名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ
2014.06.17
遺品整理と原状回復(2)
おはようございます。昨日暑くなかったですか?名古屋の現場作業から帰ってきてから夏に向けて事務所のエアコンの試運転をしていた名古屋の遺品整理専門第八行政書士事務所の谷です。エアコンは偉大な発明ですよね
さて、昨日に引き続きガイドラインの解説を。
昨日は「原状回復」とはなんぞや?という内容でした。そして本日は「特約」とはなんぞや?です。
「特約」とは読んで字の如く、特別にした約束です。特別にする約束ですので、それをしていないと効力が出ないと考えている内容が記載されています。賃貸物件で言う「特約」のほとんどが、入居者にクリーニング費用や鍵の交換費などを負担させるもので、本来貸主が負担するべき費用を入居者に負担してもらう内容が「特約」として記載されています。
あれ、前回の「原状回復」の話しでは入居者は普通に部屋を使っていれば、入居者の故意や過失などの入居者の責任とされるものだけ修繕費用など負担すれば良かったんじゃないの?
そうです、それが本来の姿です。しかし、その本来あるべき姿をわざわざ変えるのが「特約」の役割となるのです。
原状回復をめぐるトラブルで以前争われた「特約」には次のような記載が多くありました。
「賃借人は、本件建物を明け渡すときは、畳表の取替え、襖の張替え、クロスの張替え、クリ ーニングの費用を負担する。」
この内容は「特約」の一例であり、契約ごとに文言は多少変わりますが、争いになる「特約」の内容はだいたいこんな感じでしょう。
この内容をもっと簡単に言うなら、
入居者は部屋を退去する時は入居者のお金で畳表を新品にし、襖を新品に張替え、壁紙(クロス)を新品にした上、部屋全体を専門の清掃業者にクリーニングしてから貸主に返してね。
という内容です。
前回の「原状回復」の定義を、借りた当時の状態に戻すと間違って覚えていると、この「特約」の内容もそれほど違和感はありませんが、「原状回復」の定義では通常損耗等は貸主の負担としていますので、定義をしっかり覚えていると違和感バリバリですよね。
この「特約」の内容だと、入居者の過失等の有無に関わらず、退去するなら必ずクロスを張り替えたり、クリーニングの費用を負担しなければならなくなります。
なぜ、このような「特約」が付けられているのか?
それは貸主側の負担を減らすためです。貸主側としては、賃貸物件のお部屋は商品ですから、誰かに住んでもらわなければ家賃収入が入りません。ですから、空室期間を出来る限り少なくするために退去があった部屋はすぐにリフォームやクリーニングを実施して入居者の募集をかけます。ただ、リフォームやクリーニングも結構なお金がかかります。入居者がどれだけ綺麗に部屋を使用していたとしても、5,6年も経てばクロスも劣化していき傷や破れなどなくても退去があれば張替えをしなければならなくなります。原則通りいくならその費用の負担は貸主側が負担するものです。
でも、貸主としてはできる限り費用の負担をしたくない。だから「特約」を契約書に盛り込み入居者が退去する際にリフォーム費用を入居者に負担してもらおうと考えたわけですね。
当然、入居者側としては本来負担するはずの無い費用を負担させられるのですから不満が出てきます。しかし、貸主側は契約書に記載されているからとして、リフォームやクリーニングに掛かった費用を差し引いた敷金を入居者に返して契約を終了させようとします。
入居者側としては不満はありつつも裁判までしてまで取り返す程の高額なお金でもないし、むしろ裁判費用の方が高く付くかもしれないとなると泣き寝入りを選択せざる負えませんでした。
しかし、法整備が進み「少額訴訟」の制度が始まると、訴訟費用も安く、審理も原則1日で終わるのでそれまでに比べると非常に簡単に貸主側にお金返して!と訴えを起こしやすくなりました。
少額訴訟の制度の浸透とともに賃貸物件における原状回復をめぐるトラブルは3月頃には毎年雑誌やテレビなどで話題となり一般の消費者に認知されるようになりました。
こうした少額訴訟を含めた、原状回復をめぐる訴訟で争点となるがこの「特約」の有効性です。
つまり、「特約」の内容自体が無効なんじゃないの?ということです。
「特約」の内容が無効なら当然契約書に記載されていてもその効力は出ませんので、入居者側として特約に記載されている費用を負担せずに済みます。反対に貸主側としては、特約が無効とされたら、費用の負担が増大してしまいます。当然両者の意見は対立して訴えが起こされました。では「特約」有効?無効?
次回はこの「特約」の有効・無効について書いていきたいと思います。
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