原状回復をめぐるトラブルとガイドライン超解説!

遺品整理に限らず賃貸物件の退去の際には貸主と借主との間でトラブルが発生しやすいものです。特に敷金の返還や原状回復費用についてはトラブルが多く、国土交通省から原状回復の費用負担のあり方について一般的な基準として「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(以下ガイドライン)が出されています。

ガイドラインには原状回復の定義や賃貸住宅のもつ価値の変動そして貸主、借主が負担すべき費用についての考え方がまとめられています。

ガイドラインには強制力はありませんが裁判においてもこのガイドラインに沿った内容で判決が下る場合が多いなど実際には法律と同じような役割を持ち始めていますので、原状回復をめぐるトラブルでは今後ますますガイドラインの果たす役割は大きくなると思われます。

しかし、このガイドライン約170頁にも及ぶとっても濃い内容で慣れない人にはちょっと読みづらいかもしれません。このページでは退去の際に必要となり、知っていると役に立つことを簡単に解説しますので、遺品整理に限らず退去を控えている方は一度ご確認ください。


家主から高額な原状回復費用や損害賠償を請求される恐れがある場合、または今現在されて困っているという方は「賃貸物件で孤独死・自殺をされた方のご遺族 や連帯保証人が取るべき方法」をご参照ください。
自殺や孤独死・孤立死した場合の判例及び解説は「
自死・孤立死賃貸物件判例集」の頁をご確認ください。
退去立会で役立つ一般的な補修項目について簡単に書いてある冊子を希望の方は「
東京都都市整備局」のガイドラインリーフレットをご利用ください。ガイドラインリーフレット-東京都都市整備局東京都都市整備局)
ガイドラインの解説ではなく過去の判例を確認したい方は「
原状回復にかかる判例の動向の頁をご確認ください。
ガイドラインを自分で全部読んでみたいという方ははこちらからPDFがDLできます。「
原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)(国土交通省HP)


※国土交通省のガイドラインをホームページで掲載するにあたり、
 国土交通省より許可を取得しています。(1406149900008)

そもそも原状回復って何?

一般的な言葉のイメージとしては元に戻して返す、借りた状態に戻して返すといったイメージがあると思われます。でも、ガイドラインでは次のように原状回復を定義しています。
原状回復とは

賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意や過失、善管注意
 務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損(以下「損耗等」とい
 う。)を復旧すること」

と定義しています。
いきなり聞き慣れない言葉のオンパレードですが、要するに
入居者が部屋を借りて住んでいた時に発生するクロスや畳などの劣化(建物価値の減少)な
 どは入居者がわざと破いたり(故意)、タバコの火を落としたり(過失)、飲み物をこぼし
 たのに拭き取らず床を腐らせた(善管注意義務違反)など普通の使い方とは考えられない使
 用をして建物に与えたダメージ(損耗等)を直すということです。

もっと、簡単に言うなら、
入居者が退去時に直さないといけないのは、入居者の責任で生じた破損箇所だけで、なにも
 借りた当時の新品の状態にまで戻す必要やその修理費用を負担する必要はないということで
 す。

つまり、ガイドラインでは普通に使用してても時間の経過で生じる建物の価値の低下(経年劣化)の部分は貸主が負担して、入居者の責任で発生した価値の低下の部分だけを入居者は退去の際に弁償すればいいとしているわけです。

なぜ退去の時にトラブルが発生するのか?

上記のようにガイドラインでは入居者の負担すべき範囲は定義されています。では、なぜ退去時のトラブルはなくならないのか?それは下記のような要因があるからです。

契約上の「特約」の存在
入居者の責任かどうか判断できないグレーゾーンの傷や劣化の扱い
貸主と入居者間の補修に対する意識の違い

契約書に記載されている「特約」とは

賃貸借契約書には家賃や入居期間などの一般的な契約内容のほかに「特約」が定められている事があります。部屋を借りる際の契約書にある「特約」の多くが退去時に入居者が負担する費用について書かれています。

具体的に言うと、
・「明け渡しの後の室内建具、襖、壁紙等の破損、汚れは一切賃借人の負担おいて原状に回復
  する」

といった文言が特約として記載されているということです。
ガイドラインには退去時に入居者が負担する範囲について定めらているのではなかったの?
と思われるかもしれませんね。

なぜこのような「特約」の問題が出てくるのかというと、まず大前提なのがガイドラインに強制力はないということです。裁判でもガイドラインは重要な役割を持ってきていますが、あくまで一般的な基準を示しただけで法律ではありません。ですから、貸主と借主の契約について強制をすることができないのです。

つまり、貸主と借主双方が合意した契約内容なら、ガイドラインよりも双方合意の上作成した契約内容の方が優先されるということです。(契約自由の原則)
ですので、契約書に入居者の負担する費用が特約として記載されている場合はその特約の有効性を巡ってトラブルが生ずるのです。

入居者の責任かどうか判別しづらい傷や劣化について

部屋の損耗等には入居者の責任で生じたのか、経年劣化で生じたものなのか判断のしづらい傷や劣化があります。

例えば、壁紙(クロス)を例にとるなら、壁紙に発生したカビが入居者の生活スタイルによって発生したのか(加湿器を長時間使うなど)それとも建物の構造上の問題なのか。テレビや冷蔵庫の後ろの黒ズミ(電気ヤケ)の跡は入居者の責任なのかそれとも普通の生活していたら当然つく汚れなのかなど、一般の人たちにはその部屋に生じた価値の低下を貸主、入居者のどちらが負担するべきものなのか判断しづらいものがたくさんあります。

このため、少しでも修繕費用をもらいたい貸主と修繕費用の負担はできるだけ少なく収めたい入居者の間でトラブルが生じることになるのです。

貸主と入居者の補修に対する意識の違い

退去時にトラブルが発生しやすい原因の一つに貸主と入居者の補修に対する意識の違いがあります。

簡単に言うと、貸主は部屋を商品として考えていますので、次の入居者を募集する為に見栄え良く、借りてもらいやすくする必要があります。具体的にいうなら、壁紙を張り替えたり、清掃や消毒作業を行うなどです。

これに対して入居者は、借りていた部屋は自分の生活の場であり、退去した後は関係がなくなります。ですので、入居者としては自分が付けた傷については修繕の必要性は納得しますが、貸主としては、部屋の商品価値を維持する為に入居者が付けた傷に関係する範囲まで修繕してもらわなければ納得しないといった意識のギャップが生じます。

壁紙を例に具体的に言うと
入居者は自分が付けた傷があるクロスの張替えは最低限の範囲は修理に同意したとします。
しかし、貸主としては、その部分だけクロスを張替えをしても、そこだけが新品になってしまい逆に目だってしまうから、色あわせや模様合わせの為に部屋全体のクロスの張替えを主張するといった感じです。

こうした修繕に対する意識の違いから退去時にトラブルが発生するのです。

現在はどのように退去時のトラブルを解決または回避しているのか

では、上にあげた3つの問題に対して今はどのように解決が図られているのでしょうか。
まず「特約」については過去の裁判の積み重ねで次の3つの基準が示されました。

 賃借人に特別の負担を課す特約の要件

1、特約の必要性があり、かつ暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
2、賃借人が特約によって通常の原状回復義務を越えた修繕等の義務を負うことについて認識
  していること。
3、賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること。

簡単に言うなら
1、ぼったくりでないこと。
2、入居者が特約の説明をちゃんと受けて理解していること。
3、入居者が契約書にサインしていること。
ということです。

つまり、この3つの要件が守られているなら、本来貸主が負担すべき費用を入居者の負担としても良いですよということです。

反対にこの3つの要件が守られていなければいくら契約書に「特約」として記載されていたとしても、その効力は否定される可能性があるということです。

では実際にはどのようにすればこの3つが守られているといえるのかというと、ガイドラインでは次のような書面を使って入居者に対する説明を行う方法を示しています。


ガイドライン別表3 契約書に添付する原状回復の条件に関する様式
                      



これらの様式の書面を使って契約時に入居者に説明することにより、原状回復の一般原則の考え方を説明することができ、本来は貸主が負担するべき費用をあえて「特約」で入居者の負担にしているというを一般の入居者にもわかりやすくしています。

契約時に特約についてしっかりとした説明を貸主側にさせて、入居者は「特約」について理解した上でサインをすることにより紛争を未然に防ごうとしているわけですね。

また、このような様式の書面を交付することにより後日紛争が起きたとしても、貸主が説明責任を果たしていたかどうかの証拠にもなりますから紛争の早期解決にも役立つというわけです。

 入居者の責任かどうか判断しづらい場合の解決方法について

次に入居者の責任かどうか判断しづらい場合について考えてみましょう。

ガイドラインでは貸主と賃借人(入居者)の建物に対する負担を次のように区分しています。

A:賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの
B:賃借人の住まい方、使い方次第で発生したりしなかったりすると考えられるもの
(明らかに通常の使用等による結果とはいえないもの)
A(+B):
基本的にはAであるが、その後の手入れ等賃借人の管理が悪く、損耗等が発生または拡大
したと考えられるもの

そしてAの場合は修繕負担は貸主が負担し、Bの場合は入居者がその負担を負うとしており、A(+B)の場合は現場の状況と入居者の使用方法によって変わる為、状況にあわせて入居者が原状回復費用を負担するかどうかを検討するべきとしています。

しかし、状況に合わせ検討と言ってもわかりづらいため、貸主と借主との間で問題になりそうな箇所を下記の表にまとめて一般的な判断基準として示しています。
別表1損耗・毀損の事例区分(部位別)一覧表
床(畳、フローリング、カーペットなど)
壁、天井(クロスなど)-1
壁、天井(クロスなど)-2
建具(襖、柱など)
設備、その他(鍵など)

別表1(床)縮小

表中のA(+B)の欄に記載されている事例とその考え方によって、入居者が本来行わなければならない事をしなかった為に被害が拡大したような場合は入居者にも原状回復費用の負担が発生するとしたのがこの表の見方となります。

ダメージマトリクスの考え方

上記ガイドラインの別表1 損耗・毀損の事例区分(部位別)一覧表にて通常起こりそうな例とその損耗や毀損が貸主、借主どちらが負担するべきなのかがある程度わかります。

しかし、この一覧ですべての事例を網羅することはできませんので、個別の案件に対してはダメージマトリクスという考え方が取られることがあります。
           (以下、住宅新報社 原状回復と敷金清算入門4訂版より一部抜粋)
ダメージマトリクスとは
退去立会い時の査定の標準化に向けて考案されたものであり、損耗のダメージレベルを
A、B、C、Dの4ランクに分けたものです。

ダメージレベルA・・借主に費用負担が発生しない
ダメージレベルB・・借主負担が発生するかしないか微妙な分岐点
ダメージレベルC・・借主にガイドラインどおりの費用負担が発生
ダメージレベルD・・借主の重過失、故意、背信的な契約違反による貸室の使用による損傷

これらの内容を表にしたのが下になります。

ダメージマトリクス-1 基本的な考え方 汚損・破損の度合い(A-D)  グラフとはガイドライン図3をいう
ダメージレベル A B C D
通常の使用の範囲  
を越えるかどうか        
通常の使用 分岐点
やや越えるか
超えないか
明らかに越える 大きく越える
用法違反
責任度合い 借主責任なし 軽過失
手入れ不足
過失
手入不足
重過失
背信的違反
回復手段 張替無し
クリーニンをすれば
元どおりになる
  • 表面の張替え・塗装
  • 部品交換で元どおりになる
下地張替え
表面張替え
消毒
塗装
費用負担発生 なし 分岐点
グラフよりも軽減
あり
グラフどおり
あり
グラフどおり
費用負担内容 洗浄・塗装費用
張り替える場合は
グラフ負担よりも
軽減
表面張替え費用
塗装費用
躯体修理費用
下地張替費用
表面張替費用
消毒費用等
修理期間家賃 なし なし なし 場合によってあり
経過年数考慮 なし あり あり 表面は経過年数
考慮
下地・躯体は経
過年数考慮なし

この表は、例えばレベルAの損傷なら入居者には責任はなく費用の負担も発生しないけど、レベルDのような通常の使用を超える用法違反(ペット禁止マンションで猫を飼うなど)などをした場合は、消毒をしたり消毒期間にかかる家賃を入居者側が別途支払わなければいけなくなるぞといった感じで見る表です。

ダメージマトリクス-2 部位ごとの適用 破損の具体例(A-D)
ダメージレベル A B C D
壁・天井 きれい 軽微な汚れ
小さな傷
画鋲
台所壁液体はね汚れ
軽微な手垢
家具あとの変色
電気焼け

落ちない汚れ
破れ、傷
ビス穴、釘穴

破損
下地までダメージ
穴をあけた
ペットのひっかき傷
臭い
フローリング きれい
家具設置跡
着色無し

軽微な汚れ
小さなすり傷
家具設置跡
軽微な着色

削れ、傷
ぶつけ跡
着色
破損
腐食
水漏れによる変色
ささくれ
クッションフロアー きれい
家具設置跡
着色無し
軽微な汚れ
小さなすり傷
家具設置跡
着色無し
破損 破れ
着色
深いへこみ
床に穴うぃあけた
きれい
家具設置跡
着色無し
軽微な汚れ
小さなすり傷
家具設置跡
着色無し
破損
深いへこみ(床
までへこみ)
着色
床の破損
床を腐らせた
床が落ちた
カーペット きれい
家具設置跡
着色無し
軽微な汚れ
小さなすり傷
家具設置跡
着色無し
汚れ放置
破損、破れ
着色

床に穴をあけた

建具 異常なし 立て付け悪い
微調整で直る
不注意な使用による破損
容易に部品交換
不適切な使用による
破損
要交換
クリーニング 異常なし
綺麗に掃除
をした
借主が掃除をしたが
不十分
中性洗剤で落ちる
軽微ば汚れが残って
いる
通常の清掃未実施 無断ペット飼育臭
油汚れ放置
ゴミ、がらくた放置

マトリクス2は1と同様ダメージレベルを部位ごとに適用したものであり、たとえば畳で家具の設置跡があっても家具の色が畳に移っていなければダメージレベルはAと考え、家具の跡も着色もあるとダメージレベルはCになりますよといった感じで見る表になります。

このダメージマトリクス1と2をガイドラインの表と合わせて使用することによって、不動産会社によって査定額に大きな違いが出るような事態を防ぐことが出来ると考えられています。

しかし、これらを使ってもガイドラインのA(+B)の部分とダメージマトリクスのBレベルの破損では依然、貸主と借主の間でトラブルが起きるのは避けられません。
そこで、参考になるのがガイドラインの(図3)設備等の経過年数と賃借人負担割合の表です。

ガイドライン経過年数表

経過年数の考え方とは、簡単に言うと6年経ったら入居時に新品だったクロスでも1円の価値しか残っていないとする考え方です。

ですから、3年間入居して部屋を退出する時に入居者の責任や経年劣化で汚れなどがついたクロスを全部張替える必要があった場合に、その費用が5円万掛かったとしても入居者の負担割合はその半分の2万5千円が妥当とする考え方です。

つまり、新品にリフォームした部屋でも入居期間が長ければ長いほどクロスや床材の価値は低下していき、最終的には1円になるから、入居者の過失や経年劣化が合わさって生じた修繕の必要性について、その全額を入居者の負担とするような請求は過当な請求になる場合があるということです。(有効な特約がある場合は除く)

そして、耐用年数内でまだ価値が残っている場合でも図3に示されているように、入居期間と照らし合わせて残存価値以上の請求をすると過当請求になる可能性があるということです。。
(クロスや床材などの残存価値期間は後述の別表2に記載)

ではこの経過年数の考え方を先ほどの入居者の責任かどうか判断しづらい場合にどのように適用していくのか。

ガイドラインの別表1のA(+B)の損傷やダメージマトリクスのBレベルの損傷はどちらも、入居者の責任かどうか判断しづらいグレーゾーンです。ですので、今現在は話し合いで解決していくしかありません。

その話しあいで貸主、入居者双方が納得しやすくなる資料として、上記のガイドラインの別表1やダメージマトリクスを使用していきます。

具体的には入居者の責任かどうかは実際にはわからないし、入居者も自分に責任がない事を証明できないなら、経過年数グラフより軽減した補修費用を入居者に負担してもらい、それ以外の部分は家主側で負担するといった感じで話し合ってみるということです。

貸主と入居者の補修に対する意識の違いの解決策は?

まず、意識の違いの具体例をもうすこし上げてみましょう。

先ほど上げたクロスの例のほかに畳の例などがわかりやすいでしょう。
例えば、入居者が重たい家具を畳の上に置き、しかも家具の色が畳に移ってしまっていた場合はガイドラインの別表1でいう区分Bでダメージマトリクスで言うところのレベルCにあたりますので、入居者の責任で原状回復を行っていかなければならない箇所となります。

その際に入居者の責任のある箇所は6畳の内1畳だけだったとします。
そうすると入居者は1畳分だけ原状回復すればいいのであれば修繕費は安くすみます。

しかし、1畳だけ修繕されたら家主側としては1畳だけ新品の緑色で他の5畳は茶色の畳となり、ちぐはくなものとなってしまい、全部新品に換えてくれというのが希望となるでしょう。

こういった家主側と入居者側の意識の違いが原因でトラブルが発生するのですが、これを解決すべくガイドラインでは賃借人の負担単位を定めています。

これにより、クロスなら入居者が傷をつけた箇所を含む㎡単位での補修かまたは一面までの負担はやむをえないと定め、畳なら原則1枚づつが負担単位と示されています。
(その他の箇所については下の部位別負担一覧表参照)

ガイドライン別表2 
賃借人の原状回復義務負担一覧表

床(フローリング、カーペットなど)
壁・天井・建具(クロス・襖・柱など)

設備・その他(鍵・クリーニング)

この別表2よって、賃借人の原状回復しなければならない負担部分については一定の指針が示されることになりました。
また家主側としてもこれまでのような「色あわせ」や「柄合わせ」などを理由とした請求はガイドラインに反する行為だと認識する必要があるでしょう。

負担単位(縮小)

ガイドラインの別表2で注意して頂きたいのが、補修部位によっては経過年数を考慮しないものがあるということです。

具体的に言うなら畳表や襖などは消耗品として考えられるためクロスなどのように入居期間2年だから残り4年分の価値があるといった考えはせず、入居者に責任のある損傷については、入居期間の長短に関わらず入居者の全額負担となります。

補修箇所によっては経過年数を考慮しないものがあるということにご注意ください。
別表2には、経過年数の欄に経過年数を考慮する、しない、または経過年数が6年や8年を越えるものなどについても記載がありますのでご確認ください。

ガイドラインを使ったら実際の敷金の清算はどうなるか計算してみよう!

今度は実際にガイドラインに沿った清算方法をみてみましょう
クロスやカーペットなどは次のような計算式で借主の負担金額を出します。
(部材の単価)×(補修面積)×(経過年数による%)=借主が負担する金額


具体例    ○%(入居期間)は前述の図3(経過年数と賃借人の負担割合を参)
クロス張替えの場合
クロス㎡単価1,000円×居室4面(30㎡)×50%(入居期間3年)=15,000円

クッションフロワー張替えの場合
クッションフロア㎡単価4,500円×居室床全体(12㎡)×10%(入居期間5年半)=5,400円

設備交換の場合
ペットがエアコンに粗相をしてエアコンが壊れたような場合は?
(エアコンの価額)×(経過年数による%)=借主が負担する金額 となるので
エアコン80,000円×65%(入居期間2年)=52,000円が入居者の敷金から引かれる。

などなど、経過年数を考慮して貸主、入居者双方が納得できる退去清算を行いましょう。

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