名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ
2016.10.14
頼んでも書いてもらえなかった遺言書の悲劇
おはようございます。名古屋の遺品整理・特殊清掃専門第八行政書士事務所の谷です。
朝晩がめっきり涼しくなりましたね。日中との気温差が出てきていますから体調管理にはくれぐれもご注意ください。お鍋の美味しい季節になりましたがお酒はほどほどにしてくさいね。
さてさて、先日受けた遺言と相続のご相談。相談内容としては事実婚(内縁関係)の場合にパートナーの財産をもらう方法はないのか?というものです。
最近はいろいろな夫婦の形態というものがあり、必ずしも婚姻届を提出した法律的に認められた夫婦が絶対という風潮ではなくなってきています。
婚姻に伴うメリットやデメリットを考慮してあえて事実婚を貫いている夫婦もいれば、高齢になってからの再婚でお互いは結婚したくても家族が反対する、とりわけお子様が反対する為、事実婚(内縁関係)の状態になっているということもあるようです。
お互いに想いあっての結婚であっても、子供たちの目から見たら財産目当てなんじゃないか?なんて疑われてしまうこともあるようです。なぜなら、法律的な夫婦になった場合は配偶者(再婚相手)に相続権が発生してしまいますので、お子様方にとってはいきなり財産の半分が見知らぬ相手に持っていかれてしまうという状態になってしまうのですから、高齢になってからの再婚というのはこういった面での壁をクリアする必要もあってなかなかにハードルが高いとのことです。
今回のご相談は事実婚(内縁)の関係にあったパートナーが遺言書を残さずに亡くなったが、法律的に財産を承継する方法はないのか?というものでした。
事実婚の関係については双方のお子様方も認めており、その点に関してはトラブルはなかったようで今回亡くなった方のお子様と、パートナーであった相談者の方も普通にお付き合いがあったそうです。
ご相談者の話しを聞くところによると、故人はそこそこの資産を有していたようで、このまま亡くなると相続で揉めるかもしれないと思ったご相談者とそのお子様は、生前に何度も故人に対して「遺言書を書いて欲しい」と言っていたそうです。
しかし、故人はその度に「あの子達(故人の子供)にはもう十分財産を渡してある。遺言書なんか書かなくても大丈夫」といって全く取り合ってはくれなかったそうです。
そうこうしている内に結局遺言書を残さず亡くなられてそうで、最初は故人の言うとおり故人のお子様方も家も財産も全てご相談者が貰えばいいという風向きだったそうです。しかし、葬儀を進めていき、遺品整理や形見分けなどを行っていると故人の残している財産が具体的に判明してきました。
その額数千万。もちろん、全部が現金・預貯金ではありません、土地や保険金なども含めた額となりますが、この金額を見た故人のお子様方がだんだんと主張を変えていき、最初は全てご相談者が貰えばいいという話しから、まずは遺産の総額が判明するまでは保留にしようとなり、最後は自分達が相続するという話しへと変わっていったとのこと。
こうなってしまうと恐ろしいのが事実婚のパートナーには相続権が無いということです。パートナーとの間に子供が生まれたのであればお子様には相続権が発生しますが、今回は連れ子で養子縁組などもしていません。法律的にみるならば他人同士が一緒の家で生活をしているという状況でもあり、相続の面からすれば故人のお子様方が第一順位の相続人となります。
もちろん、これが事実婚ではなく法律的に認められる夫婦であったなら配偶者にも相続権が発生しますが、いかんせん事実婚では相続権は発生いたしません。これが怖いから故人の生前にしきりに「遺言書を書いて欲しい」と何度も言っていた訳で、ご相談者の心配事が現実になってしまったとも言えます。
この結果は故人が遺言書を書いていれば防げた事案です。当初、故人のお子さん方も故人の財産は事実婚状態にあるご相談者が全て持っていけばいいと考えていたのです。であるなら、「全ての財産を○○に遺贈する」と一筆でも書いていればここまで話がこじれることはなくすんなりと財産の名義変更等も済んだかもしれません。
しかし、遺言書がないが為に、財産の名義を変更をするにあたり相続人である故人のお子様方の協力が必要であり、その過程で故人の所有する財産が明らかとなり、結果、こんなに高額な財産があるなら全部を渡すわけにはいかない、むしろ本来の相続人である自分達が相続するべきだ!ということになってしまったわけです。
故人がご相談者やその子供に「遺言書を書いて欲しい!」と言われた時に自筆証書でもいいから書いておけばこの悲劇は防げたはずです。少なくても全財産を失うという結果にはならなかったはずですが、なぜそんなにも頑なに遺言書を残すことを拒んだのがか不思議でなりません。
故人としては、自分の子供達には十分な財産を既に渡しており、相続の際に無茶な事は言ってはこないだろうと思われていたのかもしれません。つまり、遺言書なんかなくても残した財産はパートナーが好きに使ってくれればいいと簡単に考えていたのかもしれません。
しかし、現実は預貯金や土地の名義変更などには遺言書が必要であり、遺言書が無い場合は本来の相続人の関与が必要となります。
もし、故人がこの危険性や煩雑さを認識していたのなら、遺言書を準備しておこうという気持ちになったかもしれないとは思いませんか?
再婚した相手にお子様がいるような場合は相続で揉めるケースが非情に多くありますし、今回のようにお子様方にある種の信頼を置いていて遺言書を書いてくれないケースということもあります。
そんな時は遺言書を書いてくれないとこんなにも手続きが難しくなるということを伝えてみるとパートナーも遺言書の必要性に気づいてくれるかもしれません。
事実婚の場合の財産承継には遺言書が欠かせません。困った時にはお近くの専門家にご相談してくださいね。相続についての話し合いというと面と向かってはなかなか話し出せないものですが、市やデパート、各法律事務所などが開催している相続無料相談会などをご利用ください。
面と向かっての話し合いはできなくても、立ち寄った先にある無料相談などに「ついでにちょっと話しを聞いてみない?」と偶然を装って相手を連れていくことは難しくないですよね?散歩のついで、買い物のついでなどお出かけ先に「相続相談」などのイベントがないかをチェックしてみてください。
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こういった定期的に行われる無料相談会は散歩コースに組み込みやすいですから、パートナーにどうしても遺言書を書いて欲しいのに書いてくれない、そんなお悩みがございましたら是非お立ち寄りください。
相続を専門とする税理士、司法書士、行政書士がご相談に応じております。(もちろん、遺品整理・生前整理のご相談もOK!)ご来店お待ちしておりま~す。
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名古屋の遺品整理・特殊清掃専門 第八行政書士事務所 代表 谷 茂
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