名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ

2015.03.09

遺品整理業者の責任は重大です。

 おはようございます。名古屋市の遺品整理・特殊清掃専門第八行政書士事務所の谷です。

さて、先日の電話相談で賃貸物件で自殺をされたご家族の方からのご相談を受けました。相談内容としてそんな状況に遭遇した場合、誰もが陥ってしまいそうな状況でしたので参考までにご紹介いたします。(一部内容は変更してある部分がございます。)

そのご相談は北海道にお住まいの方からのご相談で当事務所のホームページを見てのご連絡でした。なんでも、賃貸物件でひとり暮らしをしていたお姉さまが自殺をされてしまい不動産会社より未納家賃や原状回復費用、その他自殺に伴う損害賠償を請求されているとのことです。

相談の内容としては、相続放棄をした場合これらの費用の支払い義務を免れることが出来るのか?というものでした。

詳しい状況を確認する前に相続人となられる方とお姉さまがお部屋を借りる際に連帯保証人になられた方がいるかどうかを確認した所、相続人はお父様とご姉妹がいるそうで、連帯保証人にはなっていないとのことでした。

賃貸契約の際に連帯保証人になっていないのなら、相続放棄をすれば問題ない状況かと思ったのですが、詳細を確認していく内にかなり危険な状況になっているように思えてきました。

まず、お姉さまが自殺されてしまった後、ご家族が混乱している中、不動産会社さんが弁護士を通して、未納家賃を支払うように伝えてきたそうで、ご家族はそれをすぐに支払ってしまったそうです。

また、不動産会社より、部屋の片付けをすぐするように言われて、これも業者を手配して遺品整理を行ってしまった後らしく、既にお部屋は片付いてしまった後だそうです。

このブログでも何度も紹介していますが、相続放棄をされる方が遺品整理を行う際はかなり注意深く行う必要があります。

ご相談者の方に「整理した遺品の中に何か市場価値のあるようなものはありませんでしたか?」と聞くと「家電製品と小物類を10万円程で業者に買い取ってもらいました」とのこと。

また、家賃の支払い財源を確認したところお姉さまの口座にあったお金を使用して支払い、残りのお金で葬儀の手配もされたそうです。

相続人が故人の財産を処分したような場合は法定単純承認事由に該当する可能性があり、法定単純承認となってしまうと相続放棄は出来なくなります。

葬儀の費用は問題ないでしょうが、未納家賃を支払う行為や故人の持ち物を売却してしまう行為はそれに該当してしまう可能性があるといえるでしょう。

今回のような自殺の事案の場合は遺品整理業者も状況を分っているはずですから、相続放棄をする際に遺品整理を行う危険性を指摘してあげるべきだったと言えるでしょう。

そうすれば見積もりの段階でご家族も相続放棄の手続きを確認する機会も出来たでしょうし、間違っても遺品の一部を売却なんてことはしなかったはずです。

その点を指摘せずに遺品整理を受け、家電類を買取していったというところからしても不親切な業者であったといわざる終えません。しかし、問題は不親切でサービスが悪かったという話しでは済まないところまできています。

相談者の方は現在不動産会社より、原状回復費用と自殺に伴う家賃保証で5年間分の家賃を請求されているそうです。

具合的な家賃の額は聞いてはいませんが仮にワンルームで5万円の家賃だったとしても5年間で300万となりますし、これに原状回復費用も含めるとさらに高額な金額となってしまいます。(裁判となった場合に5年間の家賃保証が認められるかどうかは裁判所の判断になりますが)

もし、遺品整理の段階で遺品整理業者が相続放棄の際の遺品整理の注意点を指摘してあげていたらご家族にはより多くの選択肢が残されていたかもしれません。そう考えるなら遺品整理業者の責任は非常に重大ですよね。

これに加えて、邪推かもしれませんが不動産会社が初期の段階で弁護士を通して連絡をして、急かすように未納家賃の支払いや遺品整理を行わせている点を考えると相続人が相続放棄を出来ないように、または相続放棄をしても相続放棄の無効を主張できる状況を作り上げていったのではないかとも思えます。

今回のご相談者の場合はお姉さまが亡くなった時点で専門家に相談をしていればかなりの確率で相続放棄が認められていた可能性が高い状況です。

ただ、一般の方からしてみれば自殺という特殊な状況下で不動産会社には迷惑をかけているという負い目がある中で弁護士の先生が出てきてしまっては混乱するなというのは酷なことと言えます。

そういった混乱しているご家族を助ける意味でもきちんとした知識を有している遺品整理業者が適切なアドバイスをしてあげることがとても重要になってきまよね。

今回のご相談者の方は自分達でなんとかしようと考えていらっしゃいましたが既に相手側に弁護士の先生がついていることからも、個人の手には余ると判断して相続放棄の詳しい弁護士か司法書士の先生に相談することをお勧め致しました。

こんな事案は無いにこしたことはありませんが、もし万が一ご自身や周りで似たような状況に遭遇したなら慌てずに対応できるようにしておきましょうね。

名古屋の遺品整理・特殊清掃専門 第八行政書士事務所 代表 谷 茂

第八行政書士事務所は名古屋を中心に愛知・岐阜・三重での遺品整理・特殊清掃のご依頼を承っております。

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