名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ

2014.08.08

遺言書が2つ出てきたらどうすればいいの?

 おはようございます。名古屋市の遺品整理・特殊清掃専門第八行政書士事務所の谷です。

事務所近くの公園で盆踊りの準備なのか提灯が飾られていて楽しげな雰囲気を出していました。小学生の頃は盆踊りに行くと言えば夜遊びが出来たので友達と公民館で待ち合わせてして夜遊びしたものですが、今の子供達って盆踊りって参加してるんですかね?

さて、以前に書いたブログで遺言を書きすぎちゃった方のお話しを少し書いたと思いますが、その補足的なものを書いていなかったなと思い今回書いておくことにします。

先日のダンボール二箱に及ぶ遺言を書いていたとしても、日付や押印が無ければ遺言は無効になると書いていましたが、では遺言としての方式が守られているちゃんとした遺言が2通、または複数出てきた場合はどうなるのでしょう?今回はその辺を補足として書いておきたいと思います。

故人の遺品整理を行っていると遺言書を発見する事がままあります。遺言が見つかっただけでも一大事かもしれませんが、場合によっては複数の遺言が出てくるなんてこともありえます。

そもそもどうして、複数の遺言が存在することになるのでしょうか?それは、遺言は被相続人(故人)の最後の意思表示となるものですから生前は何度でも自由に書き直す事が可能となっている為です。

遺言自体はそれこそ何百通書いたって構いませんので、以前に書いた遺言が気に入らなかったり、単に気が変わっただけでも好きに書き直すことが出来ます。たとえ遺言を書き直す事によって、不利益を受ける相続人がいたとしても、遺言者は気にする必要はないのです。

したがって、遺言を書いたとしても、遺言者がすぐに亡くなる訳ではありませんから、存命中に複数の遺言を書くことだってあるはずです。

その際に前の遺言を処分していなかったり、最初は自筆証書遺言で作成したけれど、次は公正証書遺言を作成したような場合など複数の遺言が存在することは決して珍しいことではありません。

しかし、遺族にとっては何通も遺言が出てきてしまっては、どれに従えばいいのか悩む所ですよね。そんな時に確認してもらいたいポイントをあげておきます。

まずはじめに、遺言書の日付を確認してください。
遺言書には必ず、遺言書を作成した日付が記載されていますので、まずは日付を確認してください。

自筆証書遺言ではまれに本文には日付を記載しておらず、遺言を入れていた封筒に日付を入れている場合がありますので、その様な場合はその日付が記載された封筒がとても重要になりますので、家庭裁判所の検認が済むまで絶対に捨てないようにしてください(検認が済んでも捨てないでくださいね)。

しかし、日付を確認してみたけど日付がどこにも見当たらないなんて事もあるかもしれません。もし、日付が見あたらないのでしたらその遺言書は「無効」となります。

日付の記載はあるけれど日付スタンプで押されていたり、「○○年○月吉日」のように正確な日付が特定できないものも無効となります。ただし、正確な日付の記載でなくても、「平成○○年の誕生日」のように作成日付が特定できるものなら有効となります。


次に遺言の内容を確認しましょう。
複数の遺言が見つかった場合にどの遺言を有効とするかは日付が重要となります。より故人の死亡に近い日に作成された遺言の方が故人の最終の意思を表していると考えられるからです。

しかし、複数の遺言が出てきた場合で、日付の前後がはっきりしている場合であってもそれぞれの遺言の内容が相互に抵触する部分(遺言同士の内容に矛盾)が無いのなら、複数の遺言はそれぞれが有効となります。

例えば2通の遺言が出てきた場合で、前日付の遺言ではA財産を妻へ相続させるとする内容だったとして、後日付の遺言ではB財産を長男へ相続させるとする内容なら、日付の前後があったとしても、遺言の内容では抵触する部分がありませんので、それぞれが有効になるということです。

反対に、前日付の遺言でA財産は妻へとしているのに、後日付の遺言ではA財産を長男へとしていれば、それは明らかに遺言の内容として抵触する部分となりますので、後日付の遺言で前日付の遺言を撤回したとの考えから、後日付の遺言が有効となり、A財産は長男へと相続されることになります。

同じ日付の遺言が複数出てきたら?
では複数の遺言が出てきた場合に遺言書の作成日が全く同一だった場合はどうなるのでしょうか?作成日付が全く同一の場合は、その遺言内容を確認して、遺言の内容から作成の前後が判断できる場合は後に作成されたと判断された遺言が有効となります。

ただし、同じ作成日付であったとしても、それぞれの遺言の内容が抵触しないのなら両方の遺言は有効となるは前述した通りです。反対に、内容が抵触する場合で、作成の前後が遺言の内容からでは判断できない洋な場合は、相続人間での協議によって決めることになります。

名古屋の遺品整理専門 第八行政書士事務所 代表 谷 茂

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