってしまうこともありますので、相続放棄を検討している等、手続きに不安がある場合は専門家へご相談くださいね。