名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ

2019.08.28

事故物件で連帯保証人が負担した費用の回収

 おはようございます。名古屋の遺品整理・特殊清掃専門第八行政書士事務所の谷です。8月も終わろうとしており、朝のテレビ番組では、夏休み終了間際には学生の自殺が増加するという内容を放送していました。

このブログでも長期休暇明けは遺品整理業者視点からみても自殺が増加することは何度も書いてきたことではありますが、親御さんにおかれましては、お子様の様子に注意を払ってあげてくださいね。夏休み中は元気だったのに、夏休み終盤になるとだんだんと塞ぎがちになったりしていませんか?

さてさて、学生さんの自殺とは別の話題ですが、同じ事故物件に共通する内容でひとつ書いておきたいと思います。

現在、新規に賃貸借契約を結ぼうとした場合は多くの賃貸借契約で「保証会社」の利用が前提になっているかと思われます。

保証会社は入居者が家賃を延滞したり、夜逃げしてしまったような場合に借主に代わって家賃を大家に支払うという保証を行っているもので、ここ数年で爆発的にその利用率が高まってきている制度です。

これには、単身者の増加や独居の高齢者問題などが背景にあり、これまで一般的だった「連帯保証人」を契約時に見つけることが難しくなってきたことも一因にあげられます。

ただ、今でこそ賃貸契約の8割ほどは家賃の保証会社を利用した契約であると言われていますが、10年位前まではやはり従前の「連帯保証人」を契約時につけるのが主流でありました。

いまでもその当時の契約のまま賃貸契約が続いているケースがほとんどであり、依然として、事故物件における連帯保証人の義務についてのトラブルは頻繁に起きているのが実情です。

こうした問題を受けて来年の4月からは賃貸契約の際に連帯保証人をつける場合は「極度額」を設定して、連帯保証人の方が負担する最大限の額がいくらなのかを予め連帯保証人になる人が認識できるようにしなければならないとする法律が施行されることになります。

反対に言うならば、現行の賃貸契約で連帯保証人になられている方の負担は極端な話し青天井とも言えるもので、借主が家賃の延滞をしている場合は際限なく支払い義務を負うということにもなります。それだけ連帯保証人の方が負う義務というものは重いものというわけですね。

そして、遺品整理の現場で問題になるのが、孤独死や自殺が起きた際の家主側から請求される原状回復や逸失利益の賠償という部分にも、この連帯保証人の義務が掛かってくることになり、特に自殺のようなケースですと高額な賠償義務を連帯保証人の方が負わされてしまうことがあります。

家賃の保証会社を利用している今の賃貸契約ですと、一般的にはご家族などは「緊急連絡先」になっているだけであり、連帯保証人にはなってはいません。

したがって、最悪「相続放棄」をすることで、大家側からの多額の賠償については責任を回避することも可能となります。

ただ、連帯保証人になっているような従前の賃貸契約の場合ですと相続放棄をしたとしても、連帯保証人としての義務は依然として残ってしまうので、大家側からの賠償請求には応じないといけなくなってしまいます。

前置きが長くなってしまいましたが、今回はこの連帯保証人が家主側から請求された賠償を支払った場合、その故人の代わりに支払った賠償額を取り戻すことができないのか?という話しです。

孤独死や自殺といった、一般的に事故物件と呼ばれるような状況になってしまった場合、家主側から請求される原状回復や逸失利益の請求は数百万円に及ぶことも珍しくはありません。

請求された金額が妥当な範囲なのかどうかは今回は置いておくとして、仮に連帯保証人の方が家主側に対して賠償額を支払ったとした場合、この支払った金額をどこかから回収することはできないのか?ということです。

連帯保証人の方は家主側との契約によって「連帯保証人」となっており、これは相続とは関係のない契約によって発生している義務となります。

また、連帯保証人が支払った賠償額等は本来、故人が支払うべき金額であるところ、本人は死亡してしまっているので、連帯保証人が仕方なく立て替えて支払っていることになります。

つまり、連帯保証人が支払った金額というのは、本来故人が支払うべき債務であるのですから、代わりに立て替えたなら後から回収することができて然るべきものです。法律用語では「求償権」と呼ばれるものです。

ただ、連帯保証人の方には求償権があるといっても、本人は既に死亡してしまっているのだから回収のしようがないじゃないか、ということになってここで回収を諦めてしまうことがほとんどです。

でも、本当に回収できないの?と聞かれると、手段がない訳ではありません。相続の基本的な考えとして、相続人はプラスの財産もマイナス財産も承継するということになります。(限定承認の話しはここでは省きます)

何が言いたいかというと、故人が支払うべきだった家主側からの賠償請求の支払い義務も相続の対象となっているということです。

ですので、一旦は連帯保証人の方が賠償金を支払ったとしても、故人の相続人にその立て替えて支払った金額を請求して取り戻すこと(求償)は理屈上は可能となる訳です。

ただ、多くの場合はここで相続人である故人の家族が「相続放棄」をしてしまい、故人の権利義務を一切承継しないとなってしまうので、連帯保証人としても相続放棄をした方へは請求をすることは出来ないので、ここで諦めざる負えなくなってしまうということです。

では、相続人が相続放棄をしてしまったら、もう求償する手立てはないのでしょうか?連帯保証人になってしまったがために数百万円もの金額を自腹で支払って、何も取り戻すことができないのか?まだ、諦めるには早いかもしれません。

確かに、相続人は全員相続放棄をしてしまうと、請求する相手が誰もいないことになります。しかし、請求相手というのは作ることが出来ないわけではありません。

それが「相続財産管理人」という、債権者などが家庭裁判所に申請することで選任される、誰も管理することがなくなった故人の財産を管理する人です。

相続財産管理人は本来、相続人が誰もいない状況で、相続財産があり、また故人に対してお金を貸していたなどの債権を有している方などに対応する為に選任される方です。

ですので、お金を貸していたような方は相続財産管理人に対して「お金を返して」と言うことができ、相続財産管理人はそうした請求に対して故人の財産から支払いを行ってくれる役職となります。

もちろん、相続財産管理人の方が選任されたとしても支払い等を行う原資は故人の財産であり、全ての債権者に全額返金するには足りないことも当然に予想される訳で、そうした場合は法律の規定に従って分配されるのですが、細かい制度はいったん横に置き、相続財産管理人に対する請求ができるという部分、ここがポイントです。

連帯保証人の方が支払った大家側からの賠償金も、本来は故人が支払うべきものであるのですから、相続財産管理人に対して請求できる債権と考えられます。

例えば、弟さんが賃貸契約を結ぶ際にお兄さんが連帯保証人になったとします。後日、弟さんが室内で孤独死したとすると、家主側としては家族でもあり、連帯保証人でもあるお兄さんへと賠償請求をしてきます。

遺品整理の現場では良くある話しではあります。お兄さんとしては相続放棄をしたとしても連帯保証人としての義務は残りますので、結果として賠償請求に応じて支払いをすることになります。

ただ、弟さんにはいくらか預貯金があったとしたらどうでしょうか?賠償請求を支払っても余りある多額の預貯金なら、普通に相続して、その中から支払いを行えばいいですが、長年、疎遠だったような場合は借金の有無が分からないし、また借金がなくても弟さんが誰かの事業の保証人になっていたような場合は何十年後かに、その保証債務にしたがって請求されることもあるかもしれません。

ですので、念のために相続放棄をして、これ以上の負債を抱えることは避けたいと考えますが、相続放棄をしてしまうと、預貯金債権も相続できなくなりますので、家主側からの賠償は全て自腹で支払わないといけなくなってしまう。

こうした場合に、「相続財産管理人」がいた場合はどうなるか?というと、相続財産管理人は相続財産を誰も管理する人がいないから選任されるわけですから、この時点でお兄さんは相続放棄をしていることとなります。

お兄さんは相続放棄をしていますので、弟さんの預貯金を使用することはできませんが、相続財産管理人に対しては、本来、弟さんが支払うべき賠償金を代わりに支払っているので求償権を行使して相続財産管理人に対して、立て替えて支払った分を返せとは言えるわけです。

こうすれば、相続放棄をして不測の負債を背負わずにかつ、連帯保証人として支払った賠償金などを回収することができるというわけです。

ただ、文章で書くと以外と簡単そうに思えますが、相続財産管理人を選任してもらう上で「予納金」を収めないといけなかったり、解決までの期間が1年近くになることや、故人の財産状況によっては、予納金を支払うだけ余計に赤字になってしまうなども考えられます。

特に賃貸物件での孤独死や自殺といったケースでは故人が多額の財産を持っていることは稀で、どちらかというと借金を抱えていることも多いのですので、上記の方法が使用できるケースは少ないかもしれません。

賃貸物件での事故に関する対応についてはお近くの弁護士や司法書士、または事故物件に詳しい専門家に相談してみてくださいね。

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