名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ

2018.01.13

事故物件ではない場合の損害の負担割合

 おはようございます。名古屋の遺品整理・特殊清掃専門第八行政書士事務所の谷です。久々に走り回る現場を行っていたら、正月休みで体がなまっていたのか体中がバキバキ言っています。アキレス腱が痛い、、、、

さてさて、この時期は高齢者のヒートショックによる死亡が増えることから当事務所の相談も夏場ほどではないにしろ相談件数が上がってきます。

前回のブログに記載した反響から少しだけ追加の記載をしておこうと思い今回は実際の不動産会社さんとの協議で良くありがちない内容をひとつご紹介しようと思います。

前回はひとり暮らしの高齢者が賃貸物件で亡くなり(病死)死後1日も経たずに発見されたケースを紹介して、それが一般的に言う「事故物件」にあたるのかどうかということを解説しました。結論から言うと「事故物件」にはあたらない。というものでしたよね。

では、今日のブログではさらに一歩踏み込んで不動産会社さんから遺族に向けて説明される内容について紹介したいと思います。賃貸物件で孤独死などが起きた場合、通常は大家さんや管理会社の方と退去の打ち合わせをして解約をする流れになります。

多くの場合はこの打ち合わせの時に高額な原状回復費用や損害賠償を請求されて問題に発展してしまうことになるのですが、中には明らかにそれはちょっと過剰請求なんではないですか?と頭をかしげざる負えないケースもあったりします。

前回のケースと似たようなケースでいくと、「「事故物件」にはならないけど、次の入居者にはこの部屋で人が亡くなったことを告知しないといけないので、その分の減額家賃を支払ってください。」と管理会社から言われるというものです。

確かに、その部屋で人が亡くなったことがあるというのは人によっては入居を決める基準になります。

ですので、大家さんや管理会社さんから、「不動産会社には物件で人が亡くなった場合は必ず次の人にはその事実を伝えないといけないんですよ。ご理解いただけますよね?」と言われたら、普通の人なら「確かにそれはそうですよね」と理解はしてしまうと思われます。

大家さんや管理会社さんとしても誠実に業務を行う以上、少しでも次の入居者に不利になりそうな情報は正確に伝えて、納得の上でその部屋を借りてもらいたいと思うのは当然ですよね。

ですので、この部分については、借主側も納得できる部分であり、遺族としても管理会社などからそう言われたら「確かにそうですね」となってしまう訳です。

しかし、管理会社さんなどはこれで話しが終わる訳ではなく、これに続く形で、「ですので、次の入居者に事実を伝えることによって、なかなか部屋が決まらなくなるので、家賃を下げるしかなく、その部分は家族の皆様に補填してもらいたい」と主張が続いてくるわけです。

前段部分で納得した後に後段の損害の補填に自然と話しが繋がっていくものですから、「確かに迷惑を掛けているのは事実だし、私達家族が支払うべき負担かもしれない」と遺族は思ってしまう訳です。

ここで、前提の問題に戻りますが、上で述べてきたことは自殺のようなケースでしたら、確かにその通りとなります。しかし、前提として提示した孤独死だけど早期に発見されているような場合にも、該当するのか?というのが今回のお題というわけです。

前回のブログでも書きましたが、一般的には生活の本拠として利用している以上、賃貸物件で人が病死等で亡くなるのはあたりまえのこととされています。

ですので、孤独死であっても早期発見のような場合は「事故物件」には該当しません。では、事故物件でないのに告知義務は発生するのでしょうか?一般的には告知義務発生しないと考えられています。

では、不動産会社等はなぜ敢えて次の入居者へ告知すると言うのでしょうか?それは、単純に次の入居者とのトラブルを避ける為です。

事実を伝えた上で納得づくで部屋を借りてもらえるのでしたら不動産会社としては一番安全な方法となり、入居希望者側も知ってて借りている訳ですから、後から知って「騙された!」なんて事は言ってきません。

これが、事故物件には該当しないからと告知をせずに次の入居者へ貸した場合に、なにかのきっかけで、その部屋で人が亡くなった事を入居者が知った場合はトラブルが起きる可能性があります。

もちろん、告知義務がないのですから不動産会社が悪い訳ではありません。でも、入居者側としてはそんな事は関係ないですよね?

不動産会社側に告知義務があろうがなかろうが「人が亡くなっていると知っていたら借りなかったのに!!」という人は必ずいますので、例え不動産会社側に責任はなかったとしても、責任をとれ!とトラブルになってしまう可能性があります。

ですので、不動産会社側としても少しでもそういったトラブルを避ける為に、告知義務がないような状況であっても敢えて告知しているケースというのがあります。

不動産会社側としては、手堅い契約の方法ですので、これ自体はなんの問題もないですよね。でも、問題となるのは、「告知する必要のない物件で敢えて告知することで発生する不利益を遺族側が負担しないといけないのか?」ということです。

上で述べているように、告知する必要はないけれど、次の入居者とのトラブルを避ける為に敢えて告知するというのは、不動産会社側の経営判断です。

ですので、その判断をすることで発生する不利益というのは当然不動産会社側が負うべきものであり、遺族側が負うべきものではないと考えられます。

遺族側からしてみれば、する必要もない告知を不動産会社がわざわざ行って、それで家賃が減額になるから、その分を支払ってください。と言われても納得はできないですよね。

このように問題点を分けて考えれば、告知義務がない物件での告知による不利益を不動産会社と遺族のどちらが負担をするのかは分かり易いのですが、一連の流れで説明されてしまうと「確かに迷惑を掛けているのはうちだし、支払う必要があるかも」となってしまうわけです。

この問題は別に大家さんや不動産会社さんが悪いという訳ではありません。不幸なことに賃貸物件で人が亡くなったということが、不動産会社さんにとっても告知をするのか、それとも告知せずにそのまま貸し出すのかという難しい選択を迫ることになり、告知をして安全策を取り、その分の負担を遺族が支払ってくれるのなら支払ってもらいたいという思いは経営をする上ではどうしても出てくることとなります。支払う義務が遺族側になかったとしても、遺族が納得して支払ってくれる分には請求する事じたいは別に問題がない訳ですから。

ただ、遺族側としても全ての負担を負えるとは限りませんし、ある程度の譲歩をお互いにしつつ落しどころを見つけていく協議は必要になってきます。

この時に不動産会社側が高圧的に「支払い義務はあんた達にあるんだ!」という話し合いの仕方をしてしまうと、泥沼の法廷闘争になりかねませんので、落ち着いた話し合いを心がけましょうね。

長くなってしまいましたが、前回のブログの補足とさせて頂きます。

※このブログの内容は裁判等の結果を保証するものではありません、個別具体的な案件については弁護士等の専門家へ必ずご相談ください。

名古屋の遺品整理・特殊清掃専門 第八行政書士事務所 代表 谷 茂

第八行政書士事務所は名古屋を中心に遺品整理・死後事務のご相談を受け付けております。

その他の地域にお住まいの方でも遺品整理や生前整理、相続相談、死後事務に関するご相談は随時お受け致しておりますのでお気軽にご相談くださいね。

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