名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ
2018.06.25
家族全員の相続放棄手続を一度でする事は出来ません
おはようございます。名古屋の遺品整理・特殊清掃専門第八行政書士事務所の谷です。
今日の名古屋は快晴です。昨日のサッカー中継で寝不足の方も多いかと思われますが、熱中症などの対策は忘れずに行ってくださいね。
さてさて、気温も高くなり賃貸物件での孤独死の相談も増えてきているところですが、賃貸物件での孤独死や自殺といった一般的に事故物件と呼ばれる状態(厳密には孤独死は事故ではありませんが、一般的な感覚として記載しています)では、相続人の方は相続放棄の選択をされるケースが多くあります。
そういった場合に当事務所でも提携の司法書士と連携して相続放棄の代行のお手伝いをしていますが、この際に一般の方が勘違いしている部分についてちょっと書いておこうと思います。
故人と相談者との関係にもよりますが、相続放棄を行う場合はまず相続人が誰なのかを確認しなければいけません。電話相談を受けている時もまずは、誰と誰が相続人であるかをお聞きします。
電話相談だけでは戸籍を確認している訳ではありませんので、相談者の方が知らない相続人(認知された兄弟など)がいたりするケースもありますが、とりあえずはご相談者の方が分かっている範囲で相続人を確認します。
ご相談の中で多いケースとしては、兄弟が孤独死して警察から連絡が入ったが、両親は高齢で動けないのでお兄様やお姉様が手続関係で奔走しているとい状況です。
最近の賃貸物件での傾向としては契約時に連帯保証人を取らずに家賃の保証会社を入れているケースも多く、相続人は連帯保証人にはなっていないことも増えてきました。
そういった場合に未納の家賃や多額の原状回復費を請求されない為に相続放棄ということになるのですが、一般的に上で述べたような家族構成、
両親が健在、兄弟がいるという状況ですと、まずは故人に配偶者(妻or夫)がいるかどうかと、故人に子供がいるかどうかが問題になります。
仮に、奥さんとお子様がいる状況で夫が自殺、両親は高齢で動けず、奥さんは法律的な事がわからないし、お子様もまだ小さいとなると、必然的にお兄様などのご兄弟が手続きを進めて、各所に相談にいったりすることになります。
相続や賃貸物件の退去についての相談を受けていますと、その流れで「相続放棄の手続き代行をお願いします」という依頼を頂くのですが、相続放棄をする場合ですと基本的には相続人全員がまとめて相続放棄するというイメージがあると思われます。
上の例でいくと、奥さん、子供、両親、兄弟ということになりますね。相続放棄となると基本的には全員が相続放棄されると思いますが、ただし、相続放棄は全員をまとめて手続きをすることはできません。
具体的に言うなら、奥さん、子供、両親、兄弟の相続放棄に必要な家庭裁判所への申述書を全員分まとめて一回で提出することはできないということです。
それは何故かというと。相続には相続順位というものがあります。上での家族構成でいうと、子供が第一順位、両親が第二順位、兄弟が第三順位となります。奥さん(配偶者)は常に相続人。
この相続順位というのは、前の順位の方がいない場合に限り、次ぎの順位の方が相続人になるというもので、反対に言うなら前の順位の相続人がいる限り、次ぎの順位の相続人はあくまで相続の可能性があるだけであり、実際には相続人ではないということになります。
ですので、上の家族構成で言うと、子供がいる限りは、両親とご兄弟は相続人にはならないということです。これを相続放棄に当てはめてみると、第一順位の子供が相続放棄をして相続人ではなくなった時から両親が相続人となり、両親も相続放棄することによって、兄弟に相続権が移ってくるということです。
つまり、第一順位の方が相続放棄→第二順位の方が相続放棄→第三順位の方が相続放棄という流れになり、第一順位の相続放棄から第三順の相続放棄をまとめて行うことはできないということです。なぜなら、相続権が移ってこない限り、相続人ではなく、相続人でない以上は放棄する相続権がないからです。(無い物は捨てられない)
ですので、実際の相続放棄では前順位の方の相続放棄が完了した段階で次ぎの順位の方の相続放棄の手続きを順番に進めていく形となり、第三順位の方が相続放棄するまでには結構な時間が経っていることも珍しくはありません。
そうなってくると心配になるのが、相続放棄の期間3ヶ月という制限ですが、これも上の理屈と同じで、相続人の順番がまわってきて始めて3ヶ月の期間は開始しますので、故人が亡くなってから1年経過していても前順位の方が残っている限りは相続人ではないですので、3ヶ月の期間も進行しません。
実際の手続きでは相続放棄するつもりだったけど、故人のお子様が長年音信不通で住んでる所どころが、生死すらわからないということもあります。そういった場合はいつまでたってもご兄弟には相続権が移ってこないということになります。
生死不明の故人のお子様としても、自分が相続人なった事を知覚しない限りは3ヶ月の期間制限は進行しませんので、自分の父や母が亡くなったことを長年音信不通状態でしらなかったという場合は期間は進行せず、これまた相続が確定しない状況が続くということになります。
こうなってくると、一回だけ家庭裁判所へ相続放棄の手続きをすればいいと思っていたところ、実は何ヶ月にも渡って手続きを管理していかなくてはならなくなってしまい、相続人が沢山いるようなケースですと結構大変な手続きとなってきます。
こういった場合に頼りになるのが司法書士の先生。司法書士の先生に相続放棄の手続きを依頼しておけば、相続人に代わって申述書を代わりに作成して家庭裁判所への手続きも全て行ってくれます。
また、相続人が多くても適切に手続きを進めていってくださいますので、ご自身で今は誰が相続人で誰の手続きをしなければいけないのか?等で頭を悩ます必要はありません。
忙しくて気づいたら3ヶ月の期間が経過してしまったようなうっかりミスで多額の負債を抱えてしまってはせっかく国が認めてくれている相続放棄という制度も活かすことができなくなってしまいますので、もし手続きに不安があればご相談くださいね。
賃貸物件での孤独死や自殺といったケースでの相続放棄は遺品整理の問題や連帯保証人になっている場合などで対応が大きく変わってきます。
相続放棄をする方がしてはいけない事などは法律で決められていますので、そういった場合は必ず当事務所やお近くの司法書士の先生などに相談してから手続きをするようにしてください。
でないと気づいたら相続放棄ができなくなっていたなんて事になってしまいますので、十分にご注意くださいね。
名古屋の遺品整理・特殊清掃専門 第八行政書士事務所 代表 谷 茂
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