寄与分に関する疑問

寄与分ってどんな制度?

兄が「寄与分」を主張して相続財産の増額を要求しています。寄与分ってなんでしょう?

寄与分とは相続人の中で故人の仕事を手伝ったり、故人の療養看護に努めたりして故人の財産の維持や増加に関して特別に貢献した者がいる場合に、その維持や増加の分をその相続人がなした寄与として認めて、相続の際に法定相続分にその寄与した分をプラスすることによって他の共同相続人との不公平を解消しようとする民法の規定です。

寄与分は誰が行っても認められるのですか?

寄与分を主張することができるのは相続人だけです。したがって内縁の妻や事実上の養子のような方は寄与分を主張する事はできません。

しかし、相続人が直接行動するような場合に限らず、相続人の配偶者のように親密な関係なものが行うことによって、相続人の補助や指示の下で行ったのと同一視できるため、実際には配偶者が行っていたとしても相続人が行ったものとして寄与分が認められる可能性はあります。

寄与分が考慮される「特別な寄与」とはどの程度の行為をいうのでしょうか?

寄与分が認められるには特別な寄与が必要であるとされています。これは、夫婦間や親族間で法律上当然に求められる義務を果たすだけでは足らず、それ以上の貢献が要求されるということです。

ですので、妻が家事に従事したり、たまに故人のお見舞いに行った程度では特別の貢献とはなりません。
しかし、妻が家事などの配偶者としての当然の義務を超えて、無給で農作業に従事したり、本来なら人を雇って介護する所を妻が代わって介護に専念するなどして本来出費されるべきものを相続人の貢献によって免れたような場合は特別の寄与として認められる可能性があります。

なお、特別の寄与とされるには故人の財産の維持や増加といった結果が伴うことが必要であり、故人が精神的にどれだけ喜んでいたとしても、財産的な結果が伴わない限り特別な寄与としては認められません。

具体的な寄与分の計算をした場合を教えてください。

では、具体的な寄与分の計算はどうなるのでしょうか。下の図をご覧ください。
   
この図を例に説明すると。
故人はAで相続人は配偶者のBとその子供3人(長男C、長女D、次男E)となります。
長男CはAの事業を手伝い事業拡大に貢献したとします。
この場合にもし、長男(C)の寄与分を考えずに、法定相続分で遺産分割したとすると、
遺産合計 6,000万
妻(B) 相続分1/2=3,000万
長男(C)相続分1/6=1,000万
長女(D)相続分1/6=1,000万
次男(E)相続分1/6=1,000万
となります。

しかし、長男(C)がAの事業を手伝ったからこそ、「農場」という財産が発生したとすると、それは長男(C)の特別の寄与とも考えられます。
この場合、長男(C)の特別の寄与として農場3,000万が認められたとすると相続分は次のようになります。

遺産総額6,000万  -(寄与分3,000万)=3,000万
妻(B) 相続分1/2=1,500万
長男(C)相続分1/6=500万+(寄与分3,000万)=3,500万
長女(D)相続分1/6=500万
次男(E)相続分1/6=500万
となります。

寄与分は誰が決めるんでしょうか?

寄与分の額については原則相続人間での話し合いで決めることになります。相続人間での協議で寄与分の額が決められないような場合は家庭裁判所に寄与分を定める調停や審判を申し立てて決められることになります。

特別寄与料の新設  (平成31年7月1日~)※年号は暫定

平成30年の民法改正により、新たに「特別寄与料の請求権」が創設されました。特別寄与料の請求権は上記の寄与分とは別の制度であり、相続人以外の方の貢献について公平を保つ為に新設された制度となります。

詳しくは「特別寄与料の請求って何?」をご確認ください。

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