名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ

2015.01.12

遺品整理後に借金があることに気づいたら

おはようございます。名古屋市の遺品整理・特殊清掃専門第八行政書士事務所の谷です。

名古屋は連日良い天気が続いており、本日の
成人の日も天気の心配はなさそうですね。成人の日の天気は悪いといったイメージがありますが今年は良い天気に恵まれそうで新成人の方の笑顔がテレビで見れるのが楽しみです。

さてさて話しは変わって、先日の現場作業中に掛かってきた電話相談のお話し。相談内容としては「半年ほど前に父が亡くなり遺品整理は既に終えているのだけれども、この間父が住んでいたご近所の方から父は結構な額の借金を持っていたようだとの話しを聞きました。この場合は相続放棄ってできるのでしょうか?」

遺品整理を行っていると良く聞く事例でもあります。借金の存在が始めから分っていれば迷わず相続放棄をされていたと思いますが、疎遠だった家族の相続の場合だったりすると、遺品整理をして初めて気づいたや遺品整理が終わってからご近所に聞いた、または数ヶ月経ってから金融機関などから督促状が届いたなどといった事も珍しくはありません。

ご存知の方も多いと思われますが、相続放棄をするかどうかを考える時間の熟慮期間は3ヶ月です。一般的な感覚で言うなら相続放棄をするなら故人の葬儀をあげてから3ヶ月以内に手続きを取る必要があるということですね。

ただ、この一般的な感覚が広まっている為に、故人が亡くなってから3ヶ月過ぎてしまったら相続放棄は出来ないと思い込んでしまっている方も多くいらっしゃいます。ですので、上記のご相談のように故人が亡くなって半年も過ぎてから借金があることに気づいてしまうと債権者に言われるがままにお金を支払ってしまい多額の負債に苦しむといったことが起きてしまいます。

確かに相続放棄の熟慮期間は3ヶ月と民法には規定されていますが、実際の運用はもう少し柔軟な対応が取られています。過去の判例でも熟慮期間については「相続放棄の熟慮期間は相続人が相続財産の全部または一部の存在を認識した時、または通常これを認識しうるべき時から起算すべきものである」(最高裁昭和59年4月27日判決一部抜粋)としています。

この判決は熟慮期間の起算点は後ろに繰り延べられる場合があると示しているものです。簡単に言うなら、たとえ故人の死亡を知ってから3ヶ月以上経過していたとしても、借金が後から判明したなら、借金に気づいてから3ヶ月以内なら相続放棄が認められる場合があるということです。

ただし、3ヶ月以上経過した後でも相続放棄が認められる場合があると言ってもなんでもかんでも認められるわけではありません。相続人にとって借金の存在を知らなかったことに相当な理由がなければなりません。

ですので、故人が亡くなってからすぐの遺品整理の際にポストに督促状が入っていたり、ご近所の方から借金の話しを事前に聞いていたりしたら、熟慮期間経過後の相続放棄は認められないでしょう。

反対に、遠い親戚の遺品整理を仕方なくやっているような状況で何年も親交が途絶えていたような場合や別居して何十年も経った配偶者の遺品整理を行っていたなど、借金の存在を知らなくてもしょうがないと考えられるような状況なら熟慮期間経過後でも相続放棄は認められる場合があります。

ですので、故人の相続が開始してから3ヶ月経過してから借金に気づいたような場合でも諦めずに相続放棄の手続きを取りましょう。但し、相続放棄の申述は一発勝負と思ってください。原則相続放棄の申述が却下されてしまうと再度相続放棄をするといったことはできません。

とりあえず、自分で手続きをしてみてダメだったら専門家に聞いて手続きをすればいいかというのは危険です。熟慮期間経過後の相続放棄の場合は裁判所に熟慮期間経過後の相続放棄を認めてもらうだけの「特別な事情」を説明する必要があります。

裁判所に対して、そんな事情があるなら借金の存在を知らなくても仕方ありませんねと思ってもらえるような、上申書や説明資料を提出する必要がありますので、熟慮期間経過後の相続放棄を考えている場合は相続放棄に強い司法書士または弁護士の先生にまず相談しましょうね。

名古屋の遺品整理・特殊清掃専門 第八行政書士事務所 代表 谷 茂

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