名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ

2019.11.29

遺品整理と保険契約の受取人の変更

 おはようございます。名古屋の遺品整理・特殊清掃専門第八行政書士事務所の谷です。

先日、鍋を解禁して今年最初の鍋を作成しました。最近はいろいろな鍋の素があって大変助かります。

鍋なら野菜もたっぷり食べられますので健康にもいいですしね!本格的な冬が始まる前に体の調子を整えておきましょう。

さてさて、本日の話題は生命保険について。遺品整理をしている際はいろいろな貴重品や重要書類が見つかります。

特に当事務所へご依頼頂く遺品整理の場合は、ご家族では発見できない、または気づく事ができない財産的価値のある物を遺品整理の際に発見して欲しいという要望が強くあります。

もちろん、遺品整理専門の行政書士として、相続財産の確認も含めて一般の遺品整理業者ではできない士業目線で作業を行わせて頂くのですが、その際に発見されることの多い、生命保険について今日はちょっと触れておきたいと思います。



生命保険は皆さんご存知の通り、保険金を掛けておき万が一の際に保険金が支払われるというものですよね。

例えば、一家の大黒柱たるお父さんに万が一の事があった際に残される奥さんと子供の生活が困窮しないようにと、お父さんが自身に対して生命保険を掛けておき、受取人を奥さんと指定しておくという感じです。

これについては、ご家庭を持たれている方は日常的に行われている契約の一種であり、多くのご家庭で生命保険には加入されていることかと思われます。こうした生命保険に関する証書が遺品整理の際に見つかることも珍しくはありません。

では、生命保険の証書が見つかったとして、何か問題があるのか?ということですが、今回は「受取人」が問題になるケースを紹介しておきたいと思います。生命保険には、万が一の際の保険金の「受取人」が指定されています。

この受取人の扱いで、生命保険では何千万というお金が動くこともあり、いろいろなトラブルの元になることもあります。

例えば、結婚したばかりのご夫婦で、今後の事も考えて生命保険に加入したとします。保険の内容はご主人さんが死亡した場合に保険金が奥さんに支払われるというものです。

保険金の受取人は「氏名〇〇〇〇(妻)」となっていたとします。このまま問題なく夫婦生活が営まれていけば問題ないのですが、人生なにがあるかわかりません。

ある時、奥さんの不倫が発覚して、お二人は離婚することになりました。その後、ご主人さんは失意の中で孤独死(or自殺)してしまったという、実際の遺品整理の現場でもあるケースです。

その後、亡くなった男性のご家族からのご依頼で遺品整理を実施していたところ保険証券が出てきて、依頼者のご家族と確認してみると、受取人には憎き元妻〇〇の名前が!

さて、この状況で保険金の受取人は誰になるのか?ということですね。保険契約書には受取人として「氏名〇〇〇〇(妻)」と記載されています。でも、〇〇さんとは既に離婚しており、(妻)ではありません。元妻です。

亡くなった男性のご家族としては、諸悪の根源ともいえる元妻には一銭たりとも渡したくないでしょうし、ましてや生命保険金なんていう多額のお金が自分の家族の死を理由に支払われ、かつ支払われる先が家族を死に追いやったとも言える相手なら、はらわたが煮えくり返る思いかと思います。

同じような内容で過去に裁判になった事例を確認してみると、なんと保険金は元妻に支払われるべきだとなっています。

なんですって!なんで、離婚した(妻)でもなんでもない女性に支払われるの!(怒)と普通なら思いますよね。

裁判所の考えかたとしては、受取人の指定として「〇〇〇〇(妻)」とある場合に続柄を記載するのは同姓同名の者がいる場合であっても、続柄も併せて記載することで確実に個人を特定できるからであり、契約者は必ずしも妻の身分を持っているものだけに保険金を支払う意思を示したものではないとしています。(参考にした判例では)

ですので、受取人の指定の際に続柄として(妻)の記載があったとしても、それは単に個人を特定する為の補助記載であって、受取人の指定としては「氏名の〇〇〇〇」が大事というわけですね。

たとえ離婚していたとしても保険契約時に男性の妻だった方は調べればすぐわかる話しですので、これが離婚して(元妻)となったとしても、個人の特定に影響はないというわけです。

ええぇ~そんな理不尽な~、と思うのは当然ですが、本来保険契約というのは契約者が存命中ならいつでも受取人を変更できるものです。ですので、受取人の変更を保険会社に連絡せずに放置してしまった側にも責任があるというわけですね。

保険契約、特に生命保険の契約は長期に渡り続くものでもありますから、契約期間中に上記のように大きな身分関係の変動が起こることは十分考えられます。そうした場合は必ず保険契約の見直しや受け取り人の再設定などを忘れずに行っておきましょうね。

本筋ではありませんが、保険の受取人の変更は遺言書でも行うことが可能です。通常保険金の受取人は被保険者の死亡時に確定しますが、遺言書で受取人の変更を行う場合、遺言書は遺言者が死亡してから効力が発生するものですから、遺言書を発見されたご家族等がその遺言書を保険会社へ通知することで保険会社へ対抗することが可能となります。

遺品整理を行っている際に発見される保険契約の場合、男性はとかく古い契約をそのまま放置しているケースが多いですので、重要な変更があった場合は必ず変更届をしておきましょうね。

遺品整理や相続、遺言、終活についてご相談があればいつでもご連絡ください。第八行政書士事務所の谷でした~。

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