名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ
2021.10.07
後を絶たない遺品整理業者の犯罪
おはようございます。名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八行政書士事務所の谷です。
10月に入ったというのに、暑いですね!朝と夜の寒暖差も激しい状況ですので体調管理にはお気をつけください。
さて、昨日ネットを眺めていたら、遺品整理業者がタンスから見つかった金銭を盗んで逮捕というニュースが出ていました。下の記事のような感じですね。
こうした遺品整理業者による金銭の横領や不法投棄は後を絶ちませんが、真面目に遺品整理を行っている業者からみると本当に迷惑な話しですね。
今回の事件の経緯としては、空き家になっていた母親の遺品整理を遺品回収業者に依頼したところ、タンスにしまってあった現金を業者の二人が発見し、それをそのまま依頼者に返却せずに盗んだということのようです。
もともと依頼者自身も多額の現金が室内にあるということは知らなかったようですので、本来なら盗まれたまま気づかずに終わってしまった事件とも言えます。
今回なぜ、依頼者側が現金を盗まれたことに気づいたかというと、亡くなった母親の通帳を依頼者の方が保管しており、その残高と現金が大きく異なっていたことから、警察に相談されたようですね。
私がいつもお世話になっている税理士の先生は、もともと国税OBということもあり、依頼者の方から相続税の申告手続きを依頼されたような場合は、通帳を精査しますが、その際に聞いている保管現金と過去に引き出された現金がズレているような場合は、「タンス預金があるのでは?」と疑うそうです。
そうした場合は、依頼者が相続税を安くすませようと故意的に現金の額を少なく言っているケースもあれば、本当に現金の所在をしらずに、故人が隠していたお金に後から気づくというケースもあります。
今回は恐らく後者のケースで、相続人たる依頼者の方はもともと室内に多額の現金が保管されているということは知らずに、遺品整理業者に整理を依頼。
その後、母親の通帳を確認したところ、多額の現金の引き出しがあり、生前に母親がそのような多額の現金が必要となる買い物をした痕跡もないことから、もしかしたら室内にあったのでは?!と思われたのかもしれませんね。あくまで私の推測でしかありませんが。
しかし、今回の事件のように相続人や遺族が知らない多額の現金が遺品整理の現場から出てくることは珍しくはありません。もともと親子間であっても、口座にいくらのお金を持っているのかなど正確には知らないのが普通です。
ですので、今回のように多額の現金が隠されていることを知らずに遺品整理業者に処分を依頼してしまうというケースも珍しくはありません。
そうした遺族が行ってしまう確認ミスのフォローも含めて、遺品整理業者の業務の内なのですが、依頼者が知らないことをいいことに、遺品から出てきた金銭を盗んでいく業者が実際にいます。
遺品整理ではなく、一般的な不用品回収でしたら本人立ち合いのもとで、作業を進めていきますので、こうした金銭を業者にもっていかれてしまうということはないでしょう。
しかし、遺品整理となると、離れて暮らしていた実家の整理のように、どこに何があるかは依頼者も分かっていないようなケースも多く、室内に多額の現金が隠されていたとしても、遺品整理業者から発見したこをと伝えてもらわない限りは気づかずに終わってしまうこともあります。
今回はたまたま、依頼者側で故人の通帳との差額の異常に気づけたので事件が発覚いたしましたが、これは遺品整理業界の氷山の一角とも言えるでしょう。
遺品整理業はなんら資格も必要もなく、誰でも始められてしまう仕事でもある割に、故人の財産を処分する、場合によっては今回のように多額の現金を室内で発見することもあり、それを適切に処理する高い倫理観を求められる仕事でもあります。
産廃の不法投棄のように、逮捕されたら代表と社名を変えて同じような仕事を始める悪徳遺品整理業者も多くいるのは、遺品整理を行うために必要な資格がなにもいらないからでもあります。
大事な遺品整理を依頼する際は、値段だけで依頼先を決めるのではなく、国家資格を有する士業をはじめとした、高い倫理観と責任をもって仕事を行ってくれるところに依頼するようにしてくださいね。
コメント
今回のように現金が出て来た場合は横領だそうですが、処分品の中から欲しい品を自己所有した場合も横領になるのでしょうか❓それで今裁判を起こしている知人がいますが、処分品は業者に所有権があるのではないですか?
- 森本
- 2024.04.18 04:02
現金以外の動産については、遺品整理時にどのような形で契約をしていたかによって処分業者に所有権があるのかどうかが変わってくるかと思われます。
依頼者の立場としては、処分費用を支払って処分を依頼しているのに、業者が欲しいからといって、勝手に処分品を持って帰ったとしたらそもそも契約違反です。
(不用品を処分する依頼をしたのに、処分されていないし、支払った処分費用にも理由がなくなります。)
ただ、一般的な遺品整理業者でしたら、古物商の許可を有しており、買い取りという形で遺品を買い取っている可能性もあります。
買い取りをしていない場合でも依頼者の許可を貰って譲渡を受けるということもあるでしょう。(未使用のタオルや洗剤等を遺品整理業者の清掃に使用するために依頼者の好意で貰うなど)
有価物の遺品を遺品整理業者が買取金額を提示して、依頼者が納得して売買しているのでしたら、遺品整理業者が適正に買い取ったと言えるでしょう、
しかし、依頼者の無知を奇貨として、本当は相当高価な品であることを分かった上で、依頼者には二束三文の価値しかないと説明した上で買い取っていたり、騙すような行為をしてはいなくても、依頼者がそんな高価な品なら売らなかったのにと誰が見ても思えるような状況下での契約だったような場合は、遺品整理業者に所有権が適正に移ったとは言えない可能性がでてきます。
処分品を遺品整理業者が横領したのかどうかは、契約時にどのような話し合いや契約をしていたかによって変わってくることになるでしょう。