名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ
2015.10.20
DNA鑑定と相続問題について
おはようございます。名古屋の遺品整理・特殊清掃専門第八行政書士事務所の谷です。
最近朝方になると喉や鼻の奥がカラカラになっていることがあります。空気が乾燥していますので火事はもちろんインフルエンザなどの病気にも気をつけてくださいね!
さて、遺品整理のお話しとは離れますが先日の秋季セミナーで聞いたお話をちょっとご紹介。DNA鑑定と相続についてのお話しが面白かったというのは前回のブログでも書かせて頂きましたがその内容のひとつが一般の方には馴染みが無いと思われるのでご紹介したいと思います。
秋季セミナーの内容を多少アレンジしてしまうかもしれませんがご容赦ください。DNA鑑定と相続の問題についてですが、問題となるのは親子関係があるのかどうかということですよね?
例えば、自分が亡くなった後の相続人として、妻と長男、次男の3人がいたとします。長男は間違いなく自分の子供だが、次男は顔つきも異なり、また妻が浮気をしていた頃にできた子供でどうしても疑念が拭えない。
両方とも間違いなく自分の子供と分れば安心して自分の財産を遺してやりたいが、万が一にも自分の子供ではなかったなら次男には財産を遺したくないと考えている。そんな事例です。
自分と血が繋がっているかどうかを確認したい。そんな時に活躍するのがDNA鑑定ですよね。今のDNA鑑定では99.9%という高確率で判断できるそうですから検査結果にはほぼ間違いがないと言えるそうです。
近年は「できちゃった婚」や「おめでた婚」なども当たり前になってきており、子供が出来たことで結婚を決めるということも珍しくはなくなってきています。
ただ、そうなると心配なのが奥さんのお腹の中にいる子供が本当に自分の子なのか?ということです。できちゃった婚などに限らず、パートナーの不貞によって同じような疑念をお持ちのご主人さんというのは多いと思いますが、ではDNA鑑定をして父子関係が否定されたら全て解決か!というとそう簡単にはいかないというのが今回のポイント。
過去に親子関係の有無を争った親子関係不存在確認請求事件というものがあります。
これは、DNA鑑定で父子関係は否定されているけれども民法上は父子関係を否定しないとした判例です。最近の判例ですのでテレビなどで判決の内容をご覧になって記憶に残っている方もいるのではないでしょうか。
判例の一部を紹介しますと、
「民法772条により嫡出の推定を受ける子につきその嫡出であることを否定するためには、夫からの嫡出否認の訴えによるべきものとし、かつ同訴えにつき1年の出訴期間を定めたことは、身分関係の法的安定を保持する上から合理性を有するものということができる。
そして、夫と子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的根拠により明らかであり、かつ、子が現時点において夫の下で監護されておらず、妻及び生物学上の父の下で順調に成長しているという事情があっても、子の身分関係の法的安定を保持する必要性が当然になくなるものではないから、上記の事情が存在するからといって、同条による嫡出の推定が及ばなくなるものとはいえず、親子関係不存在の訴えをもって当該父子関係の存否を争うことはできないものと解するのが相当である。
このように解すると、法律上の父子関係が生物学上の父子関係と一致しない場合が発生することになるが、同条及び774条から778条までの規定はこのような不一致が発生することをも容認しているものと解される。・・・・・」
一部と言いつつ結構長くなってしまいましたが、簡単にいうと、婚姻関係にある男女の間に生まれた子供は夫婦の子供とする規定が民法にはあり、その規定は子供の法的立場を守るためにあるものであるから、たとえDNA鑑定などの科学的証拠によって父子関係が否定されたとしても、一旦定まった親子関係は守られる必要があるということです。
この判決、一見子供の立場を守っているかのようにも見えますが、実際の子供が置かれている立場を確認してみると子供にとっては悪影響の方が大きいようにも思える内容だったりします。興味のある方は「親子関係不存在確認事件」で検索すると出てきますのでご確認ください。
判決の内容の是非についてはここでは置いておくとして、実際問題として上記の判例が出てくるとどうなるのか?ということです。
ここで最初に挙げた事例に立ち返ってみると、DNA鑑定で父子関係が科学的に否定されたとしても親子関係は存続するということになりますので、血の繋がっていないことが判明した次男にも当然相続権が発生することになります。
こうなってくるとご主人の相続に関する意向をなるべく叶える為には調停で戸籍の訂正を行ったり、遺言で財産の配分を長男に集中するようにするなどの法的な手段が必要となってきます。
え!?DNA鑑定で父子関係が否定されているのにそんな事になるの?と思われるかもしれませんが、そんな事になってしまうのです。
今回は一般の方にも関係があるけど、そんな結果になるなんて!と思われるような事例でしたので秋季セミナーで学んだ一例をご紹介させて頂きました。
もし、今ご自分が似たような案件で悩んでいましたらお近くの専門家に相談してみてくださいね!
名古屋の遺品整理・特殊清掃専門 第八行政書士事務所 代表 谷 茂
第八行政書士事務所は名古屋を中心に愛知・岐阜・三重での遺品整理・特殊清掃のご依頼を承っております。
その他の地域にお住まいの方でも遺品整理や相続相談・賃貸トラブルなどのご相談は随時お受け致しておりますのでお気軽にご相談くだいさいね。
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