名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ
2015.08.11
孤独死現場の原状回復費は誰が負担する?
おはようございます。名古屋の遺品整理・特殊清掃専門第八行政書士事務所の谷です。
暑いですね!事務所の近くを歩いていると公園で盆踊りの準備進んでいるのを見かけました。子供の頃は盆踊りは夜遊びできる格好の口実でしたが、大人になるとはビールを飲む口実になりますねお祭りとはいえ飲みすぎには注意しましょう!
さて、話しは変わって。孤独死と原状回復のお話しを。この季節各地で熱中症で亡くなられて方の発見が遅れて孤独死問題に発展することがあります。
特に賃貸物件では損害賠償や原状回復、隣室や階下への賠償など遺体の腐乱状況によっては家主側と訴訟にまで発展してしまうこともあります。
そこでよく電話相談で聞かれる家主側からの「損害賠償」と「原状回復」について。損害賠償と良く聞きますが多くの人は損害賠償と原状回復を一緒くたに考えてしまっているところがありますので、まずは別個のものとお考えください。
賃貸物件で起きた自殺などの場合は、自殺したこと自体に入居者の故意や過失が認められることから、その自殺を原因としたクロスの汚れやフローリングの染みなどの汚れについても損害賠償の範囲に含まれると考えられますので一緒くたに考えても大きな違いはありません。
しかし、孤独死の場合は死亡した入居者に故意や過失が認められないので、家主側から故人の遺族や連帯保証人に対する損害賠償請求権が発生しないと考えられています。
つまり、孤独死の場合は相続人や連帯保証人には家主側から損害賠償を請求することは出来ないということです。この点で既に自殺の場合と対処が大きくことなるところではあります。
では、孤独死の場合に問題となるのは原状回復だけか?というとそこもちょっと難しい問題があります。毎年3月頃に賃貸物件の退去費用について話題になると出てくる「国土交通省のガイドライン(以下、ガイドライン)」ガイドラインには原状回復について次のように定義されています。
原状回復とは
賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意や過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること。と定義されています。
もともとは経年劣化の部分は家主が負担するべき範囲ということを示した内容なのですが、ここにも賃借人の故意や過失がその要件として定められています。
つまりどういうことかと言うと、前述のように故意や過失の存在しない孤独死のような場合は原状回復義務も発生しないと考えられるわけです。これは例え遺体の発見が遅れて遺体が腐乱してしまい臭いや体液によって実際にはクロスやフローリングに損傷が出ていたとしても、その修繕義務は家主側にあるという考えに繋がります。
ただ、そんな結論は納得できない!損害賠償は請求できなくても原状回復については遺族や連帯保証人にも請求できるはずだ!家主側としては当然そのように考えると思われます。
正直なところこの点はまだ明確な判例が確認できないので今後の判例待ちという部分でもあるのですが、下の参照サイトのように弁護士の先生の間でも意見が別れるような難しい問題でもあります。
孤独死の場合の原状回復も家主側の負担とする意見
「賃貸経営の法律Q&A」弁護士 大谷郁夫先生
(三井住友トラスト不動産のホームページより)
孤独死の場合の原状回復費は相続人や連帯保証人に請求できるとする意見
「孤独死居住者の部屋の清掃代金 大家は遺族に請求できるか」弁護士 竹下正己先生(NEWSポストセブンのページより)
一概に白黒とはっきり判断できる部分ではありませんが、自殺の場合と比較してや過去の判例やガイドラインの考えなどから家主側からの請求が過大なものかどうかなどは判断できる部分もございますので、悩んだらご相談くださいね。
賃貸物件での自殺や孤独死については下記のサイトに一通りまとめてありますので、よければご参考ください。
◆自死・孤立死賃貸物件判例集
◆賃貸物件で孤独死・自殺をされた方のご遺族や連帯保証人が取るべき方法
賃貸物件で自殺や孤独死が起きた場合の対処についてまとめた資料が欲しいという方には次のサイトで販売もしています。
◆自殺や孤独死が起きた際の対処法
名古屋の遺品整理・特殊清掃専門 第八行政書士事務所 代表 谷 茂
第八行政書士事務所は名古屋を中心に愛知・岐阜・三重での遺品整理・特殊清掃のご依頼を承っております。
その他の地域にお住まいの方でも遺品整理や相続相談・賃貸トラブルなどのご相談は随時お受け致しておりますのでお気軽にご相談くだいさいね。
←ブログの内容が面白ければ1clickして頂けると励みになります!
にほんブログ村