名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ
2024.10.26
相続放棄前の財産調査の重要性について
おはようございます。名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八行政書士事務所の谷です。
やっと夏が終わって秋らしくなってきましたね。8月.9月は保留になっていた案件が一気に依頼へと切り替わりブログを書いてる暇もありませんでした。いつもご依頼ありがとうございます。
さてさて、そんなバタバタした状況での出来事なのですが、ある遠方に住むご親族の方より名古屋に住む親族が孤独死したと警察から連絡が入ったので相談に乗って欲しいという連絡が入りました。
状況的には、ひとり暮らしをしていた依頼者の兄が名古屋の賃貸物件で孤独死の状況で発見されDNA鑑定の結果本人確認も取れたという状況のようです。
お兄様とは長年疎遠だったこともあり遺体の引取り等を断ろうと考えているようですが、兄がどういった生活をしていたのかが全くわからず、財産があるのか、借金があるのかといったことも不明で、今後の手続をどのように進めていけばいいのかが分からないという相談です。
幸い、相談者の方は賃貸物件の連帯保証人にはなられていないとのことでしたので、お兄様が借金を持っていたり、借金を持っていなくても遺品整理や特殊清掃、その後の貸主からの原状回復費等の請求がお兄様の相続財産を超えているような場合なら相続放棄も検討しなければいけません
しかし、そうしたお兄様の資産状況については、遺体を引きあげている警察や役場では把握していないため、教えてもらうことはできません。
ですので、お兄様がどういった資産を持っており、相続した方が良いのかそれとも放棄をした方が良いのかはお兄様のお住まいだった住所へと実際に行ってみて、室内にて財産調査を行う必要があります。
財産調査を行った結果、預貯金や株式、保険金といったプラスの財産がある程度まとまった額で見つかれば、相続する方向で動きだしますし、反対に督促状や弁護士からの封書などが多数届いているようなら、多重債務者の可能性があるため、相続人としては相続放棄を検討しなくてはならないこととなります。
もちろん、室内を確認しただけで全てが判明する訳でありませんので、必要に応じて金融機関にて通帳の記帳や残高証明を請求したり、負債が心配な場合は信用情報機関へと故人の借り入れ等の開示請求を行っていくこととなります。、
いづれにしても、まずは現地を確認してみないことには方向性を決められませんので、遠方にお住まいの親族に代わって当職において室内での調査に入らせて頂くこととなりました。
鍵は管理会社が持っているとのことでしたので、朝いちで管理会社へと伺い鍵を預かって、現地へと向かいます。
まず確認するのが集合ポスト。多重債務者のケースでは集合ポストに各種督促状等が多数入っているケースがありますので、どういった所から郵便物が届いているのかが重要となります。
依頼者の方には事前に郵便物を開封する許可を頂いていますので、怪しい封筒を確認していくと、カード会社や弁護士事務所、電話会社等から督促状が届いていました。
この時点で多重債務者の可能性がかなり高いのですが、玄関扉を開けてさらにびっくり、足の踏み場もないゴミ屋敷状況です。
腰位の高さまで溜ったゴミの中を進み室内を確認しますが、財産調査ができるような状況ではありません。
通常は、室内の引き出しやタンス等を確認して貴重品や資産状況が分かるものを探していくのですが、こうしたゴミ屋敷の部屋はそもそも扉部分が全てゴミで埋まってしまっており、引き出し等を開けることができません。
この状況では財産調査はできないため、現地の写真や督促状等の画像に撮り、依頼者へと報告。
依頼者の方もまさかこんな酷い状況になっているとは想像もしていなかったようで、相続放棄を進めるとの結論に至りました。
もし、何もわからない状況で賃貸物件の管理会社から求められるままに遺品整理を行うことを承諾していたとしたら、後日管理会社よりとんでもない額の遺品整理費用が請求されていた可能性があります。
あくまで当事務所での見積額を伝えるなら、ゴミ屋敷状況の遺品整理だけでも100万近くの費用が発生する状況でしたので、これに特殊清掃や原状回復費が掛かるとなったら、かなりの額となっていたと思われます。
もちろん、依頼者である相続人が相続放棄をすることでその負担は賃貸人へと移ってしまうのですが、最近は連帯保証人を取らない代わりに賃貸人側で孤独死や自殺に備えた保険に加入していることも多くなってきていますので、今回のケースでも大手の管理会社が入っていることから保険対応になるかと思われます。
孤独死案件では、大家や管理会社から遺品整理を急かされて、慌てて遺品整理を実施してしまうケースが非常に多くあります。
ただ、連帯保証人でもない限りは、親族は相続放棄によって遺品整理を含む故人の債権債務を全て放棄することも可能ですので、まずは落ち着いて故人がどういった生活をしていたかの確認に務めてください。
故人の遺品整理をしたからといって相続放棄ができなくなる訳でありませんが、相続放棄をする場合はそもそも遺品整理をする必要もないため、無駄な出費をせずに済むこととなります。
もちろん、大家や管理会社へ迷惑を掛けないように敢えて遺品整理を行うこともできますが、故人の負債状況によっては遺品整理に手をつけない方が良いケースもありますので、まずは専門家への相談をお勧めします。
相続放棄をする期間は故人の死亡を相続人が知ってから3ヶ月以内となりますが、財産調査に時間が掛かるようなケースでは、期間の伸長も可能ですので、慌てる必要はありません。
何度も言いますが、まずは落ち着いて故人の生活状況、資産状況、負債状況を確認するところから始めてください。
それから対応を決めても決して遅くはありませんので、心配な場合は早めに専門家へと相談してくださいね。
遺品整理・死後事務のことは名古屋の第八行政書事務所までどうぞ~。