名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ
2018.01.12
賃貸物件では早期発見でも事故物件?
おはようございます。名古屋の遺品整理・特殊清掃専門の第八行政書士事務所の谷です。今週、来週は現場で埋まっており正月太りしたお腹に優しくない日々が続きそうです。ぐふっ、、、
さてさて、世間は正月休みでも第八行政書士事務所では緊急の電話相談は通常通り受付けていたのですが、そんな中一本の電話相談がありました。
なんでも年末に賃貸物件でお父様が亡くなり、葬儀の手配や死後の手続きで忙しい中、どうしても心配なので誰かに話しを聞いてもらいたいとのことで当事務所に相談の電話を掛けてこられた方です。
心配事のひとつは、父親は賃貸物件に1人で住んでいらしたとのことですが、近くには家族もおり頻繁に様子を見に来られていたとのこと。年も暮れようかという時にいつものように家族が様子を見るついでに正月の予定を確認しに父親のところに来たところ室内で倒れられていたそうです。
慌てて、救急車を手配したのですが、既に亡くなっているとのことでそこから警察へと引継ぎがされてご遺体は警察へ。その後家族は不動産の管理会社へ連絡されたそうなのですが、その際のやりとりが心配とのことです。
なんでも、不動産の管理会社の方は室内で亡くなっていたのか、病院で亡くなったのかをかなり気にされていた様子で、相談者の方も「嘘を言う訳にもいかないので正直に答えているのですが、これって何かまずいことになるのでしょうか?」、「私はどのように返答していれば良かったのしょう?」と不安げな声を出されていました。
だいたいの状況をお聞きしていましたので、こちらからのアドバイスは「正直に答えて差し支えありませんよ」とのものです。普段の生活で嘘やごまかしを頻繁にされているような特殊な人でもない限り、一度、嘘やごまかしをした時点で段々と話しの辻褄が合わなくなるものです。
結果として嘘がバレタ際にはより相手方の心象を悪くするのは目に見えていますので、正直に答えて頂ければ問題ありません。もし、仮にそれで相手方との争いになるのでしたらそれこそ専門家の出番であり、弁護士の先生などはそういった問題を解決するためにいるわけですから。
とは言え、避けられる問題は避けるにこしたことはありませんし、事前に情報を知っているのと知らないのではその後の対応にも大きく影響してきますので、今回の問題でのポイントとなる部分はしっかりと説明をしておきました。
まず、不動産の管理会社の方が心配されているのは、その賃貸物件の部屋が「事故物件」になるのかどうかということでしょう。事故物件となるのでしたら、次の入居希望者への告知義務など非常に頭を悩ませる問題が出てきますので、管理会社の方が気にするのも仕方のないことです。
ですので、ご相談者の方と電話で話された際に「病院で亡くなったのか」それとも「室内で亡くなったのか」という部分を非常に気にされていたのだと思います。
発見当時にはまだ息があり病院へ緊急搬送された後に亡くなったというのであれば、管理会社の判断としては「事故物件にはならない」となるはずです。
では、今回のケースはどうなるのでしょうか。お父様が倒れているのを発見してすぐ救急車を手配、しかしその場で死亡していることが確認され、その後は警察へとなっています。
管理会社側としては「室内で死亡」と判断することでしょう。では、室内での死亡=事故物件になるのでしょうか?
答えから言えば、必ずしも「事故物件」になるとは言えない。今回のケースに限って言うなら「事故物件にはならない」と一般的には考えられています。
では、なぜ今回のケースは事故物件にならないと考えられるのか。一般的に室内で死亡=事故物件と考えられがちですが、これは自殺や殺人などのケースです。
今回のように室内での病死かつ早期発見という状況では例え室内で死亡していたとしても事故物件とは考えないとするのが一般的です。
今回のご相談者のケースは家族が頻繁に様子を見にきているということもあり、警察の検死の結果は死後半日程度となっています。
つまり、室内で死亡しているけれど家族にすぐに発見されている状態です。確かに高齢者がひとりで生活していて誰にも看取られずに亡くなっていますが、この状況は家族と同居していてもタイミングの問題では同じような状況になることは当然ありますよね。
過去の判例でも同様に賃貸物件で入居者が病死するのは賃貸物件を住居として使っている以上は当然に起こり得ることであり、あたりまえのことと判断しています。
それはそうですよね。人が亡くなるのは必ずしも病院のベットの上とは限りません。特に自宅介護が増える昨今では自宅で亡くなる方は増えることでしょう。
今回はその自宅がたまたま賃貸物件であったというだけで、自宅で病死するというのは特別なことではありませんよね。
つまり人が生活の本拠として使用している住居で病死するのはごくあたり前のことであり、そのあたり前のことが「事故物件」になるわけがないということです。
ただ心配なのが管理会社の方が経験の浅い方の場合だと、「室内での死亡」という一事をもって「事故物件」に繋げてしまうケースがあるということです。
普通に考えれば事故物件になる訳がないと思えることでも、「賃貸物件」「室内で死亡」「孤独死」などのワードが絡んでくると「入居者の死亡」という普段の業務からはかけ離れた問題に直面した際に正常な判断ができないということも無いとは言えません。
ですので、もし、管理会社の方から「事故物件」とそれに伴う損害賠償などの話しがあった場合は再度ご相談くださいという形で今回の相談は終了となりました。
上に書いたようなことを順序立て説明することで相談者の方も「そりゃそうですよね」となり、だいぶ安心して頂けたようです。
そういえばこれが今年最初のお仕事?と思わないでもないですが、相談者の案件が無事終わることを願っています。
※このブログの内容は裁判の結果等を保証するものではありません。個別具体的な案件は必ず弁護士等の専門家へご相談ください。
名古屋の遺品整理・特殊清掃専門 第八行政書士事務所 代表 谷 茂
第八行政書士事務所は名古屋を中心に遺品整理・死後事務のご相談を受け付けております。
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