原状回復にかかる判例【事例22】

[事例22]
 設備使用料等の合意が、公序良俗に反し無効とされた事例
 大津地方裁判所判決 平成16年2月24日
〔敷金21万3000円 返還21万3000円〕


1 事案の概要

(原告:賃借人X 被告:賃貸人Y)
賃借人Xは、賃貸人Yと平成6年5月、月額賃料7万1000円で賃貸借契約を締結し、敷金として21万3000円を差入れた。同日、賃借人Xは賃貸人Yに「設備協力金」名目で15万円を支払い、平成8年5月と平成10年5月の更新の際に「設備使用料」名目で各15万円を支払い、平成12年10月10日に賃借人Xが賃貸人Yに本件物件を明け渡した。

本件契約書には、自然損耗による修繕費を負担するとの特約が付され、賃貸人Yは特約に基づき27万9980円の補修等の費用を主張し、敷金21万3000円を差引いた6万6980円の支払いを賃借人Xに請求した。

これに対して、賃借人Xは修繕費負担特約について合意が不成立である、公庫法及び公序良俗違反無効であることを主張して敷金の返還を求め、併せて、設備協力金ないし設備使用料の徴収が公序良俗違反無効であることを主張して同名目に基づく支払金を不当利得であるとして返還を求めて提訴した。

これに対して、賃貸人Yは設備使用料は冷暖房機の使用の対価であり、公庫法が禁止する  「権利金・謝金等の金品」に当たらず、承諾書の差入れ等で合意があり、公序良俗違反にも当たらないと争った(なお、本件は賃借人X以外の4名の原告の賃貸人Yに対する同様の請求が併合された案件である)。


2 判決の要旨

これに対して裁判所は、
(1)修繕費負担特約について、当該特約が許されるのは民法及び借地借家法に抵触しない限
   りであるとして、特約が有効とされる場合の要件として、①特約の必要性があり、かつ
   暴利的でないなどの客観的・合理的理由が存在すること、②賃借人が特約によって通常
   の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること、③賃借人
   が特約による義務負担の意思表示をしていることが必要であるとして、本件で契約締結
   時に具体的な説明がなく、合意の成立を認めることができないとした。

(2)設備使用料の徴収については、公庫法が権利金・礼金及び更新料といった金員の徴収を
   禁止しており、本件設備使用料等の支払の合意が公庫法35条、同法施行規則10条で禁
   止されている賃借人の不当な負担に該当する。しかし、同法に違反した契約の効力が直
   ちに否定されず、その約定が同法等の規制を逸脱することが著しく、公序良俗規定や信
   義則に照らして社会的に容認しがたいものである限り、かつその限度で司法上の効力が
   否定されるとし、本件徴収金が公庫が指導している金額の約倍程度となり、著しく高額
   な使用料を徴収していることから、その合意の全体が公序良俗に反し無効である。

(3)以上から、賃借人Xの敷金返還及び設備使用料等の不当利得請求を認めた。

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