遺産分割協議者の中に連絡が取れない人がいる場合の対処方法

行方不明者がいる場合はどうすればいいの?

行方不明者や住んでいる場所がわからない相続人がいる場合、まず何をすればいいのか?

遺品整理専門の行政書士として活動していると、遺品整理をした後の土地の活用についてもご相談を受けることがあります。一般的に相続が発生した土地いついては、相続人の方へ名義変更した後に売却や賃貸などを行うことになります。

ただ、近年の空き家問題にも絡んでくることですが、財産的価値が少ないと思われていたような土地ですと、何世代にも渡って相続登記がされておらず、いざ相続発生時に土地の名義人を確認してみたら祖父の名前のままだったということは意外と多くあります。

そうした場合は親戚の方などに連絡したり、戸籍調査などから相続人を確定した後、遺産分割協議などを経て不動産の名義変更を行うことになります。

しかしながら、何世代も放置されていたような場合ですと、遺産分割協議に参加する相続人が多数にのぼり、すべての相続人とすぐに連絡が取りあえる状況ではないことも珍しくありません。

遺産分割協議をしないといけないけれど、相続人の中に「行方不明者」や「長年連絡が取れない」といった方がいる場合、不動産の名義変更はどのようにすればいいのか?このページではこの問題について解説してきたいと思います。

まずは相続人の確定調査

相続人の中に行方不明者がいる場合にまず何をすればいいのか?ですが、行方不明者がいる、いないに関わらず、まずは相続人が誰なのかを確認する作業が必要となります。

つまり、行方不明者も含めて、遺産分割協議に参加しないといけない相続人がどれだけいるのかをはっきりとさせた上で次のアクションへと移る必要があるということです。

そこでまず行うのが相続人調査。たとえば、父親が死亡したので自宅の名義を息子さん名義へ変更しようと思ったら、自宅の名義が祖父の名義のままだったという場合。

こうした直近の相続よりさらに前の相続手続きが未了で不動産の名義が祖父名義のままだったという場合、祖父名義の不動産について遺産分割がされていないことになります。

そうした場合は実際にその不動産を使用していたのが父親であり息子であったとしても、実際に使用している=不動産の所有者とはなりません。

ですので本来でしたら祖父が亡くなった時点で父親を含めた他の相続人との間で遺産分割協議(遺言書があればその指示に従い)を行い、誰がその不動産を相続するのかを決めておく必要があったわけです。

この時点でお父様がひとりっ子であり、相続人はおひとりという状況なら話しは単純ですが、お父様にご兄弟がいたような場合は、そうした方々との遺産分割協議が必要となります。

ですので、今回の例のように実際に不動産を使用している息子さんが不動産を自分の名義にしようと考えた場合は、まずは祖父の相続人を探し出した上で、その方々と遺産分割協議を行い、不動産を父親が相続する遺産分割協議を成立させ、その後、今度は息子さん自身を含めた父親の相続人と遺産分割協議をして、息子さんが不動産を相続するとした遺産分割協議を成立させる必要があります。

ものすごく面倒ですよね。ですので、不動産に限らず相続が発生した場合はなるべくはやく遺産分割協議などの相続手続きを進めておく必要があるのです。

相続問題は時間が解決するという事は少なく、反対に時間が経てば経つほど権利関係が複雑化していき、手も付けられえないといった事になりかねません。

相続人ってどうやって探すの?

相続人調査と簡単に言いますが、慣れていないと意外と難儀します。私たちのような相続専門の士業の場合は日頃から戸籍などを見慣れていますので問題ありませんが、始めての相続人調査で戸籍を見たという方にとっては、戸籍の見方からまず迷うことになるでしょう。(専門家にすべて任せてしまいたいという方は

戸籍の見方については各サイトや書籍などで詳しく解説されていますので、ここではおおまかな流れを説明しておきます。

相続人を調査する際にまず行うのが、故人の出生~死亡までの戸籍の取得。相続が開始した際は預貯金の解約などでは必ずといっていい程、提出を求められる書類ですが、これはそれほど難しくはありません。

まずは故人の本籍地(住所とは違います)を確認し、本籍地の役所へ「相続で使用するので出生~死亡までの戸籍をください」と伝えれば、役所の人も慣れていますので問題なく出てくるでしょう。

そもそも故人の本籍地がわからない!という方は故人の住民票を取得する際に本籍地を入れるかどうかのチェック欄がありますので、「住民票に本籍地を記載する」として役所に請求すれば本籍地は判明します。住民票は故人のお住まいだった地域の市役所等で取れます。

故人が過去に本籍地を変更する手続き(転籍)などを繰り返していたような場合は、一か所の役場だけでは出生まで遡れないケースもありますが、そうした場合は役所の方に「次はどこの役所へ請求すればいいですか?」と聞けば教えてくださいます。

そうして、故人の出生~死亡までの戸籍が集まったら故人の相続人が誰なのかを確認していきます。誰が相続人となり、どのような順番で相続人となるかは下の通りです。

⓪故人の配偶者は常に相続人
①故人の子供など直系卑属
②故人の両親・祖父母などの直系尊属
③故人の兄弟姉妹

相続の順番は配偶者を除いて、前順位の相続人がいない場合に初めて次の順位の相続人へと相続権が移ります。

ですので、故人に子供や孫がいる限り故人の両親や祖父母が相続人になることはありませんし、故人の両親や祖父母がいる限り、故人の兄弟姉妹が相続人となることはありません。

そうした観点で相続人が誰なのかを確認していくのですが、長年相続手続きを放置していた場合は、本来の相続人が亡くなっていて、次の相続が開始していた場合や相続人となるべき方が故人より先に亡くなっていたケースなどが出てきて権利関係が複雑になり、相続人が何十人も出てくるといった事態になります。

相続人を調査していたら親交がない相続人や行方不明の方がいたというケース

相続人の調査をしていたら、相続人が何十人にものぼり、その中には全く親交のない方や今はどこに住んでいるのかもわからないという方が相続人のリストに上がってくることは珍しくありません。

では、そうした場合はどうやって連絡を取ればいいのか?全く親交のない方といっても相続人である以上は他人とまではいかないはずです。

ですので、親交のあるご親戚の方に問い合わせをしてみて、連絡の中継を依頼してみるといった方法もあります。

ただ、長年放置されていたような相続手続きの場合ですと、それこそ赤の他人とも言えるような方がいたりしますので、自分の周りには詳しい事情を知っている方が誰もいない。そんなこともあるかと思われます。

では、どうやって連絡を取ればいいのかというと。戸籍の附票を取るという方法があります。戸籍の附票は本籍地の役所へ請求すれば取得でき、戸籍の附票にはその戸籍に入ってからの住所の移動記録が記載されていますので、現住所を確認したいという場合は戸籍の附票を確認すれば良いことになります。

ただし、住所を確認したい方が転出・転入届を引っ越しの都度行っていない場合は当然記録としては残っていないですので、必ず判明するとは限りません。

戸籍の附票を取得して相手方の住所がわかったのなら、故人が亡くなり、遺産分割の必要がある旨を記載したお手紙などを送付して連絡を待つという流れになります。

戸籍の附票に記載されている住所に相続人がいない場合はどうする?

戸籍の附票に記載されている住所はあくまで役所へ届け出があった履歴ですので、必ずしもそこに住んでいることを保証するものではありません。家はあるけれど失踪してしまっているケースもゼロではありません。

例えば、附票記載の住所に相続人の奥さんとお子さんは住んでいるけれど、本人は不倫相手と雲隠れしてしまっているなどですね。では、相続人が行方不明の場合は遺産分割協議は行えないのでしょうか。

遺産分割協議は相続人全員で行わなければならず、ひとりでも参加者を欠いてなされた遺産分割協議は無効となってしまいます。

ならば行方不明者がいる場合は遺産分割協議はできないのか?というとそうでもありません。手続き的には「不在者の財産管理人」を選任した上で遺産分割協議を行うという方法が選択肢と残っています。

不在者の財産管理制度とは?

不在者財産管理制度は、家庭裁判所が不在者の財産管理人を選任し、不在者の財産を保存することで、不在者の財産の散逸によって受ける不在者の損失を防止し、不在者やその相続人、債権者等の利害関係人、ひいては国民経済上の利益を保護することを目的としています。

簡単に言えば、不在者が財産を持っていた場合にその財産に対して相続手続や売買などしたい方がいるのに、不在者本人がいないから一切手続きができないとなると、いろいろ困るので、不在者の代わりに手続きをする人を家庭裁判所が選んで、不在者の利益を守りつつ、利害関係人との調整も図っていった方が経済にとってもいいよね。ということです。

前置きが長くなりましたが、相続人調査の結果、行方不明者がいることが判明しても、不在者の財産管理人の選任を家庭裁判所へ申請して認められれば、その選任された不在者の財産管理人との間で遺産分割協議を行うことが可能となります。

では、遺産分割協議もできるしこれで万事解決?というと、なかなかそうもいきません。なぜかというと、不在者の財産管理人の一番の目的は不在者の財産の保護だからです。

不在者財産管理人の業務は不在者の財産の保全

相続財産の不動産を売却したいけど、共同相続人の中に不在者がいて遺産分割協議ができないといった場合に、不在者の財産管理人の申し立てをする方は遺産分割協議書の結果をもって不動産を売却できるようにしたいと考えているはずです。

例えばABCの3人が相続人でCが行方不明といった場合にABとCの不在者財産管理人との間で遺産分割協議を行い、不動産をA単独名義にして不動産を売却といった形が理想の決着でしょう。

ただ、不在者の財産管理人の業務は不在者の財産を保全することであり、遺産分割でいうと最低でも法定相続分は確保しなければいけなくなります。

つまり、上の例でいうと、不動産をA単独名義にしたくても、不動産以外に財産がないような場合は不在者の財産管理人としては不動産に対する不在者の法定相続分は必ず遺産分割で取得できるようにしてきますので、必ずしもAの思惑通りには進むとは限りません。

そうした場合に、例えばAが不動産を取得する代わりに代償金として不動産の法定相続分にあたる金銭を支払うといった方法で遺産分割協議をまとめていくこととなります。

帰来時弁済型の遺産分割協議

遺産分割協議のひとつとして「帰来時弁済型遺産分割」というものがあります。これは、遺産分割協議時には不在者に特定の財産を取得させずに、その代償として、特定の共同相続人に対し、不在者が帰来したときに代償金を支払う義務を負わせる内容の遺産分割協議です。

例えば、相続した不動産を売却したいので不在者の財産管理人を選任した場合に、不在者の年齢などを考えるともう帰ってこない可能性が高く、不在者の法定相続分をずっと管理しておくのも大変なので、もし、帰ってきたら、代償金の額を支払うとして遺産分割を完了させるというものです。

つまり、遺産分割の時点では不在者に特定の財産は渡さないけれど、権利は当然あるので、万が一帰ってきたらその分は支払うということを約束させた遺産分割協議書が「帰来時弁済型遺産分割協議書」となります。

この方式なら、後から不在者が現れたとしても金銭にて支払いをするだけで済みますので、管理上の負担もなくなります。

ただ、不在者がいつ帰ってくるかわからない状況ですので、不在者が帰ってきた時には、支払い義務を負っていた共同相続人の資産状況が悪化しており、支払う事ができないということも起こりますので、この方法が認められるかどうかは、家庭裁判所の許可次第となることには注意が必要です。

長年放置された相続手続きはまずは専門家へご相談を

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こうしたケースでは時間が経てば経つほど利害関係人が増えて権利関係が複雑化していきますので、気づいた時にすぐに処置していく必要があります。

第八行政書士事務所では士業のネットワークを活用して、そうした相続問題の解決のお手伝いをしていますので、困ったことがあればいつでもご相談くださいね。

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