名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ

2023.05.24

孤独死現場での貴重品捜索の立ち合い

おはようございます。名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八行政書士事務所の谷です。

最近は非常に良い天気が続いており、まさに遺品整理日和とでもいうのか作業が捗って助かります。じきに梅雨のシーズンも来てしまい遺品整理業者泣かせの日々が来るかと思うと外現場の日に雨が降らない事を祈るばかりですね。

さて、季節も夏に向かって気温も上がってきておりますが、少し前の3月頃にも3月にしては異常に気温が高かった日があったことを覚えていますでしょうか?

今回は、そんな気温の高かった頃に孤独死されただろう方のご親族からの依頼の話しです。

状況としては、次のような相談でした。(相談内容をわかりやすくするために一部実際の相談内容から変更している部分があります)

・名古屋に住んでいる兄妹が孤独死で亡くなった。
・警察でDNA検査を行い本人と判明している。
・死亡は今年の3月頃と思われるが正確な日にちはわからない。
・相続人としては兄妹がいる。
・故人が生活していた賃貸物件の連帯保証人にはなっていない。
・故人とは疎遠だったため、生活状況や資産状況等は一切わからない。
・大家からは原状回復費等の請求をすると言われている。(金額はいまのところ不明)
・家族で話し合った結果、相続放棄を検討している。
・相続放棄をする前に故人の財産状況や加入している生命保険等がないか確認したい。
・親族は皆遠方に住んでいるので土地勘もなく、専門家に必要な手続きも含めて手伝ってもらいたい。

概ね、相談内容としてはこのような感じとなります。

故人は3月頃になくなり発見までに2ヶ月程経過していたようです。警察のDNA検査が行われたということは遺体の腐敗も進んでいたことでしょう。

こうした状況ですと、特殊清掃や大規模修繕工事等も必要となってくると思われますので、「
宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」に従えば、次の入居希望者に対して、この部屋で人が亡くなったという事実を告知しないといけない、いわゆる「事故物件」となってしまいまうため、貸主側からも高額な原状回復費用等が請求される可能性が出てきます。

注意して頂きたいのは、ガイドラインに沿って貸主側に告知義務が発生したとしても、それが遺族側に損害賠償等の支払いを義務付けるものではないということです。

特に、通常の告知期間として記載されている3年間について、3年間分の家賃を遺族が貸主に補償しなければならないのでは?と考えてしまっているケースがありますが、ガイドライン上では宅建業者に告知義務の必要性を記載しているだけで、遺族等に賠償責任が発生するとは記載しておりませんのでご注意ください。

兄妹であっても離れて暮らしていると付き合いも疎遠となってしまうのは仕方のないことで、そうした場合はどうしても故人の生前の状況というのは分かり辛い状況となります。

特に故人の資産状況などは同居している親族であっても細かく伝えていないことも珍しくもないですから、離れて暮らしている親族の資産状況などわかろうはずもないですよね。

では、どうすればいいのか?相続放棄を予定している遺族として何をすべきで、反対に何をしてはいけないのか?

故人の葬儀は行っても大丈夫

回は孤独死ということもあり、遺体の引取りと死亡届を出すために検死を行った警察提携の病院に死体検案書の受け取りにいかなければならない事案となります。

親族の方は遠方にお住まいで葬儀業者の伝手もないとのことでしたので、当事務所にて葬儀業者の手配等をさせて頂き、併せて死体検案書等の受取等も代行します


相談者の方も一度こちらに来られるということでしたので、事前に遺体の引取りや死体検案書の受け取りを済ませておくとタイムラグなく火葬の手配ができますので、空いた時間を役場での手続き等に充てることができるようになります。

ところで、相続放棄をする親族が故人の葬儀を行っても大丈夫なのか?という相談を受けることもありますが、葬儀については問題ありませんし、遺骨を持ち帰って頂いても相続放棄には影響はしません。

ただし、今回のようなケースでは警察が遺体を回収する際に室内を捜索して簡単に見つかる範囲にある「財布」「携帯」「各種保険証」「年金手帳等の行政書類」等の貴重品を遺体とともに引き上げており、親族が遺体を引き取りにきた際にこれらの貴重品の返還も受けることになります。

そうした返還された貴重品の中の現金やキャッシュカードを利用して故人の財産を使用してしまうと相続放棄に影響がありますので、警察から返還された貴重品関係は返還されたままの状態で保管するようにしてください。

故人の室内の調査や通帳の記帳等は行っても大丈夫

相続放棄をする方は故人の財産には一切触ってはいけないというイメージもありますが、必ずしもそうではありません。

相続放棄をするにあたり故人がどのような財産を有していたかを調査しないことには、相続放棄をするかしないかの検討材料がありませんので、故人の資産状況を確認するうえで、故人の生活していた部屋への立ち入りや預貯金通帳の記帳は行っても大丈夫です。

今回の案件では、親族が遺体の引取りと葬儀のために名古屋に来られたタイミングに合わせて室内の調査に一緒に同行して、必要書類が残されていないかを確認してきました。

警察から返還された貴重品の中に通帳や保険証等もあったのですが、生命保険等の資料は一切なかったため、念のため生命保険証書等が現地にないかを親族の方と一緒に捜索を行います。

現地は、賃貸物件のワンルームで荷物も多く、人ひとり
が横になれるスペースがギリギリ残っているといった状況です。

しかし、そのスペースも遺体が長期間放置されていたことで、血液や体液等で汚れてしまっており足の踏み場もない状況で、また、遺体は回収されていますが、そうした体液等が残っていることからかなり強烈な死臭が漂っている現場でもありました


通常こうした現場は遺品整理を行いながら貴重品の捜索を同時に行っていくのですが、今回は相続放棄を検討されているということもあり、遺族が遺品整理を実施するかどうかはまだわかりません。

ですので、遺族の方と一緒に手に取れる範囲での捜索とはなってしまうのですが、なんとか生命保険の証書類を見つけることができました。

受取人が指定されている生命保険は基本的に相続財産とはならず、相続放棄をしたうえでも受け取れるお金となりますので、遺族に生命保険の支払いがされる場合は、今後の遺族が取れる選択肢を増やすことにも繋がるので、保険関係の資料が見つかったのは非常に大きかったと思われます。(室内調査に同行した甲斐がありました)

遺族としては、生命保険は受け取りつつも相続放棄は予定通り行って、故人の死後事務に関しては一切タッチしないという選択もできますし、生命保険を使用して賃貸物件の原状回復等の費用に充てるということも可能となります。

いずれにしても、生命保険等が見つかると遺族の負担が格段に減ることになりますので、もし、生命保険に加入しているかどうかわからないという場合は、「
生命保険協会」で一括して調査を行うことも可能ですので、故人が生命保険に加入しているかどうか心配な場合はこうした調査機関を利用することも検討してみましょう。

生命保険の調査依頼は士業へ代行を依頼することも可能です。

残置物撤去に関する同意書には注意

賃貸物件の貸主に相続放棄をすることを伝えると、貸主側から「残置物撤去に関する同意書」等の書類が送られてくることがあります。

こうした書類は主に、故人の室内に残されている家財関係を貸主側で処分することに異議を申し立てませんといった内容になっていることが多いのですが、場合によっては残置物撤去に要した費用やその後の原状回復費用等についても遺族側で支払うことを約束する内容となっていることもありますので、送られてきた場合は内容を良く確認するようにしましょう。

また、相続放棄をする場合、遺族は故人の権利義務を一切承継しないことになりますので、プラスの財産も貰わなければ、遺品整理等の原状回復を行う義務等も一切引き継がないことになります。

ですので、貸主側からそうした書面を送られてきたとしても署名捺印して送り返す必要もなければ、相続放棄をする以上はそもそも故人の残置物についてなんら権限も持っていないことになりますので、残置物処分に関して同意する権限も持っていないことになり、署名、捺印して処分することに同意することは、相続放棄をする方がしてはいけない、故人の財産処分に該当してしまう恐れがありますので注意してください。

心配な場合は専門家に相談したうえで対応するようにしてくださいね。

葬祭費の請求はしても大丈夫

今回のご依頼では、警察から返却された通帳等の内容を確認したところ特別な資産もなく、生命保険の証書も見つかったことから、相続放棄を行い貸主への対応は生命保険の金額に応じて決めるということになりました。

室内の現地調査を行った後に多少時間の余裕もあったことから、そのまま故人がお住まいだった地域の区役所へと向かい、介護保険の資格喪失手続き等の最低限必要な手続きだけを同行して行ってきました
。(相続放棄する以上は資格喪失手続き等も義務ではありません)

国民健康保険・後期高齢者医療の被保険者が死亡した場合は、名古屋市では葬祭費の支給が行われます。こちらも、相続放棄をしていたとしても受け取れる金銭となりますので、死亡後に国民健康保険等の届出を行う際は忘れずに手続きをしておきましょう。

手続には、葬儀を行った際の請求書や領収書、申請者と故人の関係が分かる戸籍等の資料、葬祭費の支払い先となる喪主(領収書の宛名)の方の口座情報等が必要となりますので、何を持っていけばわからないという場合は事前に該当の役場へと連絡してから伺うようにしてください。

孤独死の場合は年金の過払いに注意

孤独死のような状況で遺体が長期間放置されていたようなケースですと、実際には年金の受取人が亡くなっていたにも関わらず年金が支給され続けていたという事が良く起こります。

例えば、3月に亡くなっていた場合で5月に遺体が発見されたとすると、4月に振込まれる年金は2月、3月分となりますので、6月に振込がされる前に年金事務所で振込の停止手続きや故人の口座の凍結がされれば問題ありません。

しかし、手続きが間に合わず6月に4月分、5月分の年金が振り込まれてしまうと、年金受給者が死亡していたのに支払いがなされた年金となってしまい、本来受け取れないはずの年金を受け取ったということになります。

こうした過払いされた年金は後日、返金しないといけなくなりますので、故人の死亡が判明した時点でなるべく早い段階でお近くの年金事務所へ相談してください。(年金事務所へはいきなり訪問するのではなく、電話連絡をしたうえで向かいましょう)

まとめ

これから、本格的な夏に向かって今回紹介したような事案が増える時期となります。

遺族としては、何をして良く、何をしてはいけないのかが分かり辛い事も多いかと思いますので、不安を感じた場合は士業等の専門家へ相談してください。

今回紹介した事案は多数ある孤独死問題のひとつでしかありません。実際の現場の状況は貸主やその他の親族も絡んでもっと複雑な状況となっており、遺族が大丈夫だろうと行った行為が取返しのつかない一手になってしまっていることもありますので、専門家への相談はなるべく早い段階で行うようにしてください。

当事務所へは、警察から故人が死亡したという連絡をもらった段階で、「今後どのようにしていけば良いのか?」といった漠然とした相談も良くよせられますので、そうしたまだ何も始まっていない段階での相談でも大丈夫ですので、お気軽にご相談くださいね。

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