名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ
2025.06.17
故人が生前に加入していた生命保険を探す方法
大切な人を亡くした後、財産整理の一環として生命保険の契約を確認することは非常に重要です。生命保険の給付金を受け取ることで、賃貸物件で発生した事故の賠償金へと充当できる等、遺族の負担を大きく減らすことができます。
遺品整理の現場では生命保険の証券はもちろん、加入前の提案書等も含めて慎重に調査を進めていくことになりますが、遺品整理の現場以外での調査方法についても知っておく必要があります。
本記事では、故人が生前に加入していた生命保険を探す具体的な方法について解説します。
1.故人の書類を確認する
まず、故人の重要書類を確認しましょう。
保険契約書や保険会社からの通知、定期的な支払い明細書など、生命保険に関する記録が残っている可能性があります。特に以下の書類に注目してください。
・保険証券
・保険会社からの郵送物や電子メール
・銀行の口座履歴(保険料の自動引き落とし)
2.遺品整理の現場から見つけ出す
故人のデスクや書斎、金庫などの個人的な保管場所を確認することで、保険契約に関する書類が見つかることがあります。
また、スマートフォンやパソコンに保険会社のアプリや契約内容が保存されている場合もあるので、デジタルデータの確認も忘れずに行いましょう。
生命保険への加入前には、加入にあたっての「提案書」を保険会社側で作成しているケースも多くあり、こうした資料から保険の存在が明らかになることもあります。
故人の部屋には沢山の紙資料が溢れていて、とても全てを確認することができないと思われるかもしれませんが、保険証券に関する資料は「保険証券在中」や「保険契約の内容のご確認」等、封筒にでかでかと記載されて比較的わかりやすい物も多いですので、根気強く探すことが遺品整理の現場では大事となります。
3.故人の銀行口座の履歴を確認する
故人の銀行口座を調査し、定期的に生命保険料を支払っていた形跡がないかを確認しましょう。
特定の保険会社名が記載されていれば、その会社に問い合わせることで契約の詳細を確認できます。
故人の室内から銀行の通帳が見つかった場合は、ATMで記帳したうえで引き落としの履歴を確認してみてください。記帳するだけでしたら相続放棄等に影響はありませんので、相続放棄を検討している人が行うことも問題ありません。
通帳の引き落とし履歴を確認することで保険会社名が直接判明することもあれば、毎月同じ額が引き落としが掛かっており、引き落としの内容を確認したところ生命保険だったことが判明することもあります。
遺品整理の現場で見つかる通帳の中には繰り越してすぐの通帳しか残っていないということもあります。そうした場合は、銀行に「取引明細(入出金明細)」を請求すれば、手元にない通帳に記載されている内容を確認することが可能です。
4.故人のクレジットカードの履歴を確認する
遺品整理の現場からは、故人のクレジットカードの明細が出てくることも多くあります。
明細書の中を確認することで、クレジットカードでの支払い内容がわかり、人によっては保険料をクレジットカード払いにしていることもありますので、銀行口座を確認した後はクレジットカードでの支払い内容についても確認するようにしましょう。
故人の遺品整理の際にクレジットカードは見つかったけれども、明細書は見つからないということもあります。明細をメールで受け取っているということもありますので、可能であればパソコンやスマホのアプリ等に保険関係の資料がないかを確認しておくようにしましょう。
故人のパソコンやスマホにロックが掛かっており、内容を確認できないといった場合は、クレジットカード裏面に記載されている問い合わせ先へと電話連絡をすることで、クレジットカード払いになっている内容について確認することができます。
ただし、クレジットカードの所有者が亡くなっている場合は、遺族と故人の関係を示す資料等の提出が必要となりますので、問い合わせ前に戸籍や法定相続情報一覧図等を準備しておくと照会がスムーズに進むようになります。
5.保険会社へ直接問い合わせる
故人が加入していた可能性のある保険会社に直接問い合わせるのも有効です。
問い合わせの際には、以下の情報を用意するとスムーズに進みます。
- ・故人の氏名
- ・生年月日
- ・住所
・故人の電話番号
・契約者番号(可能であれば)
多くの保険会社では、加入者の死亡後の手続きについて専門部署が対応しているため、問い合わせをすれば調査を進めてもらえます。
6.生命保険協会の「生命保険契約照会制度」を利用する
一般社団法人生命保険協会では、遺族が故人の生命保険契約の有無を照会できる制度を提供しています。
この制度を利用することで、遺族に代わって、生命保険協会が全国の保険会社に問い合わせを行い、契約の有無を確認してくれます。
利用方法は以下の通りです。
- 生命保険協会の公式サイトで申請書をダウンロード
- 必要事項を記入し、故人の死亡を証明する書類(死亡診断書など)を添付
- 協会へ郵送またはオンラインで提出
- 各保険会社が契約の有無を確認し、結果を通知
この制度を利用すれば、故人が複数の保険会社と契約していた場合でも、一括で調査を進めることができるため、非常に便利です。
※生命保険協会への照会にあたっては、遺族と故人の関係を証明するための戸籍謄本等が必要となります。相続人が兄弟姉妹の場合等は必要となる戸籍も両親の出生から死亡までの戸籍が必要となるなど、集める戸籍も多く一般の方では難しいケースがあります。
当事務所では、生命保険契約照会制度で利用できる、相続人の関係を示した法務局発行の「法定相続情報一覧図」の作成を遺族に代わって行っております。
法定相続情報一覧図は、保険照会に限らず、「預貯金の解約」「証券口座の相続手続き」「保険手続き」「年金手続き」「不動産の相続登記」等、相続手続きで必ず要求される戸籍の代わりとして使用できる公的資料となります。
銀行や証券会社、法務局等の複数の機関へ戸籍を提出する必要がある場合は、一度戸籍を提出してしまうと、その機関での手続きが終わるまでは次の手続きが進められなくなってしまいます。
しかし、法定相続情報一覧図は手続き機関の数に応じて複数枚発行してもらうことができますので、戸籍の場合と異なり複数の機関へ同時に相続手続きを進めることができるようになり、相続手続に掛かる時間を大幅に短縮させることができるようになります。
法定相続情報一覧図は、当事務所はもちろん、各士業事務所にて作成代行が可能となっておりますので、保険照会の他にも相続手続きが控えている場合は作成しておくことをお勧めします。
7.保険代理店やファイナンシャルプランナーに相談する
故人が生前に保険代理店やファイナンシャルプランナーと関わっていた場合、その担当者に問い合わせることで契約情報を取得できる可能性があります。
遺品整理の現場では、保険代理店の担当者の名刺が出てくることも多くあります。そうした場合は、故人がその代理店を通して加入しているかどうかについては担当者へ直接確認することで判明します。
また、保険契約の担当者は保険契約の設計にあたり故人の資産状況について細かく聞き取りをしているケースも多く、場合によっては担当者から遺族が知らなかった財産についての情報を得られる可能性もありますので、保険代理店の担当者の名刺を見つけた場合は、とりあえず話だけでも聞いてみるのもひとつの方法となります。
まとめ
故人が生前に加入していた生命保険を探すためには、書類の確認、銀行口座の調査、保険会社への問い合わせ、生命保険協会の制度の活用など、さまざまな方法があります。
遺族の負担を減らし、スムーズな手続きを進めるために、慎重に情報を確認しながら進めていきましょう。
保険の確認にあたっては、様々な場面で故人と遺族の関係性を示す資料を求められることになります。そうした場合に有効な資料が法務局発行の「法定相続情報一覧図」となります。
相続を専門に扱っている士業であれば、法定相続情報一覧図の作成にも慣れていますので、遺族では集めきれない戸籍の収集なども遺族に代わって行ってくれますので、自分たちでは難しいと感じた場合は、専門家への依頼も検討してみてくださいね。