名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ

2015.03.11

「あなたに迷惑はかけないから!」は嘘!?

 おはようございます。名古屋市の遺品整理・特殊清掃専門第八行政書士事務所の谷です。

東日本大震災からもう4年になりますね。震災で亡くなられた皆様のご冥福をお祈り致します。

さて、遺品整理の際には色々な相続の場面に遭遇しますが、中にはこんな状況の場合があります。

故人には土地や預貯金があるが自分は既に他家に嫁いでいたり、故人とは疎遠であったりなどの理由から土地や預貯金などの財産があっても自分はいらないと思われている方がいます。

私達のような遺品整理業者に持ち込まれる案件で多いのが孤独死や自殺で亡くなった場合や別居中の配偶者が亡くなったような場合が多いですが、財産があってもそれを相続することによって他の相続人と話し合いをしたりする手間を嫌って相続放棄をなされる方は以外と多いものです。

上記のような場合に家庭裁判所で相続放棄の手続きをされているなら問題ないのですが、中には遺産分割協議で相続分は受取らない事に署名捺印をしている場合がありますよね。

「あなたには絶対に迷惑をけないし、借金もこちらで全て支払うので遺産分割協議書にサインしてくれ!」などのセリフは何処かで聞かれたこともあるのではないでしょうか。

もともと財産はいらないと考えているような方ですと快諾して署名捺印してしまいそうな状況ですが、これにはちょっと注意が必要です。

そもそも遺産分割協議書に署名捺印するという行為は相続することを一度は認めて、相続した財産の分配を他の相続人と協議するというものです。つまり、いくら遺産分割協議書に相続する財産は無いと書かれていたとしても、それは相続放棄とは別物だということです。

では相続放棄と違うとなると実際問題として何か問題があるのか?という話になります。まず、故人が負債(借金)を負っていたような場合は債権者から法定相続分の請求を受ける可能性があります。

遺産分割協議は相続人間で行われるものであり、債権者がその協議に参加していなくても遺産分割協議は成立します。

そんな状況で遺産分割協議書に負債は誰それが支払うと書かれていたとしても、その記載されている人物に支払い能力なければ債権者としては大きな損となってしまいます。

ですので、いくら「あなたには迷惑をかけないから!」と言われたとしても、故人に借金があるような場合ですと家庭裁判所で相続放棄の手続きをしていない限り、債権者から請求される可能性は依然として残っているということに注意が必要です。

また、孤独死や自殺などを原因とした遺品整理の際に相続放棄を考えているような方も遺産分割協議書へ署名捺印するのは避けましょう。前述のように遺産分割協議書へ署名捺印する行為は相続財産の処分行為に該当すると考えられており、相続の法定単純承認事由に該当すると考えられています。

つまり、相続放棄をしようと考えていたのに遺産分割協議書に署名捺印をしてしまったが故に相続放棄ができなくなってしまったという結果になる可能性があるということです。(状況によっては遺産分割協議終了後でも法定単純承認には当たらないとされる場合はあります)

遺品整理の現場を例に上げるなら、故人が賃貸物件で孤独死や自殺などをしたような場合で、自分は財産はいらないから遺品整理や家主との交渉は財産を承継した者が行うといった話し合いが済んでいたとしても、それは債権者たる家主には関係なく、何も財産をもらっていなくても、原状回復費や損害賠償の費用を請求されてしまう可能性があるということです。

相続放棄は家庭裁判所での手続きが必要で面倒だと思われるかもしれませんが、故人の資産状況を確認して借金が多いようなら確実な方法を取っておくほうが後々の手間がなくて良いかもしれませんね。

名古屋の遺品整理・特殊清掃専門 第八行政書士事務所 代表 谷 茂

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