名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ
2017.06.09
真夏の孤独死を発見! 大家さんが発見した場合
おはようございます。名古屋の遺品整理・特殊清掃専門第八行政書士事務所の谷です。
梅雨らしい天気ではありますが、雨だと外に出たくなくなりますね。ブログの作成がはかどります(笑)
さてさて、先日は孤独死の現場を家族が発見した場合にどんな事に注意してどんな感じで処理されていくのかを簡単にご紹介させて頂きました。
書いているうちにあれもこれもと書かなくてはいけないなと思うことはあるのですが、全部は書ききれませんでしたので、過去のブログや問題点をピックアップして解説しているページもございますので、そちらをご確認頂けたらと思います。確認している時間がないような緊急の方は事務所へ電話を頂ければご相談に応じています。
そして本日は前回の予告通りに孤独死の現場を大家さんや管理会社の方が発見した場合対処について書いていいこうかと思います。こちらについても個別のページ「孤独死・自殺が起きた場合に家主や管理会社が取るべき手順」で解説していますので、より詳しく知りたいということはこちらもご確認ください。ここでは基本的な内容と注意点について書いていきます。
異常を放置しない
真夏へと向かうこれからの時期は独居の高齢者の孤独死が増加する時期でもあります。また、夏場は気温が高く冬の孤独死とは比べられない速さで遺体の腐敗が進み、気づいたら被害が拡大してしまっていたということも珍しくはありません。
孤独死は自殺とは違いますが、近隣へと与える影響は遺体の状態によっては自殺や殺人と同じような衝撃を与えることもあり、孤独死した部屋以外の入居者の退去に繋がってしまうこともありますので、賃貸経営を行っていく上では早期の発見と早期の対処を行い、いかに被害を少なく抑えるかがポイントとなります。
こういった異常を放置してはいけない (孤独死現場発見の前兆)
・近隣からの異臭、ハエの苦情
・集合ポストや新聞受けの配達物の放置
・一日中聞こえるTVの音や水の流れる音
これらはあくまで一例ですが、大切なのはこの時期は孤独死が発生しやすいということを前提に行動するということです。普段ならTVの消し忘れか?と思うようなところでも、もしかしたら部屋で倒れているかも?と考えて、親族や連帯保証人の方へと安否確認をお願いしましょう。特に高齢の方の場合は要注意です。
もし、現地に様子を見にいった際に玄関から異臭が漏れていたり、窓にハエがびっしりと付いているような状態なら孤独死の可能性が高いですので、ひとりでは絶対に室内に入らず必ず警察へと連絡した上で室内の確認を行ってください。
孤独死を発見しても冷静に
孤独死現場を見慣れていない方にとっては孤独死現場に遭遇したことによって冷静さを失ってしまうかもしれません。しかし、賃貸経営を行っていくうえではこの段階での初期対応でその後の手続きがガラリと変わってしまうこともありますので、まずは冷静になることに努めましょう。
大家さんや管理会社の方が良くやってしまう失敗
孤独死が発生した場合に大家さんや管理会社の方が良くやってしまう失敗があります。まずは、現地に来られた遺族と大声で現場前で話し合いを行うことは避けましょう。
孤独死が発見された場合は警察の鑑識や救急がきたりなどして、多かれ少なかれ物件周りは物々しい雰囲気となります。
入居者の方は詳細の情報を知らせてもらえてはいないでしょうから、何か事件か?と疑ってしまうことになり、本当なら発見も早く通常の退去と同じ対処で済んだものが、隣室階下の方の退去へと繋がってしまうケースがあります。
ですので、話し合いや相談等は事務所や室内で近隣へと話し声が漏れないように行いましょう。遺族の方と怒鳴りあうなんてのはもってのほかです。
次に遺族の方への暴言はしない。以外と多いのが個人で経営されている大家さん。管理会社の方は言ってみれば大家さんの言葉を伝えるメッセンジャー的な立ち位置にいることも多く、ある意味第三者的な立場から話し合いをしてくれますが、個人で管理しているような大家さんの場合はどうしても自分の財産(建物)に傷を付けられたようなイメージから、遺族に対して感情的になって言葉を発してしまうことがあります。
気持ちはもの凄くわかります。怒りたい気持ちや感情が抑えられないという状況も何度も見てきましたが、それでもぐっとこらえて冷静に話しあいをする必要があります。
それは何故か?一般的な遺族の方でしたら大家さんへ迷惑を掛けてしまっているという気持ちから出来る限りの事をしようと行動されています。
しかし、そういった遺族が苦しい状況で対処している中でさらに追い討ちをかけるかのように大家さんから遺族を責めるような発言があると遺族によっては心が折れてしまうことがあります。
「こんなに頑張って片付けているのに、、、」「私たちだって、家族を失って悲しいのに、、、」「なんでそこまで言われないといけないんだ!」と何度も何度も大家さんから責められたり、電話で苦情を言われたりすると、もうどうでもいいやという気持ちになってしまい最終的には「相続放棄」ということになってしまうわけです。
連帯保証人ではない遺族(相続人)は相続放棄をすることによって故人が負っていた責任や義務から解放されることとなります。
ですので、相続人が相続放棄をしてしまうと、それ以降は相続人の方に対して、部屋の片付けやリフォーム、特殊清掃に掛かった費用などは一切請求できなくなってしまいます。
つまり、全額大家さんが自腹を切らないといけないということですから、大家さんとしてはまさに泣きっ面にハチという状況になりかねません。
これは管理会社の社員の方でも言えることですが、最初から高額な原状回復費用や損害賠償の話しをしてしまうと遺族側としても腰が引けてしまい、そんな高額なお金は払えないということで相続放棄を選択されてしまうケースが非常に多くあります。
まずは部屋の片付けを優先する
上で述べているように相続放棄をされてしまうとそれ以降は相続人に対しての請求は難しく「あんたら家族だろ!家族なら責任を取れ!」と怒鳴ったとしても後の祭りとなってしまいます。
ですので、怒るのはいったん横に置いておき、まずは室内の片付け(遺品整理)を優先しましょう。もし、遺体が腐敗している状態なら特殊清掃も必要となります。家財の撤去や特殊清掃、消臭作業というのは費用的にも高額になりやすく、この部分を遺族が負担するのか、大家側で負担するかでは大きな違いが出てきます。
だからこそ、孤独死現場では冷静に対処をしていき、遺族の心情にも理解を示す態度を取り、可能な限り協力を引き出していく姿勢が大事となります。
一般的な遺族の方でしたら、遺品整理や特殊清掃など室内を綺麗にして返すというのはごくあたり前に考えていらっしゃいますので、大家さんや管理会社側への信頼関係があるのなら問題なく明け渡しまでの手続きはしてくれます。
原状回復の費用や損害に対する請求は部屋の明け渡しが終わった後にするのがタイミング的には良いでしょう。なぜなら、室内に家財が残っている状況では家主側では勝手に荷物を処分することもできませんし、賃貸契約の解除をすることもできないからです。
この点、明け渡しが終わった後なら、その後に原状回復やその他の請求金額で折り合いが付かなかったとしても、家主側としては遺品整理の費用や特殊清掃など、そして契約を解除できないことから来る募集の停止という事態を防ぐことができます。これだけでも、費用的な面や手続き的な面で言えば天と地の差はあるといえるでしょう。
遺族へと請求する金額には必ず説明できる理由を付けた上で請求する
大家側と遺族間での請求金額での揉め事の多くは請求された金額に納得ができないというものです。これは単に金額の高い安いだけの話しではなく、請求されるまでの経緯(大家側のこれまでの対応)と金額の算定基準が不明確なことからきています。
賃貸物件で事故が発生した場合、遺族側としてもある程度の出費は覚悟しています。しかし、大家さんや管理会社の方の対応が杜撰で遺族にとって辛く当たっていたりした場合は大家側への不信感が生まれており、また請求される金額についても見積書をポンッと送られてきただけでは「なんでこんなに掛かるんだ!」ということになりかねません。
これまでの経験上、大家側としてはできるだけ事故の痕跡を消すためにリフォームの範囲を広く設定して、それに掛かる費用を遺族側に請求する傾向にあります。しかし、遺族側としても今回の事故とは関係ない部屋や設備に対してまで交換や張替えといった費用を請求されたら「そんな部分までこちらで負担するの!?」となってしまうわけです。
もちろん過大請求はいけませんが、どうしても行わないと行けない部分や普通に考えれば原状回復の箇所に当たるだろうという部分もあるはずで、そういった箇所で遺族側ともめない為にも請求する金額については、遺族側が納得できる理由をひとつひとつ説明してあげてください。
例えば、真夏の孤独死の現場で良くあるフローリングの張替え工事。見積書では「居室フローリング張替え 一式」となっているとします。大家さん側としては普段どおりの見積もりかもしれませんが、遺族側としては、「何で全面張替えになるんだ!汚れていたのは一部じゃないか!」となる訳です。
もし、この見積書に張替え理由として、「表面上の汚れは○㎡でしたが、体液が基礎部分にまで達しており、基礎部分の工事が必要となることから全面張替えの必要がございます。」という一言と実際に体液が染み付いてしまっている基礎の写真を添付された上で示されたとしたらどうでしょう。
それで金額に折り合いがつくかどうかはわかりませんが、少なくても不当や過大な請求がされているとは感じないはずです。
こういった丁寧な対処をひとつひとつすることで遺族側としても家主側の対応に好感を持ってもらえますので、その後の協議も非常にスムーズに進んでいく結果となるわけです。
被害を受けたのはこちらなのに、なんでそこまでしないといけないんだ!
と思われる大家さんも中にはいっらしゃるとは思います。しかし、だからこそ、冷静に対処することをお勧めします。過去に何度も遺品整理の現場で怒鳴り込んできた大家さんを拝見したことがありますが、必ずしも大家さんが望んだ結果になったとは言えません。
近年の裁判はどちらかというと入居者保護に向いており、自殺ではない自然死と考えられる孤独死ではより大家さんにとっては酷な結果となることも予想されます。
孤独死現場では必ずしも大家さんの主張が全て認められる訳ではなく、請求したら遺族が払ってくれる。仮に支払いを拒んでも裁判をすれば勝てるという風に考えていると思わぬ結果となってしまうこともあります。
ですので、孤独死が起きた際は常に最悪なケースを想定してより被害が少なくなるように対処していきましょうね。
もし対応の仕方に不安がある場合はいつでもご相談に応じておりますし、状況によっては弁護士の先生をご紹介(弁護士紹介制度について)もいたしますので、孤独死の現場に遭遇して困ってしまった場合はご相談くださいね、