名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ
2015.08.13
ゴミ屋敷現場での孤独死の場合の原状回復
おはようございます。名古屋の遺品整理・特殊清掃専門第八行政書士事務所の谷です。
今日からお盆期間ですが、早い会社ですと既にお盆休みを開始しているところもあるのですかね?第八事務所は年中無休で遺品整理や生前整理を行っていますので、お盆休み期間中に整理をしたいとお考えの方はお気軽にお電話ください。
さてさて、先日こんな電話相談がありました。例によって夏場の孤独死のご相談です。なんでも賃貸物件にお住まいのご兄弟が孤独死されたそうで、不動産会社の方から連絡をもらって現地に行ってみるとそこはゴミの山。いわゆるゴミ屋敷化したお部屋で故人は長年生活されていたようでご兄弟の方も現地をみて唖然とされたそうです。
ご相談者の方は相続人であり、そして賃貸契約の連帯保証人でもあることからこのゴミ屋敷化したお部屋の原状回復義務が故人に代わって出てきます。
そして家主から提示された原状回復の金額が約300万。とても支払うことが出来ないのでなんとかならないかとのご相談でした。
最初、ご相談者の方は「相続放棄」で原状回復義務を免れられないのかとのご相談でしたが、残念ながら連帯保証人となられている以上相続放棄をしたとしてもこのお部屋に関する義務を免れることは出来ません。
次にこの請求されている金額が妥当なのかどうかという話しになりました。請求金額の内訳を確認してみると、「ゴミ処分費」「原状回復工事費」の2点が主なようです。
ここでは連帯保証人としてどこまで原状回復義務を行うかが問題となります。まず最低でも部屋の明渡しが出来る状況にしなくてはいけませんので室内に残った家財とゴミは処分しないといけないのは確実です。ですので、連帯保証人さんがご自身で家財撤去をしないのであれば費用を支払って家主側に処分してもらうしかありません。
ただ、地域や清掃会社によって処分費というのは変わってきますので、必ずしも家主が紹介する会社に依頼する必要はありません。より安く作業を行ってくれる会社を見つけてそこで家財撤去を行えば請求金額を減額できます。
家主側に管理会社が入っている場合などは作業監督などの管理手続き上、処分費用の原価より2~3割りほど費用が上乗せされている場合がありますのでご自身で手配される方が安くなる場合がありますので業者探しはしてみるべきです。
最後に「原状回復工事」についてですが、作業項目を詳しく聞いてみると、死後2週間経過してからの発見で体液がフローリング部分に染み付いているので張替工事が必要と家主側に説明されたそうです。
その他にクロスやクリーニングなどの費用が含まれているかを聞いてみると、そもそも入居期間が15年以上だったらしく、クロスの張替などは全て家主側の負担で行うと説明されたそうです。この辺は国土交通省のガイドラインに沿って運用されている会社のようです。
こういった孤独死などで問題となる賃貸物件のお部屋では孤独死が起きたからという理由でクロスや孤独死とは関係ない部分までの工事についても遺族や連帯保証人に負担してもらおうとする家主の方もいらっしゃいますので注意が必要です。
ただ、今回はあくまで遺体が腐乱したことを原因として張替が必要となった工事代金の請求のようです。では、この張替工事代金は連帯保証人が負担するべきものなのかという問題です。前回のブログを少し思い出してもらいたいのですが、孤独死の場合の原状回復については二つに意見が別れます。
①孤独死には故意も過失もないのだから孤独死の遺体が原因となった室内の汚れについては
家主が負担するという考え。
②孤独死とは言え、遺体が長期放置されたことによる室内の汚れは遺族や連帯保証人がその
負担を負うとする考え。
①の立場に立てば今回の相談案件では連帯保証人の方はフローリングの張替については費用を負担しなくても良くなりますので、まずはこういった考えがあることをご紹介しました。
ただ、今回ちょっと心配なのが①の考え方があったとしても、部屋そのものがゴミ屋敷化しているということです。ゴミ屋敷というのは下の写真のような状況をいいますが、
こんな状況になっているお部屋の床がはたして、遺体の腐乱以外の汚れがないのか?ということです。経験上こういったゴミ屋敷の床部分は多くの場合、飲みこぼしや食べこぼしで汚れており、ゴミに埋もれてしまっていますので当然掃除もされず何年もの間放置されている状況です。
しかも、ゴミの最下部にはたいていの場合布団やカーペットが敷かれたままになっており、湿った布団類が長い年月をかけてフローリングや畳にカビの発生や腐食を発生させます。
そうなると、たとえ孤独死での原因についてはフローリング工事費については負担を負わないということになっても、ゴミ屋敷化したことによってフローリングを腐らせたということになればやはりフローリングの張替工事費を負担しなければならないということになります。
※一般的な清掃もせずに室内にゴミを溜めてその結果生じた損傷は入居者の過失や善管注意義
務違反と考えられます。
では連帯保証人の方としてはどうすればいいのか?という話しになります。まず、上記の①の考えを家主に話してみて費用の減額を請求してみることですが、恐らく家主側としては納得しないでしょう。ですので、後はフローリングの張替費用の負担割合を変えるように交渉することとなります。
ガイドラインの別表2の「床」-「経過年数の考慮等」部分には次のように記載されています。
(フローリング) 経過年数は考慮しない。ただし、フローリング全体にわたっての毀損によりフローリング床全体を張り替えた場合は、当該建物の耐用年数で残存価値1円となるような直線を想定し、負担割合を算定する。
簡単に言えば、孤独死やゴミ屋敷化したことが原因となってフローリングの張り替えが必要となったとしても、建物の築年数によってはそのフローリング工事の代金全額を遺族や連帯保証人が負う必要はなく、フローリングの残存価値の部分だけを負担すればいいですよということです。
このガイドラインに従うのなら、今回のご相談者の場合でも建物の築年数と入居期間を考えれば、提示されたフローリング工事の代金をかなり減額できると考えられます。諦めずに家主側と交渉していきましょう。
名古屋の遺品整理・特殊清掃専門 第八行政書士事務所 代表 谷 茂
第八行政書士事務所は名古屋を中心に愛知・岐阜・三重での遺品整理・特殊清掃のご依頼を承っております。
その他の地域にお住まいの方でも遺品整理や相続相談・賃貸トラブルなどのご相談は随時お受け致しておりますのでお気軽にご相談くだいさいね。
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