名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ
2016.01.21
最後はここで迎えたいと願った老人
おはようございます。名古屋の遺品整理・特殊清掃専門第八行政書士事務所の谷です。
今日も寒い一日なりそうです。昨日の雪がまだまだ残っている個所もありますので、日陰を歩かれる方はご注意くださいね。
先日ある賃貸物件での遺品整理をお手伝いした際にふと思い出いした現場があります。それは何年も前に行った遺品整理だったのですが、古い賃貸物件で一階の共同の玄関を開けると各部屋の扉が並び、トイレは共同でお風呂はなしとい「○○荘」と呼ばれるような一昔前のアパートでの作業です。
ご依頼者は故人の息子さんだったのですが、お部屋の荷物のあまりの多さに家族での整理を諦めてのご依頼でした。こういった古いアパートは住人の方々も高齢の方が多く、作業中の音や荷物の仮置き場など安全の面から色々と注意が必要なのですが、今回に限ってはその心配はいりませんでした。
そのアパートの最後の住人が今回のお部屋だった為、周りのお部屋は既にものけの殻で他には誰も住んでいないとのこと。なんでも、その作業のご依頼を頂く何年も前に家主から建物を取り壊すの立ち退いてもらえないかとの依頼が各住人のもとにはあったそうです。
もちろん、ただ出ていってくれというわけではなく、引っ越しに掛かる経費や不用品の処分に掛かる費用なども大家さん側で負担してくれるというお話しです。
大家さんとしては風呂なし、トイレ共同、耐震基準も現在のものではない古い建物を安い賃料で貸しておくよりも新しい建物なり駐車場にするなりして活用したかったようで、随分前から新しい入居者は入れないようにしていたそうです。
そして、大家さんからの提示された内容で引っ越しされた方も多数いらっしゃり、最後まで残っていたのが今回のお部屋にお住まいだった方というわけです。
ご依頼頂いた息子様としては、蓄えもあり、生活に困窮していた訳でもないのだから大家さんからの話に乗って、もっと住みやすい部屋に引っ越せば良かったのにという思いがあったようなのでが、何度その話しをしても故人は首を縦には振らなかったそうです。
若い方なら引っ越しも楽しめ、新しい場所にもすぐに順応できるのでしょうが、高齢の方にとっては多少不便でも住み慣れた場所が一番と考える方も決して少なくありません。
一番は人間関係。高齢の方にとっては新しい場所で一から人間関係を築いていくのはただただ面倒でしかありません。これは独居の高齢者に限らず、息子さんや娘さんから同居を勧められた高齢者にもあてはまり、子供や孫とも暮らしたいが、住み慣れた場所を離れて長年付き合ってきたご近所の方と別れることもしたくないという高齢者の方は非常に沢山いらっしゃいます。
今回の方も大家さんから聞くところによると「自分も高齢でそう先も長くはないと思う。大家さんには迷惑をかけるけれども、どうか最後をこの場所で迎えさせてはもらえないだろうか」と強く頼み込まれたそうで、大家さんもその方の事情を鑑みてそれ以降は立ち退きの話しはされなくなったそうです。
遺品整理では故人の思い出の品や家族との写真などを形見分けとして持って帰られます。しかし、長年住まわれてきたお部屋にも故人の想いは詰まっていると私などは考えています。お部屋は形見わけとして持って帰ることはできませんが、せめて長年生活を見守ってきた場所として感謝の気持ちを持って大家さんに返したいものですよね。
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