名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ
2018.06.14
遺品整理業者のせいで相続放棄ができなくなる!?
おはようございます。名古屋の遺品整理・特殊清掃専門第八行政書士事務所の谷です。
なんか風が冷たいな~と思っていたら北海道ではこの時期に雪が降ったとか。暑いのは嫌ですが異常気象はもっと嫌ですね。
さてさて、先日受けたご相談。賃貸物件で自殺をされた方のご家族からのご相談ですが、既に遺品整理や自殺現場となった箇所の特殊清掃は終わっているとのことで、今回は相続放棄に関するご相談でした。
なんでも、相続放棄の手続きを進める中で財産処分をしてはいけなかったということを知り、遺品整理をしてしまったら相続放棄はできなくなるのでは?心配されてのご相談です。
では、遺品整理をすることは相続放棄ができなくなる財産処分にあたるのか?というと、これは遺品の内容によるという回答になります。
相続放棄をする方が故人の財産を処分してはいけない、故人の財産を処分する行為は単純承認として相続したものとみなすという制度の背景には、故人の財産を債権者が換金することで、そこから故人への貸付などを回収する手段を確保しておくという意味があります。
ですので、故人の残した財産から債権者が回収する方法を邪魔したのだから、当然、故人の財産を処分した相続人は相続する意思があったとみなして、相続放棄はできなくなるということです。
ここから判るとおり、相続放棄に影響する財産処分とは一般的には市場価値のあるものと解されており、具体的には高価な腕時計だったり、ブランド物のバックや衣類といったものとなります。(形見分けの範囲を越えてしまうような物)
この中には普段使いされているような衣類やどこにでもある家具、何年も使用されてきているような家電製品などは含まれていないと考えられており、それらの品を遺品整理で処分してしまったとしても相続放棄には影響しないと考えられています。
今回のご相談者の方も話しを聞く限りでは高価な品物はなさそうだったのですが、一点だけ遺品整理業者がそこそこの値段で買い取っていった品があったそうです。
その買い取り金額は遺品整理の代金と相殺したそうですが、これはその買取金額にもよりますが財産処分と見られてしまう可能性があります。
ちゃんとした遺品整理業者なら事故物件での遺品整理に臨むにあたり、今後の大家や管理会社とのトラブルを考慮して、相続放棄をする予定があるのかどうかは必ず確認するはずで、確認しないような業者にはそもそも依頼してはいけません。
でないと、遺品整理業者が遺品を処分してしまったことが理由で依頼者が相続放棄をできなくなってしまう可能性が高くなってしまいます。
それなのに今回の業者は事故物件にも関わらず故人の家財を普通に買取をしています。これは明らかに遺品整理業者としてはアウト!な行為で遺品整理業者失格です。
賃貸物件での事故では遺品整理が終わった後にこそ大家側と遺族のトラブルは起きてきます。今回のケースでは保証会社を利用しており、遺族は連帯保証人にはなっていませんので、相続放棄を前提に考えるならそもそも遺品整理をしないという選択肢を最初から取ることもできたはずです。
それなのに、遺品整理をした業者は相続放棄の確認はおろか、相続放棄という手段が取れるというアドバイスもしていない。
もちろん、依頼者が相続放棄を選択すれば遺品整理をやらない可能性も高く、そうなれば遺品整理業者の売り上げにもならないでしょう。
だからと言って、自社の利益を優先して防げるトラブルを防がず、後々のトラブルの火種をあえて植え付けていくような行為は信義則に反する行為であり、絶対に許せるものではありません。
真っ当な遺品整理業者なら、相続放棄をする可能性がある事故物件という状況で買取をするなんてことはまずありえません。今後はこのような遺品整理業者の不誠実な行為で依頼者が損害を被らないことを祈るばかりです。
名古屋の遺品整理・特殊清掃専門 第八行政書士事務所 代表 谷 茂
第八行政書士事務所は名古屋を中心に遺品整理・死後事務のご相談を受け付けております。
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