相続した家を借り上げてくれる「マイホーム借り上げ制度」
相続した親の家を賢く活用する!
空き家を放置するのは危険!?
相続したご自宅を遺品整理もしないまま放置していたりしませんか?ここ数年空き家は増加し続けており、今では7軒に1軒は空き家とも言われています。
両親から相続したけれども、思い出もあるし、なにより片付けるだけの気力も体力もなくとりあえず「現状維持」を続けている。そんなご家庭が増えてきています。
しかし、相続したご自宅を長年空き家のままにしておくのは非常にリスクが高いということを知りましょう。
空き家にはこんな問題が発生します。
◆誰も住まないことで家屋の劣化が進み倒壊や崩壊の危険性
◆植木や植栽が伸びる事による隣家への迷惑や害虫の温床となってしまう危険性
◆乾燥した時期の火災や放火による危険性
◆浮浪者が勝手に住みついてしまう危険性
◆ゴミの不法投棄場所になってしまう危険性
特に家屋の倒壊や火災などで近隣へと被害が及んでしまったような場合は損害賠償も多額な物となってしまう可能性があります。
住んでいないのだから、そんな事になっているなんて知らなかったという訳にはいきませんので、空き家は適切な管理を行う必要があります。
家が建っているのに固定資産税が6倍!?
では、何故空き家が増加してしまったのでしょうか?それはたとえ空き家であったとしても家屋が建っていることで固定資産税の軽減措置が受けられたからです。
家屋があることによる固定資産税の税率は更地の場合と比べては6分の1と非常に優遇されています。
ですので、相続して誰も住む予定もないけれども税金が安くなるなら解体せずにそのままにしておこうという所有者の方が増えてしまったためです。
また、土地価格の下落もあり高い時期に土地を買って家を建てたけれども今の価格では売るに売れないといったそんな背景もあることでしょう。
ですが、今後は空き家のままでは税の優遇が受けられなくなる可能性が出て来たことをご存知でしょうか?
平成27年5月26日に「空き家等対策の推進に関する特別措置法(以下、空家対策特別措置法)」が完全施行されることになります。
内容を簡単に言うなら、危険な空家について行政側の調査をしやすくして所有者に対して撤去を求めたり、家屋の状態によっては固定資産税の優遇を外すことができるようになるというものです。
「空家対策特別措置法」では適切な管理の行われていない地域住民に影響を与える建物を「特定空家等」と判断するとしています。
(特定空家等の例)
◆倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
◆著しく衛生上有害となるおそれのある状態
◆適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
◆その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
上記のような空家を所持しており「特定空家等」であると判断されると、今後は固定資産税の軽減措置が受けられなくなりこれまでの6倍の税金を支払わなくてはならなくなる可能性が出てきました。
マイホーム借り上げ制度とは?
とはいえ、空家をお持ちの方にも様々な事情があります。
◆両親が建てた思い出のある家を解体するのは偲びない。
◆将来的に自分の子供達が住むかもしれないので売却の決断が出来ない。
◆自分達で住むわけではないけれども先祖から受け継いだ土地を売りたくはない。
など、遺品整理のお手伝いをしていると様々なご事情で相続した土地家屋の扱いに困っているご家族に出会います。
そんな時に活用できるのが「マイホーム借上げ制度」です。
マイホーム借り上げ制度は一般社団法人移住・住みかえ支援機構が運営しているもので、地域によっては市町村長と連携して空家の有効活用を促しています。(名古屋市の場合)
詳しくは上記の名古屋市の一例や「JTIマイホーム借り上げ制度」のホームページをご確認ください。
この制度には年齢制限(50歳以上のシニアであること)や一定の耐震性能があるなどの条件はありますが、遺品整理を行う事の多い主な年代である50代~60代の方にとっては一考の余地のある制度だと思います。
制度の目的として、空家となった住宅を若い子育て世代に安く貸し出すことによって空家を有効に活用していくという目的がありますので、一般的な賃貸として貸し出す場合と比べて賃料は安くなります。
その代わり、一般の賃貸で問題となる入居者の募集や交渉、建物の修繕や退去に関する問題に悩まされる事がなく、また自分達のライフスタイルの変化に合わせて貸し出しを止めて自分達で利用することもしやすくなります。
さらに、借り上げ制度のため、一度入居者が決まればその後は空室となっても最低の賃料は保証されることとなりますので、税金の支払いや老後の資金としても安定したものとなります。
ですので、
◆すぐには解体や売却の決断ができそうにない方
◆誰かに住んでもらった方が家も傷まないで済むとお考えの方
◆子供達が結婚して住むようになるまでの間だけ誰かに貸したいとお考えの方
自宅を相続したけれでもこういった事で悩んでいる方々には向いている制度なのではないでしょうか。よろしければご参考にしてください。