名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ

2018.03.28

クロスの耐用年数を超えていれば原状回復費は1円?

 おはようございます。名古屋の遺品整理・特殊清掃専門第八行政書士事務所の谷です。

今日の名古屋の予想気温は驚きの24℃。夏日一歩手前で3月にこの気温になるのはかなり珍しいとのことで花見の際にも水分補給に気をつけなければいけないらしく、皆さんお酒の飲みすぎへの注意と併せて水分補給もしっかり行ってくださいね。間違ってもビールで水分補給だー!なんてことはしないでくださいね。

さてさて、3月も終わりに近づき引越しシーズンも佳境といったところでしょうか、不動産会社で賃貸管理を勤めていた頃は2月から4月の終わりまでは入退居の繁忙期で一日4件近く退去立会いを行っていたものです。

当時は入居者の方から、特に私が管理していた物件のほとんどが大学の近くの学生向けマンションばかりでしたので、大学を卒業される新社会人の方やそのご両親へと原状回復費用を請求するシーズンでもありました。

ほんとこの時期は忙しすぎて、退去清算から室内のリフォーム工事の手配、新入居者の審査や大家さんへのリフォーム提案など色んなことを同時進行しなければならず、今思えば若いから出来たんだなと思うところです。

そんな入退去シーズンで必ず話題にあがるのが原状回復についてです。遺品整理整理の現場でも同じように問題となるのですが、一番の問題は入居者はいったいどこまで原状回復費用を負担しなければいけないのか?という部分です。

この一点に尽きるとも言える問題なのですが、国土交通省のガイドラインが出ていたとしてもそれを守るべき管理会社側や大家側の運用基準が一律ではありませんので、あそこの不動産会社ではこうだったのに、ここの不動産会社ではこんなにも請求されたなんてことが頻繁に起きてしまいます。

つまり、ガイドラインという指針があっても、それを使う側の知識や思惑によって原状回復費用として請求される金額には大きくぶれがでてしまい、そのぶれ幅が大きすぎるからこそ入居者とのトラブルになってしまうというわけです。

たとえば、原状回復費用の多くを占める「クロスの張替え費」について。ガイドラインにはクロスの耐用年数は6年と記載されており、入居期間によって借主側の負担は減り、反対に大家側の負担が増えるとしています。

要はクロスという壁紙も年数(入居期間)が経てば自然と劣化していき、その自然劣化分は家賃に含まれているのだから、自然劣化分は大家側が負担するべきものだという考えです。

具体的な数字で言うなら、入居期間3年で退去となり、クロスの張替えに6万必要という状況なら、ガイドラインのクロスの耐用年数が6年でその半分の3年入居していたのだから、3万円部分は既に価値がないので、借主側が支払う原状回復費は3万ですよ。(入居者側に故意、過失があり、経年劣化でないもの)ということです。

この考えはわかりやすいですよね。喫煙は借主側の過失と考えられますので、入居者の過失でクロスが黄ばんでしまいクロスの張替えが必要。クロスの張替えには6万円かかるけど、3年間の入居があるから借主側の負担割合は50%。だから、入居者側に請求されるクロスの原状回復費用は3万円です。ということです。

では、同じ条件で6年間住んでいたらどうなるのでしょうか?ガイドラインの考え方ではクロスの耐用年数は6年で6年経過したクロスの残存価値は1円となるとしています。

なら、ヘビースモーカーの入居者が6年以上入居した後に退去となった場合、入居者側は1円の原状回復費用を支払えばいいのでしょうか。ガイドラインの基本的な考えからいくとそれで良いように思えます。例え故意過失があったとしてもそもそもクロスの残存価値がないのだから汚れていたとしても回復すべき価値がないのだからと。

同じような問題が遺品整理の孤独死や自殺の現場での原状回復でも問題になります。10年以上も入居している高齢者が室内で孤独死して、発見が遅れたことにより遺体が腐乱しクロスに死臭が染み付いてしまった。クロスを全面張替えしないといけない。遺品整理の現場では良くある状況です。

でも、入居期間がクロスの耐用年数の6年を超えているので、クロスの残存価値は1円しか残っていない。だから遺族や連帯保証人は1円だけ支払えばいいのか?

ガイドラインの基本的な考えからすればこうなりますが、実際にはこのようにはいきません。なぜなら、ガイドラインには次のような文章が記載されているからです。

以下、ガイドライン(経過年数の考え方の導入)から抜粋。
なお、経過年数を超えた設備等を含む賃貸物件であっても、賃借人は善良な管理者として注意を払って使用する義務を負っていることは言うまでもなく、そのため、経過年数を超えた設備等であっても、修繕等の工事に伴う負担が必要となることがあり得ることを賃借人は留意する必要がある。具体的には、経過年数を超えた設備等であっても、継続して賃貸住宅の設備として使用可能な場合があり、このような場合に賃借人が故意・過失により設備を破損し、使用不能としてしまった場合には、賃貸住宅の設備として本来機能していた状態まで戻す、例えば、賃借人がクロスに故意に行った落書きを消すための費用(工事費や人件費等)などについては、賃借人の負担となることがあるものである。

とガイドラインに記載されている訳です。
具体的かつ簡単に言うなら、クロスの経過年数の6年を超えているからと、子供に自由に落書きをさせたりしてしまうとクロスの張替えに掛かる費用の一部を負担しなければいけなくなりますよ、ということです。

なんで?クロスの耐用年数は6年なんだから、残存価値は1円でしょ?だったら、子供が落書きをしてもいいじゃない!張替えに掛かる費用は大家側の負担なんじゃないの!?と思われるかもしれません。

でも、そうではありません。確かにクロスの残存価値は1円かもしれません。しかし、経年劣化分の汚れしかないのだとしたら、そのまま次の入居者へ貸せる可能性もあるわけです。これはクロスで考えると分かり辛いかもしれませんので、洗面台などの設備で考えてみてください。

洗面台やキッチンのシンクというものは法定の耐用年数を超えているからといって毎回その度に交換なんてしませんよね。割れたり、水漏れなどを起こすようになったら交換するものであり、耐用年数を超えているからといって、入居者側が自由に壊していくのを認めていては正常な賃貸経営は成り立ちません。

ですので、例え耐用年数を超えていたとしても入居者側の故意や過失で工事を余儀なくされたような場合は、その工事に掛かった費用の一部を入居者側も負担する可能性があるとガイドラインは言っているわけです。

だからといって、故意、過失があるのだから費用の全部を支払わなければいけないという訳ではありません。ここが難しいところではあるのですが、耐用年数を超えているのなら残存価値は1円、でも、入居者の故意や過失が原因で工事が必要なのだから、工事に掛かる費用の一部、例えば職人の人工代などを負担してくださいねということです。

遺品整理における孤独死や自殺の現場ではこの部分において、現場の状況もあいまって大家側から経過年数を考慮しない、工事に掛かる費用の全部を請求されてしまうケースが多く、大家側と入居者側のトラブルになりやすい部分でもあります。

そして、ここでさらに複雑となるのが、なら工事に掛かる費用の一部っていくらなの?ということです。ガイドラインには「工事費や人件費等」と書かれているだけで具体的にいくら負担するとか、どれ位の割合を負担しなければいけないとは書かれてはいません。

なら、大家側からクロス職人の日当代(人件費)として3万請求されたら支払わなければいけないの?ということになります。確かに職人の日当3万円という金額は別におかしな金額ではないかもしれません。(通常は提携業者を使用するでしょうから、㎡単位での料金計算になりますので日当3万円というのは高いかもしれませんが)

しかし、繁忙期で急遽職人を雇わなければいけなくなったので、それだけの費用が掛かると言われてしまうと、素人の入居者側にはそれが妥当な価格なのかどうかなんてわからないですよね。

でも、6万のクロスの張替え工事で3万も払うとなったらそれは3年間の入居者と同じ負担割合を負担するのと同じわけで、それが経過年数の考えを導入しているガイドラインの趣旨に沿っているのかと考えると、これまたおかしな話しになるのでは?という問題が起きてきます。

この点は法律で細かく定めれられいる部分ではないので、それこそ家主側との協議ということになってしまうのですが、ひとつ確実にいえることは賃貸物件はあくまで「借り物」であることを認識して丁寧に使いましょうということです。

そうすれば例え大家側から過大な請求がされたとしても経過年数での汚れなのか自分の過失で汚損、破損してしまったのかは判別しやすく、退去立会いもスムーズに進むことでしょう。

原状回復のトラブルは起きて気持ちのいいものではありません。長年生活してきた部屋を出て、新たな一歩を踏み出す際に気持ちよく踏み出せるように日頃から掃除を心がけ、丁寧に使用していきましょうね。

名古屋の遺品整理・特殊清掃専門 第八行政書士事務所 代表 谷 茂

第八行政書士事務所は名古屋を中心に遺品整理・死後事務のご相談を受け付けております。

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