名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ

2022.12.14

遺品整理の依頼はクーリングオフできる?!

おはようございます。名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八行政書士事務所の谷です。

12月も中盤へと入り年末の足音が聞こえてきましたね。寒暖差が激しくなってくるとお風呂やトイレでヒートショックを原因に亡くなられてしまう方が増加します。

近年は浴室暖房やトイレにも置ける温風機器なども発売されていますので、冬将軍が来る前に対策はしておきましょうね。

さて、本日の話題は「遺品整理はクーリングオフできるか?」についてです。

クーリングオフは一般消費者を保護する制度であり、いったんなんらからの商品やサービスを契約した後であっても無条件で契約の申込みや契約を解除できる制度となります。

一般的な事例としては、自宅に訪問販売のセールスマンがやってきて巧みな話術で布団の購入やリフォーム工事の契約をしてしまったなどでしょうか。

クーリングオフの目的は消費者に頭を冷やす期間を与えることです。訪問販売などのセールスマンはある時突然やってきて言葉巧みに商品の購入を迫ってきます。

また、本来は違法となるような長時間の勧誘や退去を求めても購入してくれるまで帰らないなどの消費者を困惑させる手段を用いて商品を無理やり買わせるなどをした場合に消費者を保護するためにこの制度が利用されます。

クーリングオフが活用できる取引は特定商取引法にて規定されています。詳しくは
国民生活センターのサイトなどを確認して頂くとして、ここでは遺品整理との関係を説明していきます。

訪問販売にあたるかどうかのポイントとして「営業所等以外の場所」で売買契約などをしたかどうかが問題となります。

これは特定商取引法で規定するクーリングオフが消費者に対する不意打ち的な営業で消費者が損害を被ることを防ぐことを目的としていますので、そもそも不意打ち的な営業でなけれはその対象とする必要がありません。

例えばネット通販などで商品を購入する場合は消費者が商品を吟味した上で購入しているので消費者が不意打ち的な損害を被ることはありません。

また、通常の店舗で商品を購入する場合も消費者が自ら赴いて商品を選んだうえで購入しているのですから、これも不意打ち的な損害を被ることはありませんよね。

反対に店舗等の営業所以外の場所、例えば消費者の自宅などに営業マンが来て商品を勧めてくる場合は消費者としては突然来た営業マンに押し切られてしまうなどの不意打ち的な損害が発生する可能性があるため、「営業所等以外の場所」で契約したかどうかが大きなポイントとなる訳です。

話しを遺品整理に戻しますが、通常遺品整理のご依頼の場合次のような流れを辿るかと思われます。

①相続発生が発生して遺品整理をしないといけない状況になる。
②遺族が遺品整理業者をネットで探したり、葬儀業者等から紹介を受けて問い合わせをする。
③遺品整理業者が故人宅を現地確認したうえで見積書を作成
④遺族が見積書を確認したうえで遺品整理業者に遺品整理を依頼
⑤遺品整理業者が遺族の依頼に基づいて遺品整理を実施
⑥遺品整理完了

ごく簡単な流れで表すと上のようになるかと思われますが、基本的遺品整理業者は遺族などの求めに応じて見積りに伺ったうえ依頼を受注することになります。では、これが特定商取引法に規定する「訪問販売」にあたるのかというと、原則「訪問販売」に該当します。

なぜなら、③のように遺品整理の見積りは現地確認をしたうえで、家財の量や人員、配車台数、作業に必要な時間や日数を考慮したうえで算出されますので、遺品整理においては現地確認が必須とも言えます。

また、多くの遺品整理の依頼が故人宅での見積時に金額の説明を受けてその場で契約(遺品整理の依頼)となるケースが多く「営業所等以外の場所」での契約に該当する場合がほとんどです。

つまり、遺品整理という仕事の性質上、店舗販売のように自社に依頼者が来訪して契約の締結というケースは珍しく、そのほとんどが現地での契約になるため、特定商取引法に規定する「訪問販売」に該当することになるわけですね。

もちろん、一度見積りをしたうえで依頼者が改めて遺品整理業者の店舗を訪れて遺品整理の依頼をしたという場合は別ですが、稀なケースと言えるでしょう。

遺品整理の依頼が「訪問販売」に該当するとなれば「クーリングオフ」の対象となる業務となります。クーリングオフは無条件での契約の解除を認めていますので、場合によっては作業完了後にクーリングオフをされてしまう可能性もあります。

つまり、遺品整理業者としてはクーリングオフされてしまうと、遺品整理を行うために人件費や処分費を負担しているのにそれを依頼者から支払って貰えない、または既に支払いが終わっている場合は返金をしないといけないということになります。

遺品整理業者としては「んな、アホな!」となってしまいますが、そういう規定になっている以上、仕方ありません。

そもそも誠実に見積りや作業説明、実際の遺品整理を行っていればクーリングオフを心配をする必要はありませんのでこの点を心配するのは詐欺的な業者だけでしょうが。

ただ、そうはいっても世の中にはいろいろな人がいますので、中には遺品整理業者側に非がないのに、制度を悪用して遺品整理をおこなわせようとする人もいるかもしれません。

そうした場合に備えて、遺品整理業者側としても訪問販売やクーリングオフに関する制度を確認して契約書面等を整えておく必要はあるかもしれませんね。

今回は遺品整理とクーリングオフについてでした。

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