名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ
2015.09.10
それはないでしょ大家さん!
おはようございます。名古屋の遺品整理・特殊清掃専門第八行政書士事務所の谷です。
やっと台風が去ってくれましたね。しかし、台風17号の動きによっては貴重な晴れ間になるかもしれませんので溜まった洗濯物は今の内ですよ奥さん!
さてさて、台風が上陸するのか!?と言われていた頃に受けた電話相談のお話し。なんでも年の離れた兄が賃貸物件で孤独死されたとのことで遺体の発見が遅れてしまいかなり腐敗による臭いが出ていたご様子。
隣室から臭いの苦情を受けた大家さんが様子を見に行き発見されたという経緯なのですが、とにかく臭いと虫の被害が酷いようで両隣のお部屋では生活に支障をきたすレベルだったとのことです。
大家さんからはご遺族にすぐに遺品整理や特殊清掃などの対処をしてくれ!と強く言われていたようなのですが、相続人間では相続放棄をする予定でしたのですぐに遺品整理にはとりかかれない旨を大家さんに伝えたそうです。
この時点で最初の相談として、「特殊清掃や汚れた家財の撤去をしても大丈夫なのでしょうか?」というご相談を受けており、清掃や汚れた家財など財産的価値のないと考えられる物の処分だけなら一般的に相続放棄には影響はないと考えられていますよとお答えしていました。
その後、大家さんから何度も「いつやってくれるんだ?」「はやくしてくれ?」「とりあえずこちらで特殊清掃だけ依頼するから許可だけくれ」といった電話が掛かってきたようで、ご相談者は相続放棄をする予定なので費用の支払いは出来ないこと、相続放棄に影響が出るような物は処分できないので清掃と汚れが付着した衣類などを処分するだけなら大家さんの方でしてくれてかまわないと返事をされたそうです。
その後に再度電話相談があり、経過を聞いてみると臭いの苦情などは無くなったようですが大家さんからは依然として早く部屋を片付けてくれと何度も電話が掛かってきているようでどうすればいいのでしょうか?というご相談でした。
なんでも、ご相談者の方は大家さんに対しては相続放棄をする予定であること、部屋の片付けや特殊清掃に掛かった費用などの支払いは出来ないことは再三に渡って伝えていたのですが、大家さんからは「一部とはいえ部屋の清掃に許可を出したのだから、相続放棄なんて許されない!あんたらには片付ける義務が発生している!」と電話越しにではありますが怒鳴られてきたそうです。
そのお話しを聞いていて、大家さんがどうしてもっていうから特殊清掃と臭いの元となっている汚れた物だけは処分しても良いと許可をだしたのに、それを逆手に取ってくるなんて、正直それはないでしょう大家さんという気持ちにはなりました。
恐らく大家さんとしては相続人が故人の財産を処分した場合は相続したものとみなすという「法定単純承認」について主張されているのだと思われますが、これはあくまで財産的価値のある故人の財産を処分した場合に相続したものとみなされるものであって、清掃や汚れた価値のない物を処分しただけではこれには該当しません。
ですので、ご相談者としては粛々と相続放棄の手続きを進められていけば問題ないことをお伝えしておきました。
ご相談者の方は大家さんへの連絡の前に事前にご相談頂けていたのでアドバイスをすることができましたが、自殺や孤独死が起きた場合の多くがご遺族の皆様は慌ててしまい、「すぐに片付けなきゃ!」「ご近所に迷惑が掛からないように掃除を!」と大家さんや管理会社の方に言われるがままに遺品整理を行ってしまうことがほとんどです。
ちゃんとした遺品整理業者なら見積もり時に相続放棄と遺品整理の危険性について説明してくれますので、そこで一度冷静に考える時間を持てますが、今回のように大家さんや管理会社が手配する清掃業者に任せてしまうと基本的には家主側に有利なように進んでしまいますので、当然相続放棄と遺品整理の危険性について教えてくれるようなことはありません。
特に危ないのが故人のお住まいと遺族のお住まいが遠く離れており、すぐに駆けつけることが出来ないような場合は家主がからの電話連絡だけで判断するしかなく、結果強く迫られると相続放棄に影響の無い部分だけでなく、気づいたら全ての家財を処分されてしまっていたなんてことも起きてしまいます。
そうして、室内にどのような家財があったのか、資産価値のある物があったのかなかったのかも分らずに、多額の清掃費だけを請求されてしまうということも実際に起きていますので遠方にお住まいの方は特に注意してくださいね。
困ったらまずは専門家に相談。電話相談だけならすぐにできますのでいつでもご連絡くださいね。
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