名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ

2019.04.18

事故物件セミナーの講師を務めてまいりました。

おはようございます。名古屋の遺品整理特殊清掃専門第八行政書士事務所の谷です。

すっかり春めいてきたかと思いきや北海道では記録史上最速の夏日を記録するなど、今年の春は短いかな?

さてさて、そんな春の日差しが降り注ぐなか、今回は珍しく東京の方まで出張して事故物件のセミナー講師を務めてまいりました。告知要綱としては下の画像のような感じです。

2019/4/16

主催:株式会社不動産経済研究所様
後援:不動産協会・マンション管理業協会・全国賃貸管理ビジネス教会
でのセミナーの講師は3名の3部構成です。

第一部は事故物件サイトでも有名な大島てる氏で第二部が私、そして第三部が不動産適正取引推進機構の中戸康文氏での講演となりました。

セミナーの開始が昼の13時~17時頃までの半日講座となり、結構な長時間となります。私としても忙しい時間の中わざわざ参加して頂く方にとって少しでも業務の役に立つ情報をご提供できればと考えるところではございますが、ちょっと今までにない大人数の参加者で軽くビビりますね。


参加者はほぼ満員の約100名とのことです。

今回は各講師が持ち時間70分と質疑応答という形で、第一部の大島てる氏の講演から開始。大島てる氏はご存知の方も多いと思いますが、インターネット上で事故物件を検索できるサイトの運営を行っており、各地の事故物件を現地調査したり、事故が起きた物件がその後どのように活用されているのかなどをセミナーなどを通して講演されています。

ただ、家主側からしてみると自分の所有している物件で起きた自殺や孤独死といった一般に事故物件と呼ばれる状況がいつまでもネット上に履歴として残ってしまうことに対して強い危機感を覚える方も大勢みられ、一部のオーナーからは、かなりやっかいがられている方でもあります。

今回のセミナーでも、なぜ事故物件サイト大島てるでは事故物件を掲載するのかや事故物件の見分けかた、事故物件が起きた後にどのように土地が活用されていたりなどを紹介されていました。


(私にとっても非常に勉強になるセミナーです)

興味深かったのが事故が起きた後の建物は実際にどのようにオーナー等によって事件の記憶を薄れさせる措置を取られているのか?例えば、外壁塗装や物件の名称の変更などの実例を基に紹介されていました。

それ以外にも敷地内で起きた事件について、いかに告知義務を回避しつつ敷地を売却しようとされているのかの実例の紹介。

例えば土地を分筆して事故が起きた部分から分けられた土地については告知しないようにしていたり、事故が起きた部分を私道にすることで事故の告知を回避しているケースがあるなどは、日頃室内の原状回復についてばかり考えている自分にとっては新鮮な情報で面白かったです。

セミナー終了後の質疑応答の時間でも質問は殺到して、サイトに掲載されていた情報が誤っている場合の訂正の仕方やサイトに掲載される情報などの質問が多数出されていました。

その後の第二部の私の担当ですが、今回のセミナーでは管理会社の方やオーナーの方が主な参加者とのことでした。

ですのでセミナーの内容としては「事故物件現場での実務対応と相談内容の原状」と題して、遺品整理専門の士業の事務所にはどんな相談が寄せられて、実際に士業としてはどのように相談に応じているのか?

また、事故物件現場での経験の浅い管理スタッフや個人のオーナーの方々がやってしまいがちな失敗、遺族や連帯保証人の方へ送る請求書や見積書について士業の事務所に相談があった場合に指摘されやすい誤っている請求項目が何か?などをメインにお話しさせていただきました。



こんな大勢の前で話す機会は滅多にない小心者の自分ですのでマイクを握る手もガクブル状態でしたがなんとか最後まで話してきました。

セミナーのご依頼を頂いてからどんな情報が参加された方々の業務に役にたつのだろうかと頭を悩ませていたのですが、やはり過去の相談の実例を基に遺族や連帯保証人さんとトラブルになるケースやどうしてそうなってしまったのか、また遺族などに相続放棄をされてしまうとどういった被害をオーナーや管理会社側が被るのか、さらにそうした被害を最小限に抑えるにはどういった方法があるのかをご紹介させていただきました。

今回のセミナーは参加費が3万円と結構お高いなか、それを支払ってでも勉強したいと考えている方や今現実にそうしたトラブルに対応されているといった方々ばかりですので非常に皆さん意欲が旺盛で私のセミナー終了後も多数の質問とご相談を頂きました。

やはり、ご相談として多いのが残置物の適正な処理の仕方や最近多い孤独死の取り扱いなどで、ご相談者が列をなして自分の順番を待たれているという状況は初めての経験でちょっとびっくりです。皆さんやはり同じことでお悩みなのですね。

最後の第三部は中戸様の事故物件と告知義務についての講演です。こちらは主に過去に出された一般に賃貸物件や売却物件における事故と呼ばれる状況での告知義務やその期間、原状回復や逸失利益が認められるのかどうかといった部分の解説です。

中戸様は不動産適正取引推進機構発行のRETIOの筆者でもあり、私も事故物件について考察する際などはよく参考にさせていただいております。事故物件に関して専門の書籍というものは非常に少なく、何かないかと探していると必ずいきあたるのがRETIOだったりします。

今回第三部の中戸様の発表と私の事故物件に関する発表ではいくつか重なるところもあったのですが、私の発表では軽く触れていた部分を中戸様の発表で補足して頂けるなど非常にうまく噛み合っていたのではと感じました。

反対に中戸様の発表の中で私が発表した事例について触れた箇所があったのですが、これには驚きました。

以前、当ブログでもご紹介しました「
自死遺族からのお礼のお電話を頂きました。」の事例を私の発表の際にご紹介させて頂いたのですが、この事例、家主側の初期対応が遺族を怒らせてしまい、結果として訴訟となったあげく家主側が大きな損害を被ったというものです。

私はこの事例については遺族側からの初期相談の際や先日のお礼のお電話で内容を確認していただけでしたので実際の判例の詳細については他の事例のように紙媒体では確認していませんでした。

そんな中、中戸様の発表の中の過去の判例の中にまさにこの私が相談に応じて訴訟で決着をみた事例が載っており、「あ、この判例、あの相談者の判例だ!」と非常にびっくりいたしました。

第三部終了後に中戸様とその事例の話しになったのですが、中戸様は中戸様で「なんでこの事例で遺族が控訴まで争ったのかを不思議に思っていたのですが、先生の話しを聞いて納得しました」とお互いがお互いの発表にびっくりしていた状況です。こんなこともあるのですね。

上の事例では家主側が遺族側に対してかなり強硬な請求の姿勢を見せていたために自死遺族も対応を硬化させてしまい訴訟に発展したケースです。

ただ、そうした感情的なトラブルについては判例には記載されていないため、実際に相談に応じていた私が遺族の置かれていた状況を紹介したことで、表と裏が繋がった形となりました。

今回のセミナーを通して事故物件での個人のオーナーや不動産の管理スタッフの方々が遺族や連帯保証人とのトラブルに発展してしまう場面を少しでも減らせたらと願ってやみません。私自身非常に得るものが多いセミナーの講師の機会を頂けて大変感謝しております。

名古屋の遺品整理・特殊清掃専門 第八行政書士事務所 代表 谷 茂

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