名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ

2015.01.06

相続放棄と形見分け

おはようございます。名古屋市の遺品整理・特殊清掃専門第八行政書士事務所の谷です。

正月休みも終わり仕事を開始しなければいけないけれどもなかなかお正月モードから抜けられないなんて方もいるかもしれませんね。2015年は始まっています!気合を入れ直して頑張っていきましょう

さて、そんな中第八行政書士事務所では年末年始も通常通り電話相談業務を受け付けていましたが、その中にこんなご相談がありました。「母親が亡くなり形見分けで嫁入り道具の和タンスを引き受けたが、相続放棄が無効になってしまうかどうか」というものです。

遺品整理の現場では形見分けとして故人の思い出の品や長年使っていた家具や食器などをご親族やご友人の方々が持って帰られることが良くあります。私達の立場からしても使える物は有効に利用して頂いた方がいいと思っていますので相続関係で問題がなければドンドン持っていってもらっています。整理する荷物が少なければ地球にもお財布にも優しいですからね。

ただ、上記の質問をされた方のように、形見分けとして故人の財産を受けと取るのに注意が必要な方々います。例えば、故人が借金を抱えていて相続人は相続放棄を考えているような方々です。

過去にも何度か書いていますが、相続放棄を検討されている方が遺品整理を行う際には十分ご注意ください。何も考えずにリサイクルショップに売れそうな物を売却したり、故人が他人に貸していたお金を取り立てたりするなどすると「単純承認」したものとして相続をしたものとみなされる場合があります。

相続放棄と遺品整理を考える中で難しい所でもありますが、相続放棄をするならば遺品整理をしてはいけないというわけではありません。一般的に経済的価値があるものを処分した場合に単純承認したものとみなされる可能性があるというだけですから、明らかに財産的価値の無いものを処分したからといってこれにあたるわけではありません。

ですので、ごく一般的なご家庭でとりたてて高価な物があるわけではないのでしたら、普通に遺品整理をして家財を処分してしまったとしても相続放棄に影響は無い場合が多いとは思われますが、ただ、争いになった場合に最終的に裁判所がどのように判断するかはわかりませんので、相続放棄をする際の遺品整理は十分に注意が必要とされるわけです。

では、形見分けはどのようになるのでしょうか。日本の風習として故人の思い出の品を受け取る形見分けは深く根付いていますので、相続放棄を考えていたとしても知らず知らず形見分けとして引き取っているようなケースはたくさんあると思います。

形見分けの場合も相続放棄と同じように考えて、故人が使っていた高価でない衣類や食器、家族の写真などを引き取る行為は問題ないと思われます。注意が必要なのは形見分けとして引き取った物に高価な物が含まれる場合です。例えば、長年使っていた安物の腕時計なら形見分けとして引き取っても問題はないけれども、何百万もするブランド品の時計を形見分けとして引き取ると相続放棄に影響がでるかもしれないといった感じです。


また、いくら形見分けとは言え故人が使っていた衣類や家財など全てを持って帰るような、客観的に見て形見分けから外れるような行為は法定単純承認に該当するとされる場合がありますのでご注意ください。


先日のご相談では、既に遺品整理も形見分けも終わっていた状態でした。相続放棄する場合に一番安全なのは相続放棄したら故人の財産には一切触れないというものですが、なかなかそうはいかないのが現実です。

もし、どうしても形見分けとして引き受けたい物があるけれども財産的価値があるかもしれず、借金は負いたくないというような状況でしたら、限定承認をしておくのが良いかもしれません。(限定承認したからといって、相続人が自由に財産を処分できるようになるわけではありません。)

限定承認は相続開始から3ヶ月以内に相続人全員で行わなければならないなど手続きが面倒なところがありますが、プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いのか分らないような時に有効な手続きとなります。

もし、マイナスの財産の方が大きかったと分った場合でも、相続を単純承認した場合のように故人の負債を相続人が自分の財産から支払う必要はなく、あくまで支払いの財源は故人が有していた財産が元となりますので思わぬ借金を背負い込むといった事態を防ぐことができます。

どちらにしても相続放棄をする際の遺品整理は十分に注意が必要となります。もし相続放棄をする場合で形見分けで何か引き取るような場合は財産的価値の高いものかどうかは良く確認してから引き受けるようにしましょうね。

名古屋の遺品整理・特殊清掃専門 第八行政書士事務所 代表 谷 茂

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