名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ

2026.09.11

遺品整理に着手するまでにかかった3ヶ月

おはようございます。名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八行政書士事務所の谷です。

先日の豪雨では私の事務所前の道路も川のようになり一時車を避難させるなど東海豪雨依頼の大雨でしたね。次の日に市内を車で走っていたらいたる所に水没車と思われる車が放置されており、大雨の影響の強さを改めて実感した次第です。スマホの警報がひっきりなしに鳴るのは心臓に悪いですね、、、、、

さてさて、本日は遺品整理と孤独死と死後事務の問題が絡み合った話題となります。
遺品整理を始めるまでの時間(相続が開始してから部屋の片づけを開始するまでの時間)は各家庭それぞれですので、一概にこの期間にやらなければならないというものではありません。

故人が賃貸物件で生活されていたのなら、賃料の無駄を省くためになるべく早く遺品整理を始める必要がありますし、反対に故人が持ち家で生活されていたのでしたら、固定資産税などの税金面の負担を飲めるのでしたら、急いで遺品整理を行う必要もありません。

ただ、近年問題になってきているのが、遺品整理が部屋の片づけだけではすまない事情が絡み合ってきているケースが増えてきていることです。

ひとつ具体的な例をあげるとするなら、先日当事務所で行った遺品整理の現場は、ご本人(故人)が亡くなられてから実際に遺品整理に着手するまでに3ヶ月ほど時間がかかりました。

これは、遺族側が気持ちの整理や思いでの品を探すために要した時間などではなく、やむにやまれぬ事情があったためです。

このご依頼では、ご遺族から最初の相談があった際に、本人(故人)のご遺体はDNA鑑定中とのことでした。夏場に孤独死という状況で発見されて、遺体の損傷状況から身元確認にDNA鑑定が必要だったというケースですね。

夏場に孤独死状況で発見されるケースは近年では珍しいことでもないため、ここまではよくある話とも言えます。通常の流れでしたら、警察から本人確認の連絡を待って葬儀や遺品整理を行っていけば問題ありません。

ただ、今回のケースでは、故人と遺族が長年疎遠(30年近く音信不通)だったこともあり、遺族側としては、親族ではあるけれどほぼ他人みたいな立ち位置でもあり、何をどこまで対処すればいいのかもわからないといった状況でした。

そのため、今後の手続をどのように進めていったらいいのか分からないため、専門家の意見を聞きたいとのことで当事務所へご来所されることになった次第です。

実際の状況としては、
① 故人とは何十年と連絡を取っておらずどのような生活をしていたのかわからない
② 警察から連絡をもらって初めて住んでいた場所やマンションを買っていたことを知った
③ 以前に離婚したことは知っていたが、再婚していたとは知らなかった(相続人関係一切不明)
④ 故人の資産状況や借金の状況等は一切不明
⑤ 勤務先などは警察から聞いて初めて知った

といったような状況で、疎遠な親族であったため、故人がこれまでどのような生活をしてきていたのかが一切不明でした。

こうした状況で遺品整理に着手してしまうと、万が一故人に借金等があった場合は相続放棄にも影響が出てくる可能性があるため、遺品整理を行う前に、不安要素を潰しておかなければなりません。

確認事項としては大小様々ありますが、大きな点をあげるなら次の3つとなります。
① 相続人の確定(戸籍調査による相続人が誰であるかの確認)
② 故人の資産状況の確認(預貯金等の残高の確認)
③ 故人の負債状況の確認(カードローンや住宅ローンの財産の有無の確認)

これ以外にも死亡に伴う行政機関への届出や故人が利用していた各種契約(携帯、サブスク、駐車場等々)の解約手続などがありますが、今回は遺品整理に着手するまでに必要だった手続と時間に焦点をあてていきます。 

① 相続人の確定作業

遺品整理を開始するにあたってまず第一となるのが、依頼者が相続人であるのかどうかの確認です。

遺品整理とは、故人が生活されていた住居及び家財関係を処分していく作業でもあるため、そもそも相続人でなければそうした処分権限を持っておらず、相続人でない方からの遺品整理は基本的には受けることができません。(故人が未婚で兄弟姉妹などがいないようなケースでは、従兄弟などからの依頼で遺品整理を行うことはあります)

ですので、まずは故人の出生~死亡までの戸籍を区役所等で取得して相続人が誰であり、依頼者の方は相続人で間違いないのかを確認していく必要があります。

例えば、故人の死亡記載のある戸籍や原戸籍を確認すれば故人の配偶者やお子様といった情報が確認できますので、遺品整理の依頼がお子様ということであれば、簡単に確認できます。

しかし、依頼者が従兄弟といったような関係であれば、従兄弟は相続人はありませんので、そもそも故人の財産を処分する権限がありません。ただ、従兄弟が賃貸物件の連帯保証人になっているようなケースでは、部屋を大家さんに返さなければいけない事情もありますので、遺品整理を行わなければいけなくなります。

ただ、そうした事情があったとしても故人に法定相続人(配偶者、子供、孫、両親、祖父母、兄弟姉妹、甥・姪)がいると、遺品整理をしたことでトラブルが起きないとも限りませんので、最低限相続人の有無は確認する必要があります。

この戸籍調査も、故人が結婚されており、お子様がいるといった状況であれば、配偶者と直系卑属は第一順位の相続人となるため、誰が相続人であるのかはすぐに判断つきやすいのですが、今回のケースのように結婚と離婚を繰り返しているような方の場合は、依頼者の知らないお子様がいたりする可能性があったりしますので、状況によっては詳細な確認が必要となってきます。

代理人は戸籍の広域交付制度を利用することができないため、私たちのような士業が戸籍調査を一から行うケースでは、故人の本籍地が死亡地とは異なる遠方にあったりすると、郵送で戸籍を取り寄せることとなるため、故人の家族関係によっては相続人が確定するまでに2~3ヶ月以上かかったりすることもあります。

今回のケースは、ご兄弟からの依頼でしたので、戸籍の確認だけでも1ヶ月ほどかかりました。(これでもかなり早い方なんです)

② 故人の資産状況の確認

次に行うのが、故人の資産状況の確認です。

①で、故人の相続人を確認する過程で集めた戸籍や除籍等に相続人の戸籍や住民票等も一緒に取り寄せて「法定相続情報一覧図」を作成します。法定相続情報一覧図は、故人の相続人が誰であるのかを1枚(家族構成によっては複数枚)の紙に表して、法務局でお墨付きの印を貰ったもので、これがあることで銀行等での手続が非常にスムーズになる相続人関係を証明する用紙です。

この法定相続情報一覧図を複数枚用意して、故人が生前利用していた銀行等の金融機関へと残高証明や取引履歴を請求していきます。

残高証明と取引履歴を取得することで、故人が死亡した時点でいくらの残金が残っていたのかと、また通帳等が残っていなかったとしても、これまでどういった形で入金や支払いをしてきたのかを確認することできます。

残金がいくら残っているかは直接相続財産に関わってきますし、入出金の履歴を確認することで、故人がどのような会社で務めていたのかや、どういったサービスを利用して、場合によってはカードローン等の利用等も判明します。

ですので、疎遠な親族でどのような生活をしていたのかが全くわからないとったケースでは、こうした入出金の履歴を数年分確認して、故人の財産状況の把握に努める必要がでてきます。

この残高証明や取引履歴の取得も書類を揃えて銀行に提出してから、手元に届くまでに1週間~2週間ほど時間がかかりますので、相続人が確定したらすぐに着手する必要がでてきます。

③ 故人の負債状況の確認

②の資産状況の確認と併せて行うのが故人の負債状況の確認となります。

先ほど、書いた通り銀行の取引履歴を確認することで、消費者金融へ定期的に振り込んでいたりすれば故人の借り入れがあることなどは推測できます。

また、自宅のポストや室内を確認した際に債権回収機構や弁護士等から督促状が大量にきていることもあったりしますので、その中身を確認して故人の負債状況を確認していく必要もあります。

孤独死状況での発見であれば、死後数ヶ月で発見されるということもあるため、その間にスマホ代や公共料金等が未払いとなっており、そうした少額の利用料の督促状が複数きているといったことはよくあります。

その程度であれば、督促状記載の連絡先に電話をして事情を説明して支払いを進めていけば問題ないのですが、そうではなく、故人が消費者金融等から多額の借り入れ(キャッシングやカードローン)をしている場合は事情が異なります。

故人の残された遺産で返済できる額であれば問題ないですが、多重債務の状況で故人の遺産をあてても返済しきれない状況(債務超過)の場合であれば、相続人としては「相続放棄」も検討しなければいけなくなります。

もし仮に、債務超過の状態で相続人が相続放棄をしなければならないといった状況であれば、遺品整理を行ってしまうことで相続放棄の手続に影響がでる可能性があるため、やはり故人の債務状況がはっきりするまでは遺品整理には手が付けられません。

今回のケースのように親族が疎遠な関係ですと、故人の借り入れ状況などは把握されていませんので、より確実に故人の債務状況を把握するために、司法書士等に依頼して、各信用機関(CIC・JICC・KSC)に照会をかけて調査する必要があります。

ただ、司法書士等の専門家に信用機関への照会をかけてもらったとしても、個人間の貸し借りや故人が連帯保証人になっていたようなケースまでは把握できませんので、絶対に大丈夫とまでは言い切れないのが実情です。

そうした危険性をなるべく、少なくするのためにも、故人宅での財産調査(遺品を処分しない範囲で自宅の調査を行い、関係書類を見つけていく)も併せて行っていく必要があります。

ただ、今回のケースのように故人が自宅で孤独死していたようなケースでは、遺体の腐敗に伴う死臭や害虫の発生で一般の方が室内で必要な書類を探すことは困難を極めるため、そうした調査は私たちのような専門家へご依頼ください。

今回のケースでは、銀行への残高証明、信用機関への照会、室内の財産調査で、故人は債務超過の状態ではなく、預貯金もある程度残っており、住宅ローンはあるけれども、団体信用保険にも加入していることが判明しました。

※ 司法書士等へ債務調査を依頼する場合は、必要書類を提出してから照会結果が返ってくるまで2週間前後と時間がかかるため、こちらも相続人が確定した段階でなるべく早く依頼しておく必要があります。

相続手続開始

ここまでの調査で、住宅ローンといった大きな借り入れがあることが判明しましたが、併せて団信契約も確認できていることで、住宅ローンの支払いについては心配する必要がなくなりました。

また、司法書士への債務調査の結果、住宅ローン以外の借り入れもスマホの利用料や公共料金をカード払いにしている程度のものであり、相続財産に大きな影響を与える物はないとわかりました。

結果として、故人の資産としては、預貯金内の残高と築20年ほどの分譲マンションとなり、大きな負債もないことが判明したことで、相続放棄はせずに相続する結果となりました。

では、遺品整理に着手!といきたいところですが、確実な手続としてはもう少し手間をかける必要があります。

故人の遺産がプラスとなり、相続することが決まったとしても、相続人が複数いる場合は、遺産分割協議を行う必要があります。遺産分割協議とは、残された故人の遺産を相続人の誰がどれだけ引き継ぐのかを決める話し合いのことですね。

故人が遺言を残されていたのでしたら、遺言の内容が優先されるのですが、今回のケースでは遺言書が残されておりませんでしたので、遺産分割協議が必要となります。

※遺言書が残されているかどうかは、「公証人役場での調査」「法務局での調査」「自宅等の調査」で確認していくことになります。

故人の自宅に残された遺品も財産のうちですので、この家財を誰が相続するのかによって、実際の遺品整理の依頼者が決まるとも言えるのですが、実務においては、相続人全員が遺品整理の許可と費用の負担を認めているのでしたら、遺産分割協議前に遺品整理を行ってしまうケースも珍しくはありません。

今回のケースでは、遺品整理については相続人は誰も反対してはいないのですが、団体信用保険によって住宅ローンが帳消しになるかは非常に大きな点となるため、団体信用保険の結果がでるまでは、遺品整理に着手せずに、万が一団信が適用できないとなった場合でも相続放棄ができる状況にはしていました。

最終的に、問題なく住宅ローンは団体信用保険によって完済されて、晴れて遺品整理に着手、その後売り出しという流れに持っていくことができました。

遺品整理と一言でいっても、故人の生活状況によっては、調査に時間をかけて、ひとつひとつ調べていく必要があります。とりあえず、細かいことは部屋を片付けてから考えればいいかと、遺品整理を進めてしまうと取り返しのつかない状況になってしまうこともありますので、ご注意ください。

まとめ

今回のようなご依頼では、長年音信不通だった親族が孤独死といった状況で発見されたこともあり、多額の借金があるのでなないかと心配されて「相続放棄」に伴う遺品整理について、相談が入ることもあります。

ただ、上記のように慎重に資産状況を確認することで、プラスの財産が残ることがわかり安心して相続を進めるといったケースも多いため、疎遠な親族の相続手続で心配な場合は専門家へご相談くださいね。

特に孤独死が発生した現場での財産調査は、一般の遺品整理業者では不安が残るところでもありますので、専門家の視点でアドバイスが欲しいといった場合は、遺品整理・死後事務専門の第八行政書士事務所へご相談ください。

お電話お待ちしておりま~す。

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