名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ

2015.08.07

真夏の孤独死でも良く考えると普通の退去になる

おはようございます。名古屋の遺品整理・特殊清掃専門第八行政書士事務所の谷です。

暑い、暑すぎる！毎年思っているのかもしれませんが今年は去年より暑くない？ってことです。

暑い寒いがあるからこそ春と秋とを含めた日本の四季を楽しめるとはいえものには限度ってものが、、、、

皆さん熱中症には注意してくださいね。適切な食事と睡眠そして小まめは水分補給と暑いと思ったらエアコンも使ってくださいね！

さて、ここ数日で受けた電話相談のお話し。故人のご友人という方からのご相談。故人のご家族は相続放棄されているそうですが、ご友人の方は連帯保証人になられているとのことで家主からの損害賠償を心配されてのご相談です。

お話しを聞いてみると賃貸物件での孤独死らしくご遺体は警察が搬送していったそうです。「真夏の孤独死」この単語を聞くと職業上過去の凄惨な現場がフラッシュバックしてきて相談も慎重になるのですが、よくよく聞いてみると孤独死とは言っても死後１日で発見されたそうです。

孤独死？？じゃないですよね。孤独死や孤立死の統一的な定義はないですのでなんとも言えませんが、少なくても死後１日での発見は孤独死には該当はしないでしょう。

同居の家族でも旅行のタイミングなどで場合によっては死後３日～５日発見が遅れることだってあるのですから、ひとり暮らしの方が死後１日で見つかったのなら孤独死でもなんでもありません。普通の病死（自然死）だと考えられます。

そうであるならご相談者が心配されているような家主側からの損害賠償というものを心配する必要はありません。そもそも孤独死と言われる状況であっても孤独死された方には自殺の場合と異なり室内の損傷について故意や過失がないですので原則損害賠償は発生しないと考えられています。

この点は過去に賃貸物件での自然死が債務不履行や不法行為であるかどうかが争われた事例においても裁判所は、「借家であっても人間の生活の本拠である以上、老衰や病気等による自然死は当然に予想されるところであり、借家での自然死につき当然に賃借人に債務不履行責任や不法行為責任を問うことはできない。そして死亡後４日後の発見が賃借人の債務不履行等であるとは認められないことから、賃貸人の請求を棄却する。」と判示して、賃貸人からの損害賠償請求を棄却しています。（平成１９年３月９日東京地裁）

となると、ご相談者の連帯保証人であるご友人の方が心配するのは「原状回復費用」だけとなります。未納の家賃等はないそうでしたので。

真夏の孤独死の場合は腐敗や死臭の関係もあって、原状回復費用をどのように考えるかが問題になりますが、今回は腐敗も臭いも全くありませんのでこの点も問題になりません。

結果、賃借人の方は亡くなられてしまってはいますが、通常の退去と変わるところはなく、原状回復についても国土交通省のガイドラインに沿って清算を進めていくことになります。つまり、ごくごく普通の退去ということですね。

「真夏の孤独死」という言葉だけで、損害賠償！？高額な原状回復！？と心配になることもありますが、良く考えてみれば普通の退去と変わらなかったということもあります。

家主側の中には孤独死と自殺を一緒くたに考えて損害賠償を請求してくる場合もありますので、困ったらご相談くださいね。