名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八ブログ

2020.02.27

予備的遺言の予備も必要?

おはようございます。名古屋の遺品整理・死後事務専門の第八行政書士事務所の谷です。

暖かくなってきて、さー出かけるぞ!という頃になって新型コロナで外出自粛モード。受験、入社、観光、歓送迎会と人が集まる事の多い時期での出来事で各種業界が大打撃ですね。大変な時期ではありますがまずは自分の健康第一に自己防衛に努めていきましょう!

さてさて、まだ新型コロナがクルーズ船だけの出来事だった頃の話しとなりますが、昨年の年末からご相談を受けていた方の遺言書を2月の頭に公正証書遺言にて作成してまいりました。

その時のお話しが時世を反映していることもありちょっとご紹介。ご依頼者の方からのご相談は遺言の作成のご相談もあったのですが、遺言だけではなく今の自分を取り巻く複雑な家族関係や財産関係の整理のご相談がメインでした。

詳細な依頼内容は書けないのですが、家族間でのトラブルとそれに伴う自分の財産をどのようにしたら、渡したくない相手に渡さないようにできるのか?という内容です。

行政書士ですので直接大ナタを振っての解決はできませんので、解決するにはどういった方法があるのかや、それに対するメリットやデメリットをアドバイスさせて頂いたところ、今年の初めに「家族間の問題は全て解決したので遺言の作成をお願いしたい」と改めてご依頼を頂いた流れです。

ご依頼者の遺言書を作る上での希望は「全ての財産をお世話になった親戚の方へ全て渡したい」というものです。

こうした内容の遺言を作るのは実際にはそれほど難しくはありません。特に自筆証書遺言で作成するのでしたら極端な話し、

遺言書
遺言者は遺言者の有する全ての財産を〇〇(生年月日)に遺贈する。
〇年〇月〇日
遺言者 〇〇 〇〇 ㊞

と、全文自書しておけば一応は有効な遺言となります。

ただ、そうは言っても本当にこれだけでいいのか?というと、実際にはこれだけではいろいろと心配な部分が出てきます。

まず、ご相談者の方の方と財産を受け取る方の年齢はいくつか?
今回のご相談者の方の年齢は84際。財産を渡したい相手の方の年齢は86歳と共に高齢となります。確かにご相談者の方は大病を患ったこともあり、一般的な見方からするとご相談者の方の方が先に亡くなる可能性は高いかもしれません。

しかし、今のご時世何処で何があるかは神のみぞ知るといった感じで、まったく予期せず交通事故やそれこそ今話題の新型コロナに感染なんてことも起きるかもしれません。

そうした突発的な予想外な事が起きて財産を渡す相手(受遺者)が先に亡くなってしまった場合は上に書いたような簡単な遺言だけでいいのか?というと、駄目なんですよね。

駄目といっても遺言書自体は有効なのですが、遺言者に記載してある受遺者の方が遺言者より先に亡くなってしまうと、遺言者の指定した財産の受取人がいなくなってしまうことになります。

そうすると誰が財産を受け取ることになるのか?遺言書で指定した受取人が遺言者より先に亡くなった場合は、受取人に指定されていた方の相続人(配偶者や子供など)が受け取ることになるのでは?と思われるかもしれませんが、そうではありません。

指定された受取人が先に亡くなったしまった場合は、その指定された方の相続人が財産を受け取るのではなく、遺言書は実現不可能ということで通常の相続となります。つまり、渡したくないと思っていた相続人も含めての、法定相続人による普通の相続手続きに戻るというわけですね。

なんでそうなるの?受取人に指定していた方の相続人が財産を貰えばいいじゃない!と普通は考えるかもしれませんよ。

たいての場合は遺言者の希望としても、受取人の方が先に亡くなったのなら、その受取人の相続人の方に財産を貰って欲しいと思っているケースが多いと思われます。今回のご相談者の方もそうでした。

ただ、遺言書は遺言者が亡くなった後で効力が発揮されるものですので、いざ本人に本当のところはどう考えてたの?と聞きたくても、その時点は既に遺言書を書かれたご本人は亡くなっており、真意を確認することはできません。

場合によっては、受取人の方が先に亡くなったのなら、その子供には財産は渡したくないと考えているケースだって当然あるでしょう。

例えば、受取人に自分の兄弟を指定して自分の兄弟が財産を引き継ぐ事を希望していたけれど、その受取人の兄弟の奥さん(受取人の法定相続人)には渡したくないというケースなんかは良くある例ではないでしょうか。

ですので、こうした本人に確認できない内容は全て遺言書に記載しておかないと、遺言書は遺言書としての効果を十全に発揮できないということになります。

では、話しを戻して、今回のご相談者の場合は受取人に指定されている方も結構なご高齢ですので、どうすればいいのか?というと、予備的遺言(補充的遺言)をしておくと良いということになります。

予備的遺言(補充的遺言)って何?ってなりますよね。これは実際の記載例を見て頂くと分かりやすいと思います。

遺言書
1、遺言者は遺言者の有する全ての財産を〇〇(生年月日)に遺贈する。
2、上記〇〇がが遺言者より以前に死亡した場合は、遺言者の有する一切の財産を△△(生年月日)に遺贈する。
〇年〇月〇日
遺言者 〇〇 〇〇 ㊞

と、本来の遺言内容に加えて追加の条件を入れておくという内容になります。

つまり、上の例でいくと1番の遺言が本来の遺言だけど、1番の遺言が実現不可能なら2番の遺言内容に従って自分の財産を指定した人に渡してくださいという予備(補充)の遺言の文言を入れておくということです。

遺言って結構柔軟性がありますので、もし〇〇なら〇〇、〇〇がダメなら△△。みたいな形で希望を残しておくことも可能です。これが予備的遺言(補充的遺言)と呼ばれるものですね。

そして今回のご相談者に「念の為に最初の方に万が一の事があったら誰にわたしたいとお考えですか?」と聞くと、「受取人の配偶者」(夫又は妻)に渡したいということです。

もちろん、それは問題ないのですが受取人の配偶者となると基本的には受取人と同世代となりますので、「ちなみにご年齢は?」と聞くと「84歳」と遺言者と同じ歳とのこと。

う~んんんんん、もちろん予備として配偶者の方を指定するのは良いのですが、専門家としてはどうしても万が一の事を考えてしまうわけで、まずないでしょうが、受取人と予備の受取人(配偶者)の方が両方とも遺言者より先に亡くなってしまう可能性もゼロではありません。

心配性か!?と思われるかのしれませんが、ここは妥協せずに予備の予備として、さらに受取人と配偶者の方の両方に万が一の事があった場合はどうしたいですか?とお聞きすると「受取人のお子さんに渡したい」という希望です。

あ、それなら大丈夫ですね。となるのですが、今回は自筆証書遺言ではなく、公正証書遺言を作成する予定ですので、公証人との打ち合わせにおいて、受取人(受遺者)の方が実在する人物であるかを証明する為に、住民票等を提出する必要があります。

その資料を準備するのに1週間~2週間ほど掛かりそうですので、どうするかというと。公正証書遺言を作成する前に、遺言者(ご相談者本人)に万が一があっては、遺言書を作ってまで実現したかった希望が達成されなくなってしまいますので、公正証書遺言を作成する前に自筆証書遺言で保険をかけておくことにしました。

どんだけ心配性やねん!?と思われるかもしれませんが、自筆証書遺言は特別な準備も必要なく、紙とペンと印鑑があれば作成できますし、何度でも書き直しできますので、公正証書遺言を作成するまでの繋ぎの遺言書としても使用できます。

遺言書の特性として、有効な遺言書なら自筆証書遺言でも公正証書遺言でも効果に優劣はありませんし、新しい遺言が常に優先されますので、繋ぎとして自筆証書遺言を作成したとしても、その後に公正証書遺言を作成すれば、後で作成した公正証書遺言が最新の遺言となりますので、そちらが有効な遺言となります。

こうしておけば、例え公正証書遺言を作成する準備に思いのほか時間が掛かったとしても、保険として最低限の内容を記載した自筆証書の遺言がありますので、万が一公正証書遺言を作成する前に遺言者が事故や病気等で亡くなってしまったとしても、自筆証書遺言にて希望は叶えられることとなります。

ただ、今回のご相談者のように高齢だったり、病気だったりして、全ての希望を記載した自筆証書遺言を用意するのが体力的に難しいケースもありますので、繋ぎとして準備してもらう遺言書は本当に最低限必要な内容になっていたりします。(遺言書の本文は本人に全部手書きして頂かないといけないので、何ページにも及ぶ遺言書の作成は難しい)

こんな感じで今回の遺言は遺言内容の予備の予備に加えて、公正証書遺言作成までの保険として自筆証書の作成と、いろいろ用心を加えた上で出来上がっています。

もちろん、公正証書遺言が無事出来上がっているのですから、「万が一」「もしかしたら」という私の心配は全て杞憂に終わっているですが、士業としてはこれからも「かもしれない」運転でいきたいと考えております。

遺言書の作成のご相談はお気軽に第八行政書士事務所まで~。(^^)/

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