名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ
2025.06.03
家族が孤独死して警察から連絡がきた場合の対処方法
本ページでは、疎遠だった親族が賃貸物件で孤独死(自死含む)で発見された場合の対処方法について、警察からの連絡からはじまり、遺品整理、相続手続きまでの流れを読みやすくまとめてあります。
疎遠だった親族が孤独死等で発見されて、遺族として何をどのように対処したらいいのか、また、どういった点に注意しなければいけないのかの参考にして頂ければと思います。
警察から親族が孤独死したとの連絡が入る

名古屋であなたの親戚(おじ・おば)と見られる方が孤独死の状況で発見されました。季節柄遺体の損傷も激しいのでDNA鑑定が必要となりますのでご協力をお願いします。
本人確認が取れましたら遺体の引き取りと室内から回収した貴重品の受け取り及び賃貸物件の管理会社へ連絡をお願いいたします。

え!そんなこと言われましても。何十年も会っていない親戚ですし、名古屋なんてここから(九州)遠いですからすぐには対応できないのですが、、、、

困ったな、、、、仕事も何日も休むこともできないし、土地勘もない所で葬儀社の手配や役所の手続きは大変だろうしな。
そもそも付き合いが無かったからどんな生活していたかもわからないし、もしかしたら借金を抱えて亡くなっているかも、、、、、

第八行政書士事務所では、遠方にお住まいのご親族に代わって葬儀や役所への届け出、金融機関の調査等を行っております。
必要に応じて、遺体の引き取り時や貴重品の受け取りの際の警察への同行、故人が生活されていた室内での相続手続きに必要な貴重品捜索にも同行いたします。
※入室許可及び事前に鍵をお預かりできる場合は当事務所単独での調査も可能です。

遠い親戚のようで付き合いも無かったため、葬儀はシンプルに直葬にしたいと考えているのですが、仕事の関係でできるだけ滞在日数を短く手続きを終わらせたいのですが、どうすればいいでしょうか?

警察でのDNA鑑定が終わり本人確認が取れた時点でご連絡ください。提携の葬儀業者にて事前に警察から遺体の引き取りを行っておき、遺族がこちらに来られた当日に火葬できるように準備しておきます。火葬に必要な死亡届・火葬許可証等も事前に手配しておきます。

故人の遺骨はどうしたらいいのでしょうか?親戚といっても付き合いも無い方だったのでお墓などがどうなっているのかわかりませんし、地元のお寺等に納めれば良いのでしょうか?

菩提寺があるのでしたらそちらに相談する方法もありますし、名古屋の場合は火葬後の焼骨を「収骨しない」という選択もできますので、遺骨を持ち帰らずに火葬場にて処理してもらう事も可能です。その場合は事前に申請が必要となりますのでご希望をお知らせください。

葬儀以外に何をすればいいのか初めてのことで分からないのですが、、、、何を準備していけば良いのでしょうか?

葬儀後に必要となる手続きとしては主に次のようなものとなります。
①行政機関への届け出(健康保険の資格喪失や介護保険証等の返却、葬祭費の申請)
②相続人の確認(戸籍調査)
③故人の財産調査(負債含む)
④遺品整理
⑤故人の公共料金等の未払い清算及び解約手続き
⑥相続手続き又は相続放棄の手続き

遠方に住んでいるため、全部の手続きを自分たちで行うのはとても無理なのですが、代わりに手続きしてもらう事は可能ですか?

もちろん大丈夫です。
遺族に代わって手続きや調査を行うにあたり次の物が必要となりますので、こちらにお越しになられる際にお持ちください。
戸籍等はこちらで職権にて取得することもできますので、お仕事で日中役場に行けない場合はご用命ください。
必要書類
①故人の出生~死亡までの戸籍(広域交付対象)
②故人の住民票の除票(死亡届後に故人の住所地にて取得)
③相続人の戸籍及び住民票
④相続人の実印及び印鑑証明書
⑤葬祭費の振込先となる相続人名義(喪主名義)の口座情報

警察から貴重品の受取りを求められているのですが、こうした貴重品の受取りも代行でお願いすることはできるのでしょうか?

貴重品の受取の代行については、警察(担当刑事)の承諾があれば可能です。
一般的にこうした事案の場合、警察では故人の室内から携帯や財布、通帳、その他の貴重品を引きあげている事が多く、ご遺体の引き渡しの際にこうした貴重品も遺族へと引き渡しをされます。
貴重品の中には現金なども含まれていることが多く、遺族の方と同席の上で金額を確認して問題がないかを確認してもらった上で受取書に遺族の署名を求められます。
このように、現金をはじめとした貴重品の取り扱いについては警察でも慎重になっており、基本的には遺族にだけ返却する対応を取ることがほとんどのため、代行での受取りついては断られることも珍しくありません。
したがって、遠方に居住している事や仕事や家庭の関係ですぐには貴重品の受取ができない状況を担当刑事とご相談頂き、警察にて代行受け取りを認めて貰えた場合は貴重品の受取をこちらで行うことも可能となります。
葬儀終了後~相続手続の検討について

慌ただしくはありましたが最低限の事はしてあげられたかと思います。この後はどうすればいいのでしょうか?

葬儀お疲れさまでした。この後の手続きについては、故人の相続財産を相続するかどうかを決めることが第一歩となります。
故人の財産を「相続する」場合と「相続放棄」をするとでは今後の手続きの流れが大きく変わります。
相続放棄をされる場合は提携の司法書士にて相続放棄の手続きを進めてまいりますが、相続放棄をするのでしたら行政機関への届け出や遺品整理等は行う必要はなくなります。(注1:賃貸物件の連帯保証人になっている場合は除く)
ただし、相続放棄をする場合でも相続放棄する旨を行政機関へ伝えておくことで、役所内で情報を共有してもらえる場合がありますので、届け出だけはしておくことをお勧めしています。
相続をするか相続放棄を選択するかについては、まず故人の財産状況等を確認する必要がありますのでおおまかには次のような流れとなります。
①警察から返却された貴重品(預貯金通帳やその他の書類)の確認
②警察から返却された室内の鍵で故人の住居内での貴重品捜索
③①及び②で見つかった資料(通帳、金融機関からの手紙、保険証券、株式資料、督促状)を基に通帳記帳や各金融機関等から残高証明等の取り寄せをしたり保険金の確認。
④③までの調査で判明したプラスの財産とマイナスの財産を比較して相続するかどうかを決定(ここまでの調査を2ヶ月程度で終えるのが目安です)
故人の財産調査の結果、相続する場合は金融機関の相続手続きや遺品整理等を行っていく必要がでてきます。
相続する場合は、それ以外にも故人が利用していた公共料金の未払いの清算、解約、携帯電話やNTT、NHK、その他のサブスク契約(Amazon prime、定期購入物)等の解約手続きが必要となります。


ご安心ください。
第八行政書士事務所では相続専門の士業が直接遺品整理現場で相続手続きに必要な資料を探しながら作業を行います。
遺品整理と同時に相続財産や解約の必要な契約関係等の洗い出しも行っていきますので、遺品整理が終わった段階でおおまかな財産状況が判明いたします。

こういった場合は事故物件と呼ばれて大家さんから多額の賠償金を請求されるケースがあると聞いたのですが、賃貸物件の解約手続きはどのように進めていけばいいのでしょうか?

賃貸物件で孤独死や自殺が発生した場合は賃貸人とトラブルとなってしまうケースもありますので、慎重に進めていく必要があります。
まずは、賃貸契約書を確認(手元になければ賃貸人又は管理会社からコピーを貰う)して賃貸契約時の「連帯保証人」が誰かを確認してください。
近年は、家賃の保証会社を連帯保証人の代わりに入れているケースも多く、故人の親族が連帯保証人でないケースも珍しくはありません。
また、民法の改正により親族が連帯保証人になっている場合でも「極度額」が定められており、連帯保証人が負担する上限金額が契約時に決まっている契約も増えてきています。
親族が連帯保証人でない場合でしたら相続放棄をすることで遺品整理を含めた全ての負債を負う必要がなくなりますので、賃貸人側からの請求額に応じて対応の幅が広がります。まずは連帯保証人が誰なのかを確認することが第一歩となります。
※相続放棄は故人の財産全てを放棄する手続きとなりますので、預貯金等も引き継げなくなります。(受取人の指定された生命保険など一部例外あり)

大家さんにもなるべく迷惑を掛けたくはないと思っており、故人にある程度財産が残っているようでしたらその限度において原状回復費用等の支払いを行いたいと考えています。
ただ、自分たちの生活もあるため、賃貸人から故人の相続財産を超える請求がされると困るのですが、良い方法はないでしょうか?

そうした場合は事前に「合意書」を賃貸人との間で取り交わしておくことで不測の事態に備えることが可能です。
賃貸人側としては、連帯保証人がいない状況で相続人に相続放棄をされてしまうと、遺品整理等の費用を全て賃貸人が負担しなければならなくなり、また残置物も勝手に処分することが出来ないことから非常に手続きが煩雑となります。
そうした状況なら、全額の損害の賠償は望めなくても「遺品整理費用」「特殊清掃費用」「未払い家賃の清算」「賃貸物件の合意解除」等のこれらの一部だけでも相続人側で行ってもらえるのでしたら賃貸人にとっては、相続放棄されるよりはるかに費用と手続き面で負担が減ることになります。
ですので、賃貸人と冷静に話し合いが可能な状況でしたら相続人側で負担できる範囲を賃貸人と話し合い、協議の結果を「合意書」にまとめておくことで、遺品整理が終わった後に賃貸人から多額の賠償を請求されるという事を防ぐ事が可能となります。
合意書の作成支援は当事務所にて行います。(賃貸人と相続人間の直接の交渉には関与できません)
※賃貸人との原状回復費用等の価格交渉を相続人に代わって行う場合は弁護士に依頼する必要があります。


まずは、行政機関への届け出を行う必要があります。特に保険や年金については届け出の期間も決められていますので、なるべく早く行う必要があります。
また、故人のお住まいだった地域の自治体に申請することで「葬祭費」の支給を受けられる場合がありますので、故人が対象者の場合は忘れずに行ってください。


もちろん大丈夫です。
手続きの中には携帯電話やインターネットのプロバイダ契約の解約手続きといった親族から連絡をして頂いた方がスムーズに解約手続きが進むものもあります。
そうした親族が行った方が良い手続きや士業が代行した方が良い手続きなどは事前にご説明のうえ、代行費用に掛かる費用等の見積書をご提示しますので、そちらをご確認頂きご依頼頂く内容をお決めください。
相続手続~依頼内容の完了まで

遠方で手続きが難しい物に関しては全てお願いしたいと思います。実際の手続きとしてはどのようにすればいいのでしょうか?

ご依頼ありがとうございます。
ご依頼内容に関しては基本的に全てこちらで進めていきますので、進捗あり次第随時ご報告いたします。
手続きを進めるにあたり各種委任状が必要となりますので、そちらに署名と捺印をお願いいたします。
また、金融機関への残高証明等の発行依頼には実印での捺印と印鑑証明書が必要となりますので、こちらのご用意をお願いいたします。
委任状を頂ければ後はこちらで手続きを進めてまいりますので、ご報告をお待ちください。
また、遺品整理時に発見した資料によっては確認のお電話をいれさせて頂きますので、ご対応をお願いいたします。

ちなみに手続きが終わるまでにどれ位かかるのでしょうか?

故人のお部屋の状況や相続人の人数、遺産分割協議の進捗などにもよりますので、一概には言えませんが、相続人間での争いがなければ2ヶ月~3ヶ月ほどで全ての手続きは完了できるかと思われます。
ただ、こちらでの業務が終わった後でも、介護保険料の還付金や市県民税の未納などがあった場合は、後日自治体より還付金の通知等が相続人に送られてくることがあります。
こちらは自治体ベースで発送が行われるため、上記の期間を過ぎた後で届くこともありますので、予めご了承ください。
- 疎遠な親族であまり関わりあいたくないのですが、遺体の引き取りを拒否することはできるのでしょうか?
警察から遺体の引き取りを求められたとしても、遺体の引き取りを断ることは可能です。断ったからといって罰則等もございません。連絡のつく親族全てに引き取りを拒否されたような場合は自治体にて火葬を行うことになります。
- 相続するか放棄するかまだ決めていないのですが、警察から貴重品の受け取りを求められています。どうすればいいのでしょうか?
賃貸物件で孤独死等が発生した場合は、事件性の確認も含めて警察が故人の室内に残されている携帯や通帳、財布、時計や貴金属等を回収しています。こうした物品はDNA鑑定終了後に遺体の引き渡し時に一緒に返却されることになりますが、これを受け取ってしまう事で相続放棄できなくなるのではといった心配があります。
相続放棄に影響があるのは故人の財産を処分した場合となりますので、相続するか放棄するかが決まらない間は、警察から返却されたままの状況で「保管」するようにしましょう。
現金や預貯金を使用したり、相続人の財産と混同してしまうと故人の財産処分とされてしまう可能性がありますのでご注意ください。
- 警察から返却された故人の財布にまとまった金額が残っていたのですが、遺品整理費用に充てても良いのでしょうか?
相続人が相続放棄をせずに相続すると決めており、かつ相続人間で遺品整理費用に充てる合意がなされているのでしたら使用しても問題ありません。
相続放棄をする場合や連絡の取れていない相続人がいる場合は使用は避けた方が良いでしょう。
- 疎遠な親族であったため直葬で送りたいと考えていますが、最後にお別れをすることはできますでしょうか?
直葬といっても葬儀社によって態様は様々で、当事務所が提携している直葬専門会社ではお別れ室が備えられていますので、大きな葬儀会館等を借りなくても親族のみで最後に顔をみて頂き、お別れしていただくことは可能です。必要に応じて宗教者にお勤めしていただき、戒名をつけてもらうといったことも可能です。
- 遺体の引き取り、葬儀の代行等を頼んだ場合費用はいくらになるのでしょうか?
当事務所では、直葬専用のプランを設けており、葬儀の後に必要となる行政機関への届出までサポートする形で提案しております。詳しくは下記のページをご参照ください。
「賃貸物件で孤独死・自殺された方の葬儀代行について」
- 仕事の関係で火葬に立ち合えないのですが、火葬後の遺骨だけ送ってもらうことはできるのでしょうか?
可能です。火葬には当事務所のスタッフが立会を行い、火葬後の焼骨を骨壺に入れてゆうぱっくにて送付することができます。
- 疎遠な親族でお墓等の状況がわからない為、「収骨なし」を選択しようと考えています。費用はいくら位でしょうか?
現在(令和7年)名古屋市で収骨なしを選んだ場合は事前の申請手続きが必要なだけで、収骨なしを選んだことによる追加費用の発生はありません。(※火葬料は市の規定した料金が発生します)
- 「収骨なし」を選択した場合、焼骨はどこにいくのでしょうか?
あくまで名古屋市の場合となりますが、名古屋市で収骨なしを選択した場合は、八事霊園内の霊灰庫に収められることになります。全ての自治体で収骨なしを選択できる訳ではなく、また焼骨の取り扱いも変わりますのでご注意ください。(収骨なしを選択できるのは主に西日本の地域となります)
- 連帯保証人と緊急連絡先の違いを教えてください。
「連帯保証人」と「緊急連絡先」の違いは責任の重さにあります。連帯保証人は賃借人(故人)と同様の責任を負うことになりますが、緊急連絡先はあくまで賃借人に何かあった際の連絡先でしかありません。
また、賃貸物件で孤独死等が発生した場合に賃貸人から請求される賠償金等について、連帯保証人は応じる責任がありますが、緊急連絡先としかなっていない家族(相続人)は相続放棄をすることで、支払いに応じる必要はなくなります。
- 連帯保証人はどこまで責任を負わなければいけないのでしょうか?
連帯保証人がどこまで責任を負うのかは、基本的には賃貸人と連帯保証人間の話し合いで決めていくことになります。
また、2020年4月1日以降の賃貸契約で連帯保証人になっているケースでは、賃貸契約書に「極度額」が設定されていますので、連帯保証人の責任の上限は「極度額」までとなります。
極度額はあくまで、上限の設定のため、極度額の金額を必ず支払う必要があるという訳ではありません。夏場の孤独死で長期間遺体が放置されて腐乱が激しく室内を全面リフォームしないといけないとか、また自殺や殺人事件のような場合に逸失利益についても賠償義務が発生するような場合は賃貸人からの請求金額も大きくなりやすいですが、そうした場合であっても、極度額までが連帯保証人が負う限度額ということになります。
反対に、孤独死が起きたとしても被害は少なくクロスの張替えや特殊清掃の費用だけといったようなケースでしたら極度額内に収まることもありますので、極度額を超えない損害の場合は賃貸人と連帯保証人間の協議によってその負担額を決めていくことになります。
- 賃貸物件で孤独死や自死が起きた場合の損害賠償の相場はいくら位なのでしょうか?
賃貸物件で発生する事故に対する損害賠償として主な物として「遺品整理費用」「特殊清掃費用」「原状回復費用」「逸失利益」「供養費」等があります。
ただ、事故の内容はそれぞれ異なり、孤独死なのか自死なのか、部屋の汚損や隣室階下まで影響が出ているのか、周辺住人まで事故の内容が伝わるような大きな事件だったのかどうか等、様々の事情を加味して請求金額が決まります。
例えば、入居者に過失のないとされる「孤独死」の場合でしたら、「逸失利益」の請求は否定される可能性が高いですが、反対に自死の場合は認められる傾向にありますし、同じ「孤独死」であっても発見までの期間や発見時の季節や遺体の腐乱状況によって、原状回復の範囲が変わってきたりもします。
このように、賃貸物件で孤独死や自死が発生した場合に貸主より請求される一般的に損害賠償と呼ばれている請求内容については、事案毎に精査する必要があるものであり、一概にこれ位が相場といえるものではありません。
貸主から請求された金額について納得がいかないという場合は弁護士へ相談をすることをお勧めします。
- 故人の推定死亡日から実際の発見までかなりの日数が経っています。その間に入金された年金はどうなるのでしょうか?
孤独死のケースでは、故人の死亡日から遺体の発見までに数日から長くて数年といった時間が経ってしまうことがあります。遺体が発見されなければその間、年金は故人の口座へと振り込まれ続けることになります。
ただ、死亡後に受給した年金については本来支払われるべきものではないため、後日払い過ぎた分の年金を返納する必要がでてきます。
ですので、故人の預貯金残高が思いの他沢山あると見えても実際には過払い年金が大半で返納したらほとんど残らないということもありますので、故人が年金受給者の場合は遺産として使用できる金額なのかどうかを年金事務所へ確認してから使用するようにしましょう。
- 孤独死現場の原状回復に故人が賃貸契約の際に加入した火災保険で対応することはできないのでしょうか?
孤独死を原因とした汚損、破損個所の修繕(原状回復)については、大掛かりな工事になることも多く、費用も高額になります。その場合に故人が賃貸契約時に加入した保険を利用して、原状回復費用の一部でも保険で賄えると遺族としては負担が軽くなります。
ただ、一般的な火災保険に付帯している借家人賠償保険は入居者の過失等を理由として発生した損害を補填するものとなるため、入居者に過失がない孤独死のケースは保険の対象外となることがほとんどです。反対に入居者の過失となる自死の場合は保険の対応が可能となる可能性がでてきます。
火災保険または付帯する保険が利用できるかどうかは各保険会社の判断となるため、まずは加入している保険会社に電話連絡をして確認してみることが大事となります。
また、近年は孤独死や自死に備えた保険が火災保険に付帯されているケースも多く、特に単身高齢者が入居する場合は、そうした保険に加入することを条件にしている賃貸契約もあるため、賃貸物件で孤独死や自死が発生した場合には、故人が入居者死亡に備えた保険に加入していないかを確認してみてください。
- 故人が孤独死に備えた保険に加入していたのですが、遺品整理は進めてしまっていいのでしょうか?
故人が孤独死等に備えた保険に加入していた場合、遺品整理費用や原状回復費用が保険で支払われることになります。
そうした保険を利用する場合は、保険会社によって事前に現場を確認するケースや遺品整理の前後の写真を提出する必要がある等、保険会社によって対応が変わってきます。
ですので、孤独死等にも適用される保険に加入していることがわかった場合は遺品整理を行う前に保険会社へと連絡を入れて、遺品整理や特殊清掃等をどのように進めていけば良いのかを確認してから実際の作業にとりかかるようにしてください。
- 故人が孤独死で発見されたのですが発見も早く特に死臭等もないのですが「特殊清掃」は行った方が良いのでしょうか?
孤独死の場合は入居者に過失がなく、また賃貸物件で入居者が病気や不慮の事故で亡くなることはごく当たり前だという認識から、室内で亡くなった=事故物件という訳でありません。
孤独死現場がいわゆる事故物件となってしまうのは、遺体が長期間放置された等の事由から、特殊清掃等を必要とする状況にまでなってしまった様なケースが事故物件(心理的瑕疵のある物件)として扱われることになります。
ですので、室内で孤独死が発生したとしても発見が早く遺体の腐乱も死臭の発生もない状況であれば、孤独死はあったかもしれませんが、事故物件にはなっていないため、通常の退去手続きと同様に進めれば問題ありません。
この事故物件となるかどうかの目安のひとつとして「特殊清掃」を行ったかどうかがあるため、遺品整理業者に勧められるままに、「特殊清掃」を行ってしまうと、特殊清掃を行った=事故物件の可能性が高いという判断に入ってしまいますので、行う必要のない特殊清掃は控えるべきものと考えます。
- 遺品整理をしてしまうと相続放棄はできなくなるのでしょうか?
相続人の方が故人の「財産処分」してしまうと、故人の相続を認めたことになる「法定単純承認事由」に該当することになり相続放棄に影響がでることがあります。
ただ、この故人「財産」とは、故人の遺品の全てを指している訳ではなく、市場価値のある物を指していると解されており、型式の古い家具や家電、食品や日用雑貨、日常使用している衣類等まで含まれている訳ではありません。
注意しなければいけないのは、現金や預貯金は当然として、高価なブランド品や貴金属、骨とう品や趣味の品、買ったばかりの家電製品など、買取りショップ等に持ち込めばそれなりの金額になる品です。
また、遺品整理業者の中には遺品整理費用を買取り金額から相殺して費用を安くしてくれるところもありますが、相続放棄を検討しているケースなら、こうした買取り行為は相続放棄に影響を与える可能性があるため、買取り対象とならない物だけ処分して、買取り対象となる物については別途保管手続き等をしておく必要があります。
- 相続人が全員相続放棄をした場合は誰が遺品整理を行うのでしょうか?
賃貸物件の入居者が亡くなった場合に相続人が全員相続放棄をした場合は、故人の財産を管理清算する人がいないことになるため、賃貸人が法律の手続きにのっとり部屋の明け渡し手続きを進めていくことになります。
これは、生活保護を受けていた方が亡くなった場合でも同様であり、生活保護受給者が死亡したからといって、自治体にて遺品整理を行ってくれる訳ではありません。
近年は家賃保証会社等がこうした事務手続きや費用の補償を行うケースもありますが、実施主体は賃貸人となります。
- 疎遠な親族の場合は、どうやって財産または借金を調べればよいのでしょうか?
故人が疎遠な親族だった場合は、故人がどのような生活をしてきていたのかがわからないのが普通です。そのため、故人がどのような財産をもっているのか、または借金等の負債を抱えているのかが分からず、相続していいのか、それとも放棄をした方が良いのかがわからないというケースも多くあります。
財産調査の基本は、遺品整理です。
故人の財産に関する情報は基本的に全て室内に保管されていることがほとんどですので、まずは、遺品整理の際に財産の手がかりとなる資料を全て回収しておくことから始まります。
何が財産に関係する資料なのかは一般の方にはわかり辛いところも多いため、当事務所のような相続に精通した士業等に遺品整理や財産調査を依頼するのが確実な方法となります。
当事務所では、遺品整理の際に預貯金通帳や保険証券、各種証券会社からの報告書等を基に、金融機関等へ残高証明や現存照会等を行い故人が生前有していた財産を洗い出していきます。
また、故人の室内や郵便受け等に支払い催告書等が多数届いているようなマイナスの財産が多くあると思われるケースでは、提携の司法書士を通して信用情報機関へ問い合わせを行い故人のマイナスの財産の洗い出しも行っていきます。
プラスの財産及びマイナスの財産ともに調査にあたっては、前提として故人の相続人の確定のための戸籍収集等が必要となり、場合によっては相続人の確定だけでも1ケ月ほどかかることもあります。
相続放棄を行う場合は、基本的に故人の死亡から3ケ月以内の家庭裁判所へと手続きをする必要があるため、決して時間的な余裕があるわけでありませんので、マイナスの財産が多いと思われる場合はなるべく早く専門家へと相談することをお勧めいたします。
- 故人が生前加入していた生命保険を調べる方法はあるのでしょうか?
故人が生前に生命保険に加入していたかどうかは「一般社団法人生命保険協会」にて調べることが可能です。詳しくは下記のサイトをご確認ください。
「一般社団法人生命保険協会(生命保険契約照会制度のご案内)」基本的に生命保険の場合は、受取人として指定されている方が相続放棄をしたとしても保険金を受けとれるケースがほとんどであり、また保険契約によって支払われる金銭は受け取ったとしても相続放棄には影響しないため、故人の相続は放棄したうえで、保険金だけを受け取るといった対応も可能となります。
ですので、消費者金融等からの借り入れついては相続放棄をして引き継がず、賃貸物件の大家に対しては保険金から原状回復費用を支払うといった方法を取ることも可能となり、遺族としては取れる選択肢の幅が広がることになります。
- 故人が消費者金融等からお金を借りているかどうかは調べられるのでしょうか?
故人の借金調査については、信用情報機関へと問い合わせすることで判明します。
信用情報機関については下記のサイトをご確認ください。
・CIC
・JICC
・全国銀行個人情報センター当事務所では、上記信用情報の開示手続きについて提携司法書士を通して行っておりますので、戸籍の取得や実際の申請手続きが難しいと感じた場合はご相談ください。
信用情報機関にて判明する借り入れ等は、正規の消費者金融や銀行等で借り入れをしている場合に限ります。
いわゆる闇金業者のように携帯電話の番号しかないような業者からの借り入れや知人間の借り入れや連帯保証人になっているかどうかといったことは上記の信用情報機関の調査では判明いたしません。