名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ
2021.09.22
遺品整理で1,000万もの大金を捨てられている!?
おはようございます。名古屋の遺品整理・死後事務専門第八行政書士事務所の谷です。
ようやくコロナワクチンの2回目の接種も終わり少しだけ安心できる状態となりました。感染者の数も激減しており、今月末にも緊急事態宣言解除か?となっていますね。
もちろん、ここで気を抜けば再び第6波が来るのは確実ですので、引き続き基本的な感染対策は個人個人で行っていき、コロナに移らない、移さないを徹底していきましょう。
さてさて、テレビのニュースを見ていたら二日続けてゴミ処理場で多額の現金が見つかったというニュースが流れました。ニュースの内容としては次のような内容です。
令和3年9月21日
(gooニュース)
令和3年9月22日
岐阜新聞WEB
令和3年9月22日
讀賣新聞オンライン
なぜゴミ処理施設で多額の現金発見が頻発するのか?
上の記事でもわかるように、ゴミ処理施設で発見されている金額は500万~1,000万にも及ぶ多額の現金です。なぜこれほどの現金がゴミとして処分されてしまうのか、そしてなぜこれほどまでに立て続けに発生するのでしょうか?
上のふたつの事案以外にも、今年の初めに同じようにゴミ処理施設で多額の現金がみつかり、発見者のゴミ処理施設が県にコロナ対策として活用して欲しいと寄付したという同じよう事案が発生しております。
いくらなんでもゴミ処理施設から発見され過ぎだと思いませんか?
遺品整理専門の行政書士の視点からみるに、十中八九このお金は遺品整理現場で発見されるべき相続財産だったものと考えております。
私自身現場で直接財産整理を兼ねた遺品整理を行っておりますので、このゴミ処理施設で多額の現金が発見される原因には非常に心当たりがあります。
今回はゴミ処理施設で多額の現金が発見される原因について少し解説していきたいと思います。
ゴミ処理施設で多額の現金が発見される3つの原因
原因① 家族や相続人が故人の財産を把握していない
ゴミ処理施設で多額の現金が発見される原因のその①が、「家族や親族が故人の財産状況を把握していない」ということです。
最近は、大家族で生活しているという家族は少なく、夫婦とその子供達といった家族構成で生活されているケースが増えています。
そうした場合では、当然離れて暮らす両親の財産状況を事細かに把握しているお子さん方は少なく、実際はかなりの資産をお持ちなのに「たいした財産は持っていないだろう」と思い込んでしまっている家族も大勢いたりします。
そうした状況で、実家の遺品整理を着手するとどうなるのか?
たいした資産を持っていないと思い込んでしまっているがために、遺品整理を依頼する業者に対しても「あるはずのお金が見つかっていないから室内にあるかもしれない、注意して探して欲しい」といった、注意事項を伝えずに、漫然と家財の処分を依頼してしまうケースがあります。
ちゃんとした遺品整理業者なら、依頼者から室内に多額の現金があることを伝えられていれば、それなりに注意を払い作業を進めるものですが、依頼者から「現金などのヘソクリはないと思うんで、全部捨てちゃってください」と言われてしまうと、遺品整理業者としても、注意深くは探さなくなってしまいますよね。
家族や相続人が故人の財産状況を把握していないことが、一つ目の原因となります。
原因② 故人が自分の財産を見つけてもらう準備を怠っている
これは、遺品整理業者の観点よりも、相続専門の行政書士としての視点からとも言えますが、日本人の多くが自分が死んだ後のことを家族に任せっきりになってしまっていることです。
「自分が死んだら家族がなんとかするだろう」、「うちの家族は仲が良いからトラブルはない」、「あそこのお金については、子供達には伝えてないが、家内には言ってあるから大丈夫だろう」、こんな風に思っていたりしませんか?
甘い!非常に甘い考えです!
「自分が死んだら家族がなんとかするだろう」と思われている方、そりゃなんとかするでしょうけど、事前に整理されている状況から開始するのと、まったくの手探り状況から開始するのとでは、家族の負担は雲泥の差ですよ!
「うちの家族は仲が良いからトラブルはない」と思われている方、家族の仲が良好でも、お子さん方の配偶者はどうですか?
過去の相続トラブルのその多くが、相続人たるお子さん方の配偶者からの横ヤリで揉めてしまっているケースが非常に多いのをご存知ですか?相続は多額のお金が動くタイミングですので、家族の仲が良いだけでは決して安心はできませんよ。
「家内に伝えてあるから大丈夫だろう」と思っている方、奥さんはあなたより10も20もお若い方ですか?同じ位の年齢の方と結婚されている方も多いかと思われますが、あなたが歳を取るのと同じように奥さんも年齢を重ねていらっしゃるのです。
万が一の時に、奥さんが以前に伝えていたことを正確にお子さん方へ伝えることができる状況にあるとは限りません。認知症になってしまうこともあれば、別の病気で入院していて、詳しい話しがきけないという事は実際に起きています。
自分の財産の状況を一番理解しているのは、当然のことですがご本人自身です。その方が伝えたい方へと、伝わりやすい方法で準備しておくのが、なによりの相続対策とも言えます。
そうして、伝えるべき事を伝える努力をすることで、必然的に相続財産の所在が判明し、間違ってもゴミ処理施設でも多額の現金が発見されるなんてことにはならないようになります。
故人が財産の所在を伝える努力をしていないことが、二つ目の原因となります。
原因③ 遺品整理業者が確認作業を怠けてる
最後の原因として挙げられるのが、遺品整理業者の怠慢です。
最近は遺品整理業者の数が爆発的に増え、中には遺品整理作業中に見つかった現金や貴金属を持ち去ってしまうような犯罪業者もいたりします。
また、貴金属を持ち去るような犯罪業者とまではいかなくても、遺品整理を単なる家財整理、ゴミ処分、不用品回収と勘違いしている業者も多数います。
特に不用品回収業者が遺品整理「も」行っているような状況ではこの傾向が高く、スタッフの教育が行き届いていないような場合は、不用品回収と同じ流れで遺品整理も処理してしまうこととなります。
本来、上で述べたように本人やその家族が財産の所在をしっかりと把握し、遺品整理時には事前に回収済みか、または捜索場所を把握しているという状況でしたら、遺品整理業者の質は不用品回収業者と同じでも財産調査として考えればそれほど大きな問題はありません。(相続人が財産の在り処をを把握しているのなら、整理業者は家財の搬出や移動の手伝いができればいいのですから)
ただ、そうした理想的な準備がされた状況で始まる遺品整理というのは少なく、多くの場合は遺品整理の際に併せて財産調査も行っていくことがほとんどとなります。
つまり、遺品整理業者というのは財産調査を行う上での最後の砦ということになり、その責任は重大です。上の500万が発見された記事の中にあるような「封筒」や「ポーチ」からお金が見つかるという事はあってはいけないことなのです。
これが、不用品の回収業者が行った結果ならまだわかります。依頼者がいらないと言ったから回収しただけとも考えられますので、そこに遺品整理業者ほどの注意義務はないようにも思えます。
ただ、仮にも遺品整理業者を名乗るなら不用品回収業者と同じ仕事をしていてはいけません。これは別段不用品回収業者の質が悪いと言っている訳ではなく、遺品整理と不用品回収では求められる性質が異なっていると言いたいわけです。
私が以前勤めていた遺品整理専門会社でも、独立した今でもそうですが、封筒などの袋ものは必ず中身が入っていないかどうかを、開封したり、光に透かしてみたり確認しますし、ポーチに限らずバックや衣類のポケットなども念入りに捜索します。
そうした結果、無いと思われていた「遺言書」が見つかったり、依頼主が一度確認している荷物の山から多額の現金を発見したということもあります。
遺品整理の現場は故人や相続人が取りこぼしてしまった財産を発見する最後のチャンスの現場でもありますので、遺品整理業者の負う責任は非常に大きなものとなります。
ゴミ処理施設で多額の現金が発見される三つ目の原因は、遺品整理業者の怠慢となります。
何故ゴミ処理施設で発見された現金は持ち主不明となるのか?
ゴミ処理施設で多額の現金が発見されたニュースを見ていると、そのほとんどが持ち主不明のまま発見者の所有となっていますよね。何故、発見されたのに本来の所有者へと戻らないのでしょうか?
遺品整理現場では大量の家財家具を一度に搬出処理いたします。そして、この遺品整理という作業は全国で毎日何百件と行われていることでしょう。
当然、そうした各家庭から出された家財家具を受け入れるゴミ処理施設も、一日に何件も違う遺品整理業者から搬入を受け入れることとなります。
また、搬入された家財の仕分けをさらにゴミ処理施設で行うわけですが、当然搬入された当日に全て終わるわけではありません。
つまり、ゴミ処理施設に搬入された時点で、他の業者の遺品とごちゃ混ぜとなってしまい、結果として、ゴミ処理施設で現金を発見した時点では、いつ、どこの現場で、どこの遺品整理業者が持ち込んだ遺品なのかは、特定できない状況となってしまっているわけです。
そのため、ゴミ処理施設で発見された多額の現金は、本来の相続人の手元には戻らず、まったく関係のないゴミ処理施設の所有へと代わり、ゴミ処理施設の方が県等へと寄付することで、何故か美談めいた話しへと変わってしまうわけです。
本来の相続人としては、遺品整理で発見されて相続人間で分配するべき大事な故人の財産を第三者が勝手に処分していることにもなるわけですから、気の毒な話しですよね。
とは言え、ゴミ処理施設が悪いわけでも、寄付を受けた県が悪いわけでもありません。強いて言えば、中途半端な仕事をした遺品整理業者を騙った業者が悪いわけですが、もともと事前に財産をしっかり把握していれば防げた事故とも言えます。
まとめ 遺品整理は財産整理 室内から出したら戻らないものと心がけよ!
遺品整理は財産整理の現場でもあります。上で述べたように、一度回収業者へと渡して室内から出してしまったら、その中に隠れている財産は戻ってこないと心がけて遺品整理を行いましょう。
遺品整理では、家財を搬出する際は全ての確認が終わったものだけを搬出することを徹底し、タンスに衣類が入ったまま搬出したり、時間短縮のために、衣類やバックの確認を怠ったり、大事な書類が混ざっているかもしれない書類の束を内容も確認せずに処分したりなどしないように注意しましょう。
上記のような事は質の悪い遺品整理業者に限らず家族が遺品整理を行う際にもやりがちな失敗でもあります。
ゴミ処理施設で多額の現金が発見される原因はお分かりいただけだでしょうか?事前の準備で防ぐことも可能ですし、準備がされていないようなケースでは、正しい知識と方法を持っている遺品整理専門の業者に依頼することで、こうした事故を防ぐことも可能となります。
遺品整理でお困りでしたらご相談くださいね。