名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ

2014.07.23

ダンボール二箱に及ぶ遺言!

 おはようございます。名古屋市の遺品整理専門第八行政書士事務所の谷です。

暑いですね梅雨も明けたようで、これから夏本番って感じですかね。既にちらほらと孤独死現場の片付けの依頼が出始めています。

例年暑くなればなるほど孤独死の件数も増えていきますので、もし身近な方で独居の高齢者や単身で日頃から働きすぎているような方がいるようでしたら、メールや電話など簡単に取れる手段でかまいませんので、安否確認を定期的にとっていきましょうね。

さて、昨日は日本人はあまり遺言を書かないという内容で書いていましたが、今回はその真逆の遺言を書きすぎちゃった方のお話しを少し書いてみようかと思います。

その現場は、団地の一室で間取りは2LDKと少し古いですけど一人で住むには十分な広さをもったお部屋です。個人は男性で、甥子さんからのご依頼でした。しかし、甥子さんは故人とは面識もなく、近くに住んでいるからという理由だけで他の親族から遺品整理を任されてしまったようです。

当然そんな間柄の遺品整理では、思い出の品や形見分けの品などといった考えは出てきませんので、貴重品や手続きに必要な書類以外は全て処分して欲しいとのことでした。

スタッフとともにさっそく片付けを開始したところ、すぐにスタッフから「こんなんありますけどどうします?」と疑問が投げかけられてきます。

スタッフが持ってきたのは「遺言書」と書かれた書類。しかし、それが書かれていたのは新聞の広告の裏紙です。
んんん?と思って確認していると、他のスタッフ達からもぞくぞくと同じような「遺言書」と書かれた紙が集まってきます。

新聞の広告の裏に始まり、カレンダーの隙間やティッシュボックスの空きスペースに書かれた物、はてはトイレにあるトイレットペーパの芯に書かれた遺言書など多種多様です。

その数ダンボール二箱分。とりあえず、念の為に怪しそうな物は全部集めてみましたが、どれもこれも自筆証書遺言の要件を満たしていないものばかりです。

自筆証書遺言が効力を持つためには次の要件が揃っている必要があります。
・全文の自書
・日付
・氏名
・押印

この要件が揃っており、民法に定めに反していなければ遺言書は有効となります。ですので、遺言書を書く用紙というのは原則どのようなものでも構いません。

極論を言ってしまえばこの部屋にあった物のようにおチラシの裏に書かれたものでも、定められた要式さえ遵守していれば有効な遺言書となるわけです。

しかし、このお部屋にある遺言にはどれも日付がなかったり、氏名の記載がなかったりしていてどれも有効な遺言とは言えないものばかりでした。遺品整理の際に遺言書が出てこれば当然故人が書いた遺言だと思われます。

しかし、第三者にとってはそれが故人が書いた遺言なのかどうかは遺言書に記載された氏名や押印で判断するしかないのですから、横着して氏名を省略したりすると遺言は無効になってしまいますのでご注意ください。

おそらくこのお部屋の住人だった方もこれを正式な遺言とするつもりはなかったのでしょう。遺言の下書きを思いつくままに書いて、遺言の内容がまとまった所で正式な遺言を作成するつもりだったのかもしれません。

とりあえず、集めたダンボール二箱にも及ぶ遺言は、遺言としての効力はなくても故人の思いが書いてあるものではありますので依頼者の方にどうするか確認すると「全て処分で」とばっさり。

ま~仕方ないですよね。これだけの遺言を確認するのは相当骨ですし、会った事も無い方の遺品整理を仕方なくやってる状況では故人に対して情がわかないのも仕方がありません。

念の為、他のご親族の方への確認をしてもらい、もしかしたら公正証書の遺言を残されているかもしれないので、公証役場に確認された方がいいですよとだけお伝えはしました。

遺品整理の現場では遺言が出てきた場合はご親族はその遺言に強い関心を持たれるのが普通なのですが、今回はあまりにたくさんの遺言を書かれいたことと書かれていた用紙がチラシの裏などで遺言書が本来もっている一種の威厳みたいな物が一切感じられなかった為に全て処分となってしまいました。

遺言を書く用紙は指定されていないとはいえ、あまりに適当でない物に書いてしまうと今回のようにご親族の関心を失わせてしまう結果となってしまいます。

遺言を書く際はちゃんとした用紙で書くようにしましょうね。チラシの裏だけは絶対にやめましょう!

名古屋の遺品整理専門 第八行政書士事務所 代表 谷 茂

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